∽移り行く絆のように∽   作:アクア=イスタロス

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お待たせしました!
――待っていた方がいるのか分かりませんが

4/16 内容と後書きを追記いたしました。
8/18 後書きのレンジャーの通称が間違っていましたので修正しました。


第2話 first landing Naberius

自然豊かな緑の惑星。

歩む者へ近づく不穏な足音。

果たして、彼らは狙う者か、狙われる者か。

決して、歩みを止めるべからずや。

 

 

 

 

――――first landing Naberius――――

 

 

 

 

「――っと。……此処が、ナベリウスか」

 

キャンプシップから降り立った僕たちの目の前に現れたのは柔らかい地面と濃い新緑。

どこからともなく聞こえてくる鳥の鳴き声が少しだけ今が試験だという事を忘れさせた。

 

「結構長閑な場所だな。どこを向いても緑ばかりだ」

 

「本当だね。まぁ、のんびりしてる暇はないんだけど」

 

そう、僕は此処へ遊びに来た訳じゃない。

大切な人たちの隣に並ぶためにも、この試験でつまずく訳にはいかない。

必ず、試験に合格するんだ!

 

『それでは、第二組の二名。スタートしてください』

 

「よしっ、行こう!」

 

「ああ。頼りにしてるぜ、アラン」

 

「援護は任せたよ、ラジュア!」

 

僕の相方はラジュア=ボーン。

養成学校の同期で、クラスはレンジャーだ。

数いる受験生の中で養成学校の知り合いが相方なのは強みだろう。

 

「さて、最初の話では原生生物がいるって聞いたけど……」

 

「ああ。流石に姿や特徴は教えてもらえなかったがな」

 

僕はファイターの武器である『ダブルセイバー』を、ラジュアはレンジャーの武器である『ランチャー』を構えながら道なりを進む。

道中、木や草むらの影に注意しながら進むが、一度も敵に遭遇する事無く最初の分岐点が現れる。

 

「何だか拍子抜けだな」

 

「まぁ、演習みたいに決まったタイミングで出てくる訳じゃないからね」

 

「だがよ。ここまで全く出てこないと試験にもならねぇぜ」

 

「でも、気を抜いたらダメだよ」

 

「わーってるよ」

 

全く敵が出てこないため、相方のラジュアはもう終わった気でいそうだ。

それを注意する僕も、心の中では少しだけ浮かれていた。

 

だからだろうか。

僕は、後ろから迫っていた敵に気がつかなかった。

 

「――ッ!?くっ」

 

「うおっ!?」

 

――やられた!

背中に良いのを貰ってしまった。

傷ついた背中から熱い液体が流れ落ちる感触が伝わる。

…でも、致命傷には程遠い。

それだけが幸いか。

 

初の実戦だというのに、どこか冷静に状況を分析し、襲いかかった何かから距離を取るために転がる。

同時に、襲撃者の姿をこの目に捉える。

鋭い爪と黄色の体毛…。

あれがこの惑星の原生獣か…!

 

「くそっ!おらぁッ!!」

 

ラジュアがランチャーを発射し、敵に直撃する。

ランチャーの特徴は着弾した場所から爆風が広がり、周囲にもダメージを与えるというもの。

つまり、敵に直撃せずとも周辺にさえ当たれば敵の目をくらます事も可能なんだ。

そうやって彼が時間を稼いでいる間に体勢を立て直す。

同時に、ポーチから回復アイテム『モノメイト』で口に含み、飲み込む。

すると、背中から感じていた痛みや熱が消え、身体が軽くなった気がした。

よし、いける!

 

「ラジュア、お待たせ!」

 

「おっしゃ!デカイのぶち込むぜェ!!『ディバインランチャー』!!」

 

ランチャー系フォトンアーツ『デバインランチャー』

ラジュアの持つランチャーから勢いよく弾が発射され、用心深くこちらを睨んでいた原生獣に直撃した!

あの弾の特徴は当たった敵を真上に吹き飛ばす事。

空中で身動きが取れない間に距離を詰める!

 

「……ハァッ!!」

 

敵が地面に落ちたのと同時に、手に持つダブルセイバーを投げつける!

