珍しく創作意欲が高い状態が続く日々。
…まぁ、現実逃避なんですけど(笑)( ´∀`)
それにしても、PSO2の広告が載っているにも関わらずあまり二次作品がない残念さ。
例の会社って二次作品ダメだっけと少しだけ怯えてます((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
見つけよ、隠されし宝を。
死守せよ、その栄光を。
意味を問わず己に従え。
この世に無意味はあり得ぬのだから。
――――the frozen origin――――
ガルフルの群れに遭遇してから数十分。
どうやら、あの脇道は原生獣の住処が密集していたらしく、次々に襲われることとなった。
しかし、僕とリオンからすれば、数が多いだけでしかなく、怪我する事無く戦闘を終えたのだった。
「これだけ遭遇戦があると遣り甲斐があるね」
「素材もかなり集まったし、十分な収穫ね。後はロジオさんの調査を終わらせるだけ」
「うん。ロジオさん、このまま奥に進めば?」
『はい。この先に奥へと続く道があります。分かれ道を右へ進んでいただければと思います』
「分かりました。――!!」
「…どうやら、招かねざる客のようね」
ロジオさんと連絡を行っていると、突然前方から奴らの独特な気配に気がつく。
リオンも察したようなので、間違いない。
僕たちが居る場所から数十メートル前方。
その何もない空間が捻れる。
そして、中から二体のダーカー…ブリアーダが姿を現した。
すぐに武器を構える。
ブリアーダは動きが鈍い代わりに毒を吐いたり、ダガンを生み出したりするため、要注意対象となっている。
しかし、僕たちはすぐに困惑してしまう。
それは、ブリアーダの行動にあった。
『今のデータは…ダーカー、ですか?しかし、ダーカーはアークスを見つければ必ず襲いかかってくると資料にはあるのですが…』
「そう、ですね…。一度、こちら見ているので気が付いていないという事はないですし」
ロジオさんとリオンの会話を聞きながら、僕はとある噂を思い出す。
ロビーで囁かれてた、根も葉もないいい加減なものだと言われていた噂だ。
「もしかして、例の噂は本当なのかな?」
「『ダーカー達が何かを探してる』って言う、あの噂?」
どうやら、リオンも知っていたらしい。
首を縦に振って肯定する。
「うん。眉唾ものだって言われてたけど……もしそれが本当なら?」
「そうね。それが本当なら今のブリアーダの動きも信憑性が増すけれど…。でも、それが本当なら奴らは何を探しているのかしら?敵であるアークスの存在を放置してまで優先するだなんて…」
『…なんだか不気味です。何度も言ってしまって申し訳ないですが、十分注意して進んでください』
「はい。ありがとうございます」
心配してくれるロジオさんにお礼を言い、ブリアーダが去って行った方向…西へ進む。
深い谷や狭い通路に気をつけながら道を進むと、凍土エリアではほとんど見かけなかった姿に気がつく。
ダガンや頑丈な甲羅を持つミクダ、これまた頑丈な全身を持つカルターゴ、またまた頑丈な盾を持つガウォンダ……。
赤いコアを狙えば簡単に倒せるが、それはさせないとばかりに動く奴らに手こずったのは思い出だ。
まぁ、今も簡単に倒せるとは言わないけど。
「コア以外にはほとんどダメージが入らない相手は時間がかかるね」
「近接職は近づく必要があるから仕方無いわ。私は遠距離から狙える分、そこまで苦労はしないのだけど」
そう言って、リオンは近づいてきたガウォンダを狙って『ラ・ザン』を放つ。
ガウォンダを中心に竜巻が発生し、連続ダメージを与えているのが分かる。
「まぁ、フォースが別格というより、リオンだけが別格なんだよね。テクニック連発してもほとんどフォトン切れしたことないでしょ?」
「ちゃんと自分の撃てる数を把握して攻撃するからよ。何も考えずに撃ち続ければいいってわけじゃないの」
「…そうなの?」
その割に、ほぼ連続でテクニックを撃ってる気がするけど。
道中の敵もリオンが先制して弱ったところを僕が止めを刺すって感じだし。
敵の数がまばらとはいえ、結構いたと思うんだけど…。
「アランは好きなように戦えばいいと思うわ」
「……なんだろう、バカにされてる気が…?」
いや、でも学園時代でも好きに戦えってよく言われたし…。
もしかして、僕はアホな子って思われてないだろうか…?
