アンケートによりぐだはぐだ子になりました。
ぴっちぴっちのJKぞ、敬え
「いい?これからあなたが呼び出すサーヴァントと呼ばれるものは過去に存在したと言われる英雄達や偉人なの……理解してる?」
「え、なんて言いましたか所長!」
「なんで聞いてないのよ!これから私達の命運を決めると言っても過言ではない存在を呼び出すのよ!?」
「でもサーヴァントならマシュが──」
「いい?藤丸立香。確かにマシュもサーヴァントなの。でもね、彼女はデミ、紛い物なの。確かに過去の英雄の力を持っていると言っても宝具は発動しないわ、借り受けた英雄の名前も分からないわで正直言って戦力としては不安しかない。それに彼女は生身よ、本物のサーヴァントなら死してもまた召喚すればいいの。でも彼女は死んでしまったらそこで終わり、『座』から出てくる訳でもないの」
「あの所長、私は別に大丈夫で──」
「マシュ、少し待ってて欲しいわ。これに関してはさすがに黙ってられないの。事態が事態ですし、事情が事情なのでこの未熟者のマスターを少しでも使えるようにしなければならないの」
特異点X、かつて聖杯戦争が行われた冬木と呼ばれる場所。そこは見るも無惨な姿に成り果て、ありとあらゆるものを焼き尽くす業火に包まれた街になっていた。
「……」
「それにマシュも一人の少女なのよ……?そんな子を戦わせたいの?」
「所長、それ以上は」
「ううん、いいのマシュ……そう、だね。うん。確かにこんないい子を戦いなんかに赴かせたく無いね。分かった、しっかりと話を聞くよ」
そんな街角で3人の少女が話し合っており、そこになんか半透明みたいな画面が浮かんでいた。
『わぁ、珍しいな。所長がこんなに感情をさらけ出すなんて』
「黙ってなさい、ロマニ・アーキマン。減給するわよ」
『いえっさぁー!』
その画面の先に居るであろう人物が敬礼をしたのを確認したのか、金髪の少女がオレンジの髪の少女──藤丸立香と呼ばれる少女に話を続ける。
「どうして私がそのサーヴァントと呼ばれるもののマスターにならないのか、そんなことを今は思ってるでしょ?」
「え、いや私はそんなことないんですけど」
「まぁ別に思っててもいいわよ。既に乗り越えたあとですし、昔はかなり引きずってたことですけど」
「?」
「それで何故魔術師である私がマスターをやらないのか、それは単純にマスター適性がないからよ」
「適性?」
いわゆるサーヴァントを使役し、それらを行使して戦う者の適性を言う。
「えぇ、所謂縁と呼ばれるものを扱うに値しないって感じなのよね……はぁ、本当に今は悔やんでも悔やみきれないわね」
『仕方がないですよ、所長は何故かマスター適性だけがピンポイントでないんですから。まるで呪いみたいだ』
「ほんとなんでかしら……気にしてなかったのに、こんな状況になるなんて必死こいても原因を探ればよかったわね」
まぁそれはそれとして──マシュが持っている巨大な盾を地面に置き、その上へ魔力の塊であり、巨大な縁を結ぶための虹色に輝く石を置く。
「えっと、所長。これなんですか?」
「本来はサーヴァントの召喚には聖杯、もしくは人類悪と呼ばれる存在が出なければ出てこないの。だけどこれは別、この盾は盾であり円卓でもある。英雄が集うという概念を使い、これを触媒としてサーヴァントを召喚できるようにする補助礼装よ」
「へぇ、てことはここからサーヴァント達が出てくるんですか……ニュって出てくるのかな?」
なんだその想像は、とここにいた人物の大半は思ったが確かにそれは気になることである。
既にサーヴァントを召喚したことがあるとはいえこの様な場での召喚は初めてなのだ、そんなことが万が一あっても有り得るだろう。
「というわけで、藤丸立香。あなたに召喚を行ってもらいます」
「はい、でどうやってやるんですか?」
「基本的な部分はカルデアの召喚システムが担ってくれるわ、だから手を翳して来て欲しいと願う。それだけでいいの」
その言葉に従い、藤丸は地面に置かれた盾に手を翳し願った。
──どうか、この場を切り抜ける強力な人を
──どうか、私達を守り通せる強い人を
──どうか、私達を救い出せる人を