ダブルセイバー系フォトンアーツ『デッドリーアーチャー』

膂力を振り絞って手の両剣をブーメランのように投げつける技だ。

この技の特徴は投げつけた両剣が回転しながら連続で敵を斬りつける事だ。

 

『グギャギャ!?』

 

投げつけたダブルセイバーが原生獣に直撃する。

一回、二回、三回と回転しながら原生獣を切り刻む。

回数が八回を数えたところで、両剣が回転しながら戻ってくる。

しっかりと掴み、原生獣の攻撃に備え再び構える。

 

『グ…ギュ……』

 

しかし、先程の攻撃が致命傷だったようで、原生獣は力尽きて倒れた。

……動かない、な。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

緊張から解放されたと同時に膝が落ちる。

どうやら、自分が思っている以上に敵に襲われたという事実は心身を傷つけていたようだ。

 

「大丈夫かアラン!?」

 

「…大丈夫。体力は回復したし、傷も塞がってるし」

 

実際に、背中に受けた傷はもう跡すら見えない。

服が破れているからこそ攻撃された場所は丸わかりだが、特別困る事はない。

だけど、今は何よりも休みたいかな。

 

「そ、そうか。……済まない」

 

「何で、ラジュアが謝るの?」

 

「…俺が、気を抜くような発言ばっかしてたから…」

 

「それなら、僕だって同じさ。しっかりと周りを警戒してれば問題なかった。ラジュアばかりの責任じゃない」

 

「けど!……いや、これからは気をつける。試験終了まで頼むぜ」

 

「もちろん。生きるために、頑張ろう」

 

先程の経験から、身体を休める前に辺りを見渡す。

木や草の影だけではなく頭上に木の枝がないかどうかも。

先程の原生獣は最初の奇襲後、身軽にジャンプしながら近づいてきた。

もしかしたら、木の枝を伝って近づいてきたかもしれないからだ。

 

「特別動く気配はなさそうだな」

 

「うん。少し休もうか」

 

「ああ。……身体は、痛むか?」

 

「さっきも言ったけど平気だよ」

 

「…………」

 

「……ごめん。少しだけ」

 

「お前の泣き言が聞けてよかったよ。辛そうにしてんのに何も言ってくれねぇからな、信頼されてねんじゃねぇかと思ってたんだよ」

 

「う…、ごめん。あんまり心配掛けたくなかったんだよ」

 

「分かってるさ。……優等生としてのプレッシャーもあるだろうしな」

 

――だが、実戦には関係ねぇぞ。

背中で語ったラジュアの想いに、僕はスッと身体が軽くなった気がした。

…僕は、背負い過ぎていたのかな…?

 

「オイ、そろそろ進むぞ」

 

「――うん!」

 

身体を起こし、先に進むラジュアの下へと急ぐ。

今の僕に、プレッシャーなんてなかった。

 

 

 

 

――――――――――

――――――――――

――――――――――

 

 

 

 

休憩から数分。

たった数分ではあるが、既に五体もの原生獣と遭遇し、いずれも討伐することができた。

ただ、最初の頃とは打って変わってかなりの確率で遭遇しているから、この先を思うと少しだけため息が零れてしまう。

 

「げっ…」

 

「また、だね」

 

噂をすれば影、とはこのことか。

目の前の木の枝から落ちて――いや、降りてきたのは一番最初に遭遇した黄色の原生獣。

ただ、未だこちらに気が付いていないようで、呑気に草陰をゴソゴソと漁っている。

これは…先制のチャンスだ。

 

「アラン。俺がデカイのをぶっ放す。追撃は任せたぜ」

 

「任せてよ」

 

ガコン、とラジュアがランチャーから通常弾を取り外す。

そして、新たに別の弾を取りだす。

その弾を詰め、すぐさま敵へと突進する。

 

「――ッ、オラッ!!」

 

ランチャー系フォトンアーツ『ゼロディスタンス』

ギリギリまで敵との距離を詰め、零距離射撃を行う。

リスクとリターンの狭間を攻める攻撃だ。

 

『ギャウ!?』

 

