Apocrypha開始前……開始、前?
とある日、影の国でのんびりしていた。その時に思いついた、と言うよりは思い出したことがあった。
「なぁスカサハ」
「ん、なんだ?」
「そういえば第3次聖杯戦争どうなったんだろうな?」
「知らないが……あぁ、あれか。貴様が語っていた『あぽくりふぁ』と『すていないと』のどちらの世界線だったか、の話だな?」
「そうそうそれなんだよ……もうすぐ第3次聖杯戦争が始まるからな、確認しておきたいんだ」
そう、今は1930年に入る頃合である。第3次聖杯戦争が始まる時期ということで今後始まるであろう展開を見に行き、対策を立てるのである。
もしアインツベルンがアヴェンジャーを呼び出していたらstaynight時空。ルーラーを呼び出していたらApocrypha時空であるため割とそこを確認するのは重要なのである。
「と、言う訳で行ってく──」
「そんなに急ぐことか?」
「いや、早く確認「あと数日くらい良いだろう?」ちょっ、おま「逃がさん、
ニゲラレタケドニゲラレナイ。
心臓痛い。
いやぁ、大変な目にあった。いきなり発情しやがって……うさぎかあいつは。この体じゃねぇと死んでたぞ、不老不死の体を存分に使いやがって……まぁいい。早速日本へ移動するとしよう。勿論行き方は飛行機だ、手配してくれたのは俺とスカサハの子孫であるヴァイスロイ八世である。八代目当主の彼は時計塔一の投影魔術の使い手であり、恐らくはヴァイスロイ家で1番の投影が使えるだろう……俺を除いて。
「では、初代様。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「おーう、んじゃ行ってくる」
軽く後ろに手を振り歩く。時代背景的に今は……特に目立ったことは無いのか。あと数年すると第二次世界大戦が勃発するけどそれだけかな……?まぁそれは今はどうでもいいか、早く行って早く確認しなければな……
などと、考えていたが、それはだいぶ甘かったようだ。
いや、ぶっちゃけるとこの時点で何があるのか分かるやつはほとんど居ないだろう。だって──
神降ろしが始まるとか、誰も思わんて。
飛行機に乗ってから数時間、イギリスから日本まではこの時代だと早くて……2日か3日くらいになるのだろうか。その間俺は暇を持て余していた……いやまぁろくな娯楽も存在しないこのご時世だとそうなる。
「ひっ」
ボードゲームも侍従と遊び尽くしたからやることないし、女と遊ぶとなるとスカサハが
「し、初代様!あれなんですか!?」
なら博打と言う話になるが、身体能力が高すぎて丁半やら、トランプだってなんもかも見抜けてしまう。強いって、割と不便なんやな……
「ちょっ、なんか近づいてきてますよ!?」
「……………」
という訳でそろそろ俺は現実逃避するのをやめたいと思う。さっきから俺の隣で騒いでいるのは、世話役を頼まれている先代当主のオリバーである。既に当主の座を明け渡しているのに今代にこき使われる悲しき元当主である。
「というかここどこ!???!?!?」
隣で騒ぐもんだから気になって旅客機から見える外の景色に意識を向ける、そこは先程までの大地や海が見える光景では無い。
空は赤黒く染まり、雲が人の肝臓やらなんやらの内蔵に置き換わっており、海は血でできている。大地はもはや肉塊としか呼べず、そこに居る生き物たちも肉の塊でありもはやなんの生き物だったのか、既にもう分からない。
そして空中にはありとあらゆる言語で書かれた怨嗟の文字群が空を漂っており、その中心に何かが見える。
「はははは、こりゃひでぇな」
「こ、ここ!なんですか!?」
「ここか?端的に言えば
「あああああ、アンリマユ!?『──GURUAAAAAAAA!!!!』ヴェッ!?」
アンリマユ、全ての悪を司る神であり、善ではなく悪を選んだ創造神だ。そしてそんな大物が作ったやつの中で一番厄介であり、有名な眷属はこいつだろう。
「悪竜アジダハーカ、神話上の生物だぞ。喜べ」
「よ゛ろ゛こ゛へ゛な゛い゛て゛す゛!」
「てかあいつ封印されたはずじゃ……てか、俺はそれに協力したんだがなぁ?」
あいつはおおよそ紀元前21世紀頃に大暴れてしていた全ての悪の根源と呼ばれていた化け物である。その頃に俺はアジダハーカの血から湧く邪悪な生き物の襲撃に嫌気が差して討伐に向かったんだよな……その道中で英雄スラエータオナに出会い、封印系統の宝具を貸し与えてダマーヴァンド山と呼ばれる場所に封印したのだが……
「誰かが出したのか、それとも封印が緩んだ時に出たのか……まぁどちらでもありそうだが明確なのは」
「な、なのは?」
「俺を恨んでるからこっちに飛んできてるってことだな!」
「うわぁーーーーーー!?!?!!???!?」
まぁ封印された原因のひとりだしな……当たり前か。