「気のせいよ。ただ、貴方は考えて戦うより感性で戦った方が強いだけ」
「思考を読まないでください」
「声に出してしゃべってるわよ」
「……」
それはマズイ。
意識的に口に出さないようにしないと。
「……」
「……」
突然、リオンが立ち止まって近くの氷柱に隠れた。
何が、と聞く前に襟を掴まれて近くに引っ張られた。
何とかこける前に体勢を立て直し、無言のままリオンに訴える。
すると、リオンが前方を指差した。
その先を見て、僕も何があったのか理解した。
黒ずくめの人物がいた。
どうやら、全身だけでなく顔までもプロテクターで隠しているようで、どんな人物か全く分からない。
あれが、リュランやリオンの言っていた黒い仮面の人物か…。
そいつは周辺を見渡した後、奥へと進んでいった。
「アレが、リオン達が言ってた黒い仮面の人物…で、合ってる?」
「合ってるわ。相変わらず、不気味ね…」
『…もしかして、もう一つの噂にあった凍土で見た人影、というのはあの人の事なのでは?』
「かもしれないね。此処から先、さらに注意して――リオン?」
突然、リオンが周囲を見渡し始めた。
何かあったのかな?
「…ねぇ、今音が聞こえなかった?こう、キーンっていう…」
キーンっていう音…?
耳を澄ましてみるけど、特に何も聞こえない。
「いや、僕は何も…ロジオさんはどうですか?」
『…すみません、こちらのデータでも捕捉していません』
「そう…。気のせいだったのかしら…?」
「分からないけど、もしかしたら何かあの仮面の人と何か関係があるのかもしれない。例えば、在った事がある人にしか聞こえない、とか…」
「…それは嫌な音ね」
それは自分も思った。
とにかく、奥に進めば分かる事だろう。
慎重に奥へと進む。
出てくる敵の数も減り、そろそろ最奥地かと思った矢先に、それは起きた。
「――」
「リオン、大丈夫?」
「え、ええ。またあの音が聞こえただけ」
「もう五回目だね。しかも、感覚が短くなってきたし…この先に何かあるのかな」
「かもしれないし、そうじゃないかもしれない。行かなくちゃ分からないわ」
「そうだね。――って、アレ?」
リオンと話しながら進むと、もうすぐ奥地という道の真ん中に青白い光を放つ何かが浮かんでいた。
半透明で、中央に何かあるようにも見えるけど…良く分からない。
『うーん、何でしょうか、これ?…人工物、でしょうか?』
「水晶にも見えるけど…触れるのかしら?」
リオンが手を伸ばす。
すると、謎の物質が光を放ち、消えてしまった。
残されたのは謎の物質に手を伸ばそうとしたリオンと、その手に収まった謎の物。
『…パラメータ的には武器でしょうか?それにしては形状がおかしい…。壊れているのでしょうか?』
「なら、武器屋か鍛冶屋に見せてみよう。誰か分かるかもしれない」
「そうね。ロジオさん、調査はこの辺りでも大丈夫ですか?」
『ええ。問題ありません。機器を転送しますので、順次始めて――』
『それを離せ……』
後ろから聞こえてきた無機質な声と漂う濃厚な殺気に、思わず前方へとダイブする。
前転しつつ体勢を立て直し、武器を構える。
先程まで僕達がいた場所に、そいつは居た。
「か、仮面の人…」
「…唐突ね、危なかったわ」
地面が軽くへこんでいる。
つまり、それだけ強く叩き下ろしたという訳だ。
大剣とはいえ、ただ振り下ろすだけではあり得ない地面を見て、目の前の人がどれだけ本気なのかが窺えた。
『…避けたか』
「お前は一体…何者なんだ!!」
『……』
僕の問いには答えず、大剣を構え、振り下ろしてきた!
僕じゃ耐えられないかもしれないけど、少しぐらいは時間を稼がないと!
