∽移り行く絆のように∽   作:アクア=イスタロス

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お久しぶりです。
前回投稿してから2カ月以上開いてしまいました。
因みに、ペンを取った(キーボードを叩き)始めたのも昨日ぶり。
……つまり、そういう事です。


第3話 the assault Darker

現れるは漆黒の闇。

埋め尽くすは盗賊の鎌。

奴らに背中を見せてはならない。

奪われるのは命だけとは限らない。

 

 

 

 

――――the assault Darker――――

 

 

 

 

『管制よりアークス各員に緊急連絡!惑星ナベリウスにてコードD発令!フォトン係数が危険域に達しています!――繰り返します。惑星ナベリウスにてコードDが発令!空間侵食を観測、出現します!』

 

『ギギィ……ギギィ…』

 

「おい、こいつらって…まさか!」

 

「禍々しいフォトン…間違いない。あの原生獣の変化もこいつらの影響だろうね」

 

冷静に聞こえるかもしれないけど、頭の中ではパニックになってる。

この惑星における出現確率が零だという実績があるからこそ、この試験の会場として選ばれていると聞いたんだけど…どうやら、嘘みたいだ。

――いや、呑気にそんなこと考えてる場合じゃない!

 

「ラジュア、来るよ!」

 

「分かってる!!」

 

『カチャカチャ、カチャカチャ』

 

僕らの周囲を取り囲むように現れた黒い物体。

四本の足と球体のと頭と胴体。

鋭い目尻に何を見ているのか分からない赤の眼。

 

これが――ダーカー。

 

『ダーカー出現を確認。空間許容限界を超えています!全アークスへ通達!最優先命令コードによるダーカーへの戒厳令が下されました!』

 

「これでも喰らいやがれッ」

 

「はぁっ!」

 

僕は目の前の原生獣を、ラジュアは後ろのダーカーを。

それぞれ、渾身の力で攻める。

後ろから大きな衝撃音が響く。

僕も目の前の原生獣を倒し――きれない!?

 

「くっ、もう一度――あぶなっ!?」

 

先程まで攻撃していたからこそ、すぐに倒れると油断してしまった。

攻撃を受けてふらふらしていたと思ったのだけれど、今の自分の攻撃に対して避けるどころか受け止めてみせたのだ。

間違いなく、背中から現れた奇妙な物体の影響だろう。

しかも、すぐさま反撃のつもりか、爪を振りまわしてきた!

まさか、ここまで変わるなんて…ッ!

 

「アラン!大丈夫か!?」

 

「ごめん!後ろは任せた!!」

 

「おう!やってやるぜ!!」

 

本来なら、前衛職の僕が相手しなければならない。

けど、目の前の敵は今の僕では倒すのに時間がかかる。

それに、目の前の敵の左右や後方には複数のダーカーがいる。

……まずは目の前の敵を倒す。

 

「『ケイオスライザー』!!――続いて、『サプライズダンク』!!」

 

ダブルセイバー系フォトンアーツ『ケイオスライザー』

得物を高速回転させることで周囲の敵を引き寄せ、攻撃する技だ。

ただ、この技の強みは攻撃じゃない。

引き寄せ、敵を打ち上げる事こそ、この技を選んだ理由だ。

特に、こんな乱戦の時に少しでも敵の行動を中断できるのは大きい。

 

――なのに。

 

「まだ倒れないのか…ッ!」

 

周囲のダーカーが倒れてもなお、目の前の原生獣は力強く二本足で大地を踏みしめていた。

今まで倒した同じ種類の原生獣であれば既に三回は倒れているだろう。

それでも倒せないのは、あの奇妙な物体の影響か、それとも他に理由があるのか…。

でも、これで一対一。

一対一なら負けるはずがない!

 

「はああああっ!」

 

熾烈に、苛烈に、鮮烈に攻め続ける!

相手がしぶといだなんて関係ない。

反撃を許す暇を与える事無く、封殺するッ!

 

そして、その時はきた。

 

『ギュゥ…ガァァァ……』

 

どれだけの時間と手数を掛けただろう。

どれだけの苦痛を覚えただろう。

それでも、僕は、今、この大地に立ち続けている。

 

たった一体の敵を倒しただけに過ぎない。

これまでの過程で倒した敵の。

ここから先倒していくであろう敵の。

数万、数億になるかもしれない数の一体。

 

でも、僕はこの日、この時を忘れることはないだろう。

それだけ、この原生獣は僕の中に刻み込まれた。

 

「――って、ラジュアの援護をしないと!」

 

「マジで頼む!!」

 

「任せろ!伏せて!!」

 