零距離からの砲撃に、原生獣は吹き飛ぶ。

追撃のため、すぐさま距離を詰める。

決め技は考えてある。

ダブルセイバー系フォトンアーツ――

 

「『サプライズダンク』ッ!!」

 

原生獣の真上へと跳び、身体を弓のようにしならせ、両剣を頭上に構える。

原生獣が崩れ落ちたままの体勢でこちらを見つめる。

瞳に映るのは、殺意か恐怖か――

 

「ォォオオオオオオッ」

 

普段なら哀れに思うのかもしれない。

だけど、今の僕にはそんな余裕はなかった。

殺るか殺られるか…。

ここで殺らなければ――他の誰かが殺られるかもしれない。

僕には、その事実こそが耐え難い。

 

「ぜやあっ」

 

ドドォン、という衝撃音と共に僕を中心に衝撃波が広がる。

衝撃の反発を受け、吹き飛ばされるも空中で体勢を立て直し、着地する。

 

『グ、グォォ…』

 

まだ、生きているか。

さらに追撃したいところだが、僕は着地に成功したとはいえ、技の発動に伴う硬直によって動けない。

だけど、僕は一人じゃない。

 

「ラストは任せろ!!」

 

既に、ラジュアが追撃のために近づいていた。

そして、先程と同様に零距離まで近づき――

 

「!?うおっ」

 

吹き飛ばされた。

――っえ?

 

「ラジュア!!」

 

「俺は大丈夫だ!くそっ、何なんだよ!?」

 

「一体、何が――」

 

吹き飛ばされたラジュアの様子を見て、無事だと分かり一安心。

しかし、原生獣の方を見て愕然とした。

何故なら…何故なら――

 

「アレは、何?」

 

『グオオオオオオッ』

 

さっきまで瀕死だった筈の原生獣が力強く立ち上がり、咆哮する。

さらに、体毛が黄色からオレンジ混じりの色へと変わる。

そして、何よりも違うのは――

 

「アイツの背中に、あんなの生えてなかったよな…!?」

 

原生獣の背中から突然現れた、奇妙な球体と受け皿を組み合わせたような不気味な物体。

自然には出来るはずもない人工的な物体の出現に、僕らはただ困惑するばかり。

だけど、いつまでも迷っていられる訳ではなく。

 

『ウーウーウー』

 

「!警報!?」

 

「そんな、こんな時に!?」

 

耳元に装着している無線から緊急事態にのみ鳴る警告音が鳴り響く。

普段なら――いや、実戦の最中においてはこの言葉に意味はないかもしれないけど、目の前に豹変した原生獣がいる今は特に起きて欲しくなかった!

 

『管制よりアークス各員に緊急連絡!惑星ナベリウスにてコードD発令!フォトン係数が危険域に達しています!――繰り返します。惑星ナベリウスにてコードDが発令!空間侵食を観測、出現します!』

 

 

 

 

∽to be continue∽




『レンジャー』
 →通称:Ra アサルトライフルとランチャーを装備できる後衛型。

『ファイター』
 →通称:Fi ハンターの上位クラスでダブルセイバー、ツインダガー、ナックルの三種類を使いこなすゼロレンジの戦士。でも、防御が出来ない。華麗に回避して見せよッ

『ランチャー』
 →大砲。隙はでかいけど一撃もでかいヨ!最近フォトンアーツが強化されたため、使う人が結構増えた有望株。

『ダブルセイバー』
 →両剣。棒の端に剣が付いてる。「舞うように攻撃」という魅せる戦い方が多い。でも、通常攻撃の範囲が狭いため、最近は不遇。でもやっぱりフォトンアーツはカッコイイ。

『鋭い爪と黄色の体毛』
 →もしかして:ウーダン。全てのプレイヤーが最初に戦う猿。

『フォトンアーツ』
 →通称:PA。必殺技。武器種ごとに十種類近い数の技が存在する。

『奇妙な球体と受け皿を組み合わせたような不気味な物体』
 →見るからに不気味な物体。詳細は次回、オンエア。

一か月近く更新してませんが、次回もそれぐらいになりそうです。
申し訳ないですが、楽しんでいただければ幸いです。

誤字脱字、原作との違いに関する質問、その他感想などお待ちしています。
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