「ぐっ…」
『……』
ダブルセイバーは一撃の威力よりも手数で攻めるタイプの武器だ。
その構成上、防御する際も受け止めるのではなく、いなす形を取っている。
よって、大剣のような力押しの攻撃を受け止めるような設計はされておらず――
――ピシッ
「やばっ!」
慌てて武器を弾いて下がるものの、今の攻防から考えてもこちら側が圧倒的に不利だ。
武器の中央部分に罅が入ったため、理想とする攻防をすることが難しい。
「はぁっ」
リオンが反撃とばかりに『イル・グランツ』を放つものの、仮面の人は後方に下がりつつ武器を振りまわす事でその光弾を打ち消して見せた。
…間違いなく、強敵だ。
「…どうする、リオン」
「…アランの武器が危険な以上、出来れば広い場所で戦いたいわ。」
『でしたら、この先に広場のような場所があります。このまま道なりに進めば辿り着きます!』
「ありがとうロジオさん!」
すぐさま奥へと走り出す。
少なくとも、広い場所に出れば同時に攻撃される危険性は低くなる。
そして、フォースの弱点である打撃攻撃も距離を稼げれば問題無い。
その場所まで何とか耐えないと…っ。
「はっ!」
『……』
簡単に距離を詰められないよう、時折リオンが後方に向かって『イル・グランツ』を放っているのが見える。
誘導性が高い事を理解しているのか、仮面の人は避けるのではなく武器で弾いて無力化しているが、それこそリオンの狙いだろう。
大剣は構えているとその重量故に動きが鈍くなる。
つまり、防御している間は、こちらが一方的に逃げる事が出来る。
これで何とか広場まで……見えた!
「アラン、中央付近まで行くわ!」
「うん!」
しかし、あと少しで広場に出られる、という場所で悪寒が背中を走る。
とっさの判断で真横へとダイブする。
重みのある後が僕の居た場所へと突き刺さった。
『逃がさない』
「くっ…」
此処に来て、止められちゃうとはね。
仕方なしに壊れかけの得物を構える。
この得物がどこまで持つか…。
溜められた力をブーストに、仮面の人の大剣が振り下ろされ――
『危ねえ、アラン!』
横から飛び込んできた何者かの大剣に阻まれた。
「!ゼノ先輩!!」
「よう、アラン。無事だったか?」
「は、はいっ」
現れたのは『ハンター』のゼノ先輩。
そして、少し遅れてフォースのエコー先輩。
何でこんなところに居るのか分からないが、助かった…。
「奥へと入ってくお前らを見て思わず着いてきちまったが、こりゃどういった状況だ?」
「えっと、話せば長くなるというか…」
思わずって…いや、そのお陰で助かった僕が言える言葉じゃないか。
「それよりも…その人、アークスなの?」
「データベースに載っていないので分かりません」
ゼノ先輩達が合流したのを見てリオンも武器を構えながら現れた。
これで三対一。
いくら仮面の人が強いとしても、大丈夫だろう。
「…おい、お前。どこのどいつだ、所属を言え」
『――邪魔をするなら、殺す』
「……はー、退く気はないってか。なら、力づくでご退場願うぜ!!」
ゼノ先輩が大剣を振り下ろす。
それに合わせる形で仮面の人が大剣を振り上げる。
中央でぶつかった二つの剣は、弾かれる事無く拮抗する。
「忘れて貰っちゃ困るわ!」
「追撃…ッ」
リオン、エコー先輩のテクニックが仮面の人へと迫る。
それを察するや否や、剣を弾き、後方へと跳ぶ。
仮面の人がいた場所に二種類のテクニックが炸裂し、地面と覆っていた雪が宙を舞う。
そんな偶然に出来た目隠しを利用してゼノ先輩が仮面の人へと攻めかかろうとして――逆に攻めてきた仮面の人の攻撃を受ける。
「ぐっ…中々やるじゃねえか…ッ」
『……』
「『シフタ』!」
「『フォイエ』!!」
思うように攻める事が出来ないゼノ先輩を見て、エコー先輩は炎系テクニック『シフタ』を、リオンはこれもまた炎系テクニック『フォイエ』で援護を行う。
『フォイエ』が攻撃系と分類するなら、『シフタ』は数少ない補助系のテクニックだ。
その効果は、自身からある一定の味方の力を上昇させること――
「おおおおおッ」
『……っ』
力が上がったゼノ先輩が仮面の人の剣を押しこむ。
そこへ迫るリオンの『フォイエ』に、仮面の人は剣を弾いた勢いのままバク転することで難を逃れる。
「えっ、何で光って――」
突然リオンが叫んだと振り返れば、先程手に入れた武器らしきものが光りだしていたのだ。
それを狙っていたらしい仮面の人も、光景に気を取られた。