ダブルセイバー系フォトンアーツ『トルネードダンス』

身体を捩じり、回転させながら突進する。

ただ、そのまま行うとラジュアにぶつかってしまうのは眼に見えているので、少しだけジャンプしてから行う。

瞬間的な移動と攻撃の両方を同時に行う事ができる、ダブルセイバー系で唯一のフォトンアーツだ。

ただ、この攻撃を行う時に毎回頭を過ぎる言葉がある。

 

『…あり得ない…。運動量ゼロの状態から任意の方向へベクトルを与えるとか……。物理法則を完全に無視してる…』

 

リオンが初めてこの動きを見たときに呟いていた言葉だ。

何気なく聞いていた上、ほとんど言葉の意味は分からなかったのだけれど。

 

「はぁッ!」

 

初撃が戦闘にいたダーカーに衝突する。

かなりダメージを受けていたのか、一撃受けただけで力無く崩れ落ちる。

続けて、後ろにいた複数のダーカーを巻き込みながら攻め続ける。

ただし、攻撃が直線である以上、取りこぼしもいる訳だ。

――だからこそ、この技が活きるのだけれども。

 

「―――ッ、『ケイオスライザー』!!」

 

技の途中で強引に身体を止める。

そして、続けざまに先程も使ったフォトンアーツ『ケイオスライザー』を行う。

身体が軋む音が鳴った気がするが、この程度でくたばるような鍛え方はしてない!

 

「あああああっ!」

 

「アラン!半歩下がれ!!『クレイジースマッシュ』!!」

 

「ぐぉっ!?」

 

ランチャー系フォトンアーツ『クレイジースマッシュ』

後衛職とは思えぬ打撃攻撃。

だが、ランチャーという重量のある武器で行うからこそ、見た目の派手さと威力がある技だ。

――まぁ、こんなのんびりと解説できるのも僕が技の余波を受けて吹き飛んでいるからなんだけれど。

 

「ア、アラン!?」

 

「げふっ!?」

 

地面に叩きつけられた。

結構痛い…。

 

「す、すまねえ!大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫…。直撃してないから……」

 

「お、おう…。まぁ、安心して痛みが引くのを待ってていいぜ。今の一撃で残った奴らは全部消し飛んだからな」

 

「う、うん…」

 

いくらくたばるような鍛え方をしてないと言っても、酷使すればやっぱり痛い訳で。

特に、最後の強引な連続技――レギアス様やマリア様はこれをキャンセルと呼んでいた――は、あまり使いたくない。

フォトンアーツの連続使用もそうだけど、身体に無理やり別の動きを行わせるのだから。

成長中の僕の身体に負担をかけないように、とマリア様から許可を頂いた一日にやってもいい回数は二回まで。

この先、今みたいな激闘がなければいいのだけれど。

 

「とりあえず、目の前の危機は去ったみたいだな」

 

「そう、だね…。つぅ…ッ」

 

「お、おいおい。まだ動くなって!あんだけの連戦に加えて無理な動きが負担を掛けてんだからよ」

 

「ううん。あんまり休んでばかりもいられないよ。付近にダーカーとかの気配がないとはいえ、警戒態勢が解除されたわけじゃないしね」

 

「…さっきも言ったが、無理だけはすんなよ。俺たちはパーティなんだ。頼ってくれ」

 

「もちろんだよ、ラジュア」

 

この課題に対し、一人で挑むのは無謀なのだと思い知らされた。

大切なのは個の力より仲間を信頼し、協力するチームワーク。

……無謀と勇敢は別のものって誰かが言ってたっけ。

 

『――たすけて』

 

「――?ラジュア、何か言った?」

 

「いや、何も言ってないが…?」

 

一瞬、助けを求める声が聞こえた気がするけど…気のせい?

 

『――たすけて』

 

「……」

 

「おいおい、さっきの戦闘で頭をぶつけたんじゃないか?もうちょい休んでも――って、何処行くんだよ!?そっちは指定された方角じゃないぜ!?」

 

「気のせいじゃない。誰かが助けを求めてる。こっちだ!」

 

「お、おい!?――ああ、くそ!待てよ、アラン!!俺にも納得のいく説明をしろ!!」

 

ラジュアが説明を求める声が聞こえたけど、今はそれどころじゃない。

僕にしか聞こえない声など話したところで頭の方を心配されるだけだろう。

なら、今は自分の感覚を信じて進むしかない。

僕の勘違いなら、それで済むのだけれど……。

 

 

 

 

森の中を進む。

途中から、ラジュアは聞いても無駄だと悟ったのか、無言のまま後ろを追従していた。

この先に何が待つのか。

二人は無言のまま、獣道をひた走る。

そして、走り始めてから十分程度が経った頃。

突然、目の前の光景が広がった。

どうやら、自然に生まれた広場のような場所らしい。

 

「……」

 

「……」

 

二人の足が止まる。

十分もの間走ったとはいえ、アークスとなるべく鍛錬を重ねてきた二人にとってはそれほど辛いものではない。

では、何故足が止まったのか。

 

――その広場の中央に、誰かがいた。

 

「…なぁ、アラン。あそこにいるのが、お前の探してた“何か”か?」

 

「…分からない。でも、頭に響いてた声が此処で消えたんだ」

 

「…そうか。どっちにしろ、目の前で倒れてる人がいたら助けるのがアークスだ。すぐにあの子を助け――!!」

 

『ギチ…ギチ…』

 

「ダーカー!?こんなところで…!」

 

「ちっ、悩んでる暇はなさそうだぜ、来るぞ!」

 

「ラジュアはあの子を頼む!優先はあの子の安全だ!!」

 

「気をつけろよ、アラン!」

 

後方から現れたダーカーに対し、すぐさま迎撃の構えを取り、突撃するアラン。

その後ろにはアランとの打ち合わせ通り、広場中央に倒れる少女の傍らでランチャーを構えるラジュアの姿。

 

しかし、ラジュアは引き金を引く事は終ぞなかった。

 

「すげぇ…」

 

「……」

 

『トルネードダンス』からの『ケイオスライザー』。

先程までの戦いと同じような戦い方のように思えて、まるで違う――苛烈ともとれる動き。

また、先の戦いでは『キャンセル』という、強引な身体運びを用いた戦い方で敵を殲滅しており、今回も同じ動き方であったのだが――そこに、無駄はなかった。

 

『トルネードダンス』で敵に突撃。

これは先程と同じだ。

しかし、ここからが違った。

敵を縦断するように切り裂き、最後尾まで到達すると武器を真上へと放り投げつつ大地に手をつき、身体を跳ね起こす。

そして、真上へ放り投げた武器を掴むと、そのまま『ケイオスライザー』を使い、攻撃を受けて怯んだ状態の敵を吸い寄せる。

最後は一固まりとなった集団に対し『サプライズダンク』で止めを刺す。

一連の攻撃を流れるように放つその姿はまさに、戦場を知るベテランそのもの。

 

「だ、大丈夫かアラン?」

 

「…う、うん」

 

どこか、茫然としたままダーカーが消え去った後の地面を見つめるアランを心配し、近くに寄ったラジュアだったが、怪我が無さそうだったのでホッと肩の力を抜いた。

しかし、此処が戦場である事を思い出し、すぐに武器を構えたまま再び声を掛ける。

 

「当面の危機は去ったし、あの子の様子を見がてら休息しようぜ」

 

「…そうだね。少し疲れちゃったよ」

 

ラジュアを見つめるアランの顔には今まで以上の疲労の色。

そもそも、あの戦い方はアラン本来の戦い方ではない。

威力が高い分、身体への負担も大きいに違いない。

 

『全アークスに通達。ダーカーによる空間許容限界の低下を確認しました。コードDの発令を解除。警戒レベルを引き下げます。各員、安全を確認後、帰還してください』

 

「…どうやら、危険も去ったみたいだね。…この子に関しては僕たちじゃ判断できないし、一先ず連れて帰ってメディカルセンターで見て貰おうか」

 

「そうだな…。とりあえず、何とかなった訳か…」

 

「まさか試験がこんな事になるなんてね…。ともかく、今は生き残れた事を喜ぼう」

 

「ああ。…けど、他の奴らは大丈夫だろうか…」

 

「…無事だといいんだけど」

 

 

 

 

少年たちは危機を乗り切り、一つ高みへと至った。

現実を知り、育む絆は強くなった。

しかし、得られたものは確かなものだけではなく。

安全とされた惑星に現れたダーカーに、助けを呼ぶ謎の少女。

彼らに待ち受ける謎は未だ、解かれず。

 

 

 

 

∽to be continue∽




『コードD』
 →危険水準を表す言葉。他のコードって出てきたっけ?

『ダーカー』
 →主人公達アークスの敵。全宇宙の敵。序盤は虫型が多い。

『背中から現れた奇妙な物体』
 →ダーカーに浸食された存在に出現する印のようなもの。原生獣のみならず、アークスをも喰らう。浸食された場合、助かる可能性はない……らしい。

『…あり得ない…。運動量ゼロの状態から任意の方向へベクトルを与えるとか……。物理法則を完全に無視してる…』
 →ゲームではよくあること。物理法則なんてなかったんだ…。

『キャンセル』
 →攻撃などの動作中に回避やステップを挟む事で一連の動作を行わず、他の動作へと移る方法。オンラインゲームでは有りがちなプレイヤースキル。でも、現実だと間違いなく身体を痛める原因。乱用はせず、容量用法を正しく使いま(ry

誤字脱字、原作との違いに関する質問、その他感想などお待ちしています。
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