「隙ありッ」
『っ』
その隙を見逃すゼノ先輩ではなかった。
振り抜かれた一撃は、仮面の人の仮面を多少なり破壊する事に成功した。
――己の破損を引き換えに。
「おいおい、業物がイカれちまったぜ」
「でも、初めてあいつに攻撃がヒットしたよ!」
エコー先輩が嬉しそうな声を出すのも無理はない。
この数分間、一度も攻撃を当てる事が出来なかったのだ。
さらに、三対一という状況を踏まえて考えれば、相手がどれだけの実力者なのか考えたくもない。
『――今は、退く』
状況の悪化と踏んだのか、仮面の人はそのまま大きく跳んでこの場を去って行った。
…追いかける事は出来ない。
僕は得物がほぼ壊れているし、ゼノ先輩の得物も戦闘を続ければいずれ壊れるのは想像するに難い。
後衛職の二人であの相手を押えきるのは困難だろう。
だからこそ、仮面の人が引いて戻ってこない事を確認した僕は大きく息を吐いた。
「…良かった」
「アラン、大丈夫?」
「僕は大丈夫。リオンこそ、怪我は無い?」
「私も問題ない。疲れたぐらいよ」
「なら良かった。――ゼノ先輩、エコー先輩。助けて頂き、ありがとうございました」
「良いって事よ。にしても、とんでもないヤツだったな。探索後だったんだろ?二人とも、頑張ったな」
リオンはともかく、最後の戦闘で見てるだけだった僕としてはあまり褒められたものじゃないんだけどね…。
「それで、あの仮面野郎が狙ってたのは、リオンの持ってるそのガラクタか?」
「おそらくは、ですけど…」
不確かなのはそれだけじゃない。
リオンの聞いたという、謎の音についてもだ。
戦闘中も、何度か鳴っていたらしいけど、僕だけでなく、ゼノ先輩やエコー先輩、ロジオさんも分からないと言っていた。
リオンにだけ聞こえる謎の音…一体、何が原因なんだろう。
「まぁ、考える事はロビーでもできるしな。学者さんよ、そっちが求めるデータも十分集まっただろ?」
『はい。そちらも十分に採れています。アランさん、リオンさん。ありがとうございます』
その後、何故ゼノ先輩が僕達の依頼内容を知っているのかについて話題に上がったが、エコー先輩が調べていただけだとバラしたため、失笑を買っていたのは内緒である。
ふぅ、ようやく長い半日が終わりそうだ。
∽to be continue∽
『ブリアーダ』
→ダニ型のダーカー。毒を吐き、ダガンの元となるダガンエッグを放出する面倒な敵。かなり上空へ逃げる時もあるため、倒すのに時間がかかることも。頭部についている袋状のものの一番上にコアがある。
『ミクダ』
→ヤドカリ型のダーカー。コマのように回転して攻撃してくる。固い殻をまとっているが、背中についているコアを狙うとかなり弱い。
『カルターゴ』
→何かの幼虫、蛹、成虫を混ぜたようなダーカー。頭部からレーザーにて攻撃してくる。頭部の背後に弱点のコアがある。
『ガウォンダ』
→右手に盾を持った重量歩兵のようなダーカー。盾に攻撃が当たると弾かれるため、別名近接キラー。背中にコアがある。
『ラ・ザン』
→ターゲットを中心に竜巻を起こし、ダメージを与える風系のテクニック。継続ダメージがあるので、使い方によっては威力が高い…かも?
『…ねぇ、今音が聞こえなかった?こう、キーンっていう…』
→もしかして:幽霊?いえ、別にそんな霊的な何かがじゃないですけど…。
『青白い光を放つ何か』
→もしかして:クリスt(ry おそらく中のものを保護する何か(マテ
『その手に収まった謎の物』
→もしかして:ク(ry 物語が進む中で語られる何か。重要な物の一部…かも?
『無機質な声と漂う濃厚な殺気』
→多分、大切なお菓子を食べられて怒ってるだけさ(嘘)
『イル・グランツ』
→光系テクニックの一つ。無数の光弾が目標に向かって飛ぶ。貫通性は無いが、誘導性は高いため、単体に対して高い威力を誇る。
『ハンター』
→基本クラスの一つ。近接系として一番の体力を誇る。ゲーム中ではメインクラスとしてあまり活躍させて貰えない不遇な子。サブとして優秀←
『シフタ』
→炎系テクニックの一つ。数少ない補助系のテクニックで、使用者から一定の範囲の味方の攻撃力を上げる。作中では攻撃力なんて概念が無いので「力が上がる」という効果に変更。(それでも何か変だけど)
『フォイエ』
→炎系テクニックの一つ。炎弾を目標に飛ばす、オーソドックスなテクニック。ただし、シンプル故に極めると高い威力を有する事になる…かも?