その瞬間藤丸が首から提げていた小さな金色の剣が光り……収まった瞬間盾の上に召喚サークルが現れ、強烈な光を放った。その目を焼き尽くすはずの光はどこか故郷を思い出させるような優しさでその場にいた3人を包み込み、
「ぐっ……!?ふぅ……」
閉じていた目を3人は開き、そこには先程までいなかった男を見すえる。
マントを纏い、フードをかぶりその顔は窺えずとも、その背中に携えた銀色に輝く美術品のごとき弓と腰に無骨でありながらどこか気品を感じれる金色の剣をさしていた。そしてその身長はあまりにも高く、2mは優に超えるであろうその体は完璧な出来となっていた。
「ふむ、君が俺のマスターかな?」
そしてその男は口を開き──画面の奥に居たロマニと呼ばれた男と、その場にいたオルガマリーと呼ばれる少女が思いっきり目を見開く。
しかしその問いをされた召喚主たる藤丸は単に英雄が来てくれたとしか認識しておらず、そのまま普通に応対する。
「はい、私がマスターです……?」
「……なぜ疑問形なのか分からないが、これにて契約はなった」
膝を着き、藤丸と同じ視線になったサーヴァントととなった男は口元だけで笑みを浮かべ言葉を紡ぐ。
「これより先、俺は君の盾であり剣であり弓だ。君の障害となるものは全てこの俺が跳ね除ける。安心していいよ」
「ぁ……はい……お願い、します」
その言葉に従い思わず藤丸は緊張で強ばっていた体を弛緩させる。
唐突に見知らぬ場所に連れられ、唐突にその施設が炎上し、唐突にまた見知らぬ場所燃え盛る場所に居て、唐突に訳の分からぬ存在に襲われ、一息つくどころか命が常に脅かされてきたのだ。そんなものを普通としか形容できないこの少女が耐えれるはずがないのだ。思わずといったふうに全身から力が抜けて倒れそうになって、それを支えるサーヴァント。
「おっと、緊張が解けたのかな?少し休むとするか……君にも
その場に上質なソファを出した男はそこに座り込み、その膝の上に少女を横たわらせ頭を乗せる。いわゆる膝枕と呼ばれる動作だ。
「え、あ、ちょっ。ちょっと」
「ん?どうした」
「いや、あの……恥ずかしいかなぁって、あはは」
少女の年齢はピッチピチのJK、しかもなりたてだ。そんな純情な少女がこう、唐突に膝枕なんてされたらそりゃもう恥ずかしいのだ。
「あー、でも済まない。これは仕方がないことなんだ。俺にも君にも必要だからねぇ」
「すいません、少し聞きたいことがあるのですが」
「そんなに畏まらなくても良いんだけどな……で、なに?」
唐突に態度をきちっとしたものに変えたオルガマリーを見た藤丸とマシュと呼ばれる少女は首を傾げた。
「貴方は、もしやヴェルグ・ヴァイスロイ様ではありませんか?」
「如何にも、俺はヴェルグ・ヴァイスロイだ」
『や、やっぱり?その声どこかで聞いたことあると思ったんだ……まさかあの人がサーヴァント化するなんて』
「でもそれって有り得るのでしょうか……?あの人はまだ死んでないはず」
「あぁ、その事か。俺は分体だからサーヴァントになれるんだよ」
分体、要は魂を分割し、本体とそれに連なる分身を作り出す手法である。昔には不老不死になれると自分の魂を分割し、自我が掻き消えそのまま自然に帰っていった魔術師が後を絶たなかった。
「……え、では本人は?」
「生きてるよ、まぁでも無理やり剥がされたわけだから8年くらいは動けないんじゃねぇか?」
「随分と具体的ですね……」
具体的なのはもちろん解析したからであって、感覚的にいえば数十年ほど動きたくないって思っていたりする。
「その影響はもちろん俺にも受けているわけでな、今激しい戦闘すると霊体化どころかサーヴァントとしての体裁すら保てないんだよ」
『なるほど、だからこんなに霊基が弱々しかったんだ。彼ほどならもっともっと強靭だと思ったから違和感しか無かったよ』
だから休むことが必要と言ったのだ。事実今は様々な宝具を最低限の魔力のみで使用しながらサーヴァントとしての核を補強している。
──それはいいことを聞きました。
「え?」
「っ!ロマニ!」
『え、あ、サーヴァント反応だ!いつの間にか接近してた!みんな構えて!』
「と、この声は……あいつか」
どこからか声が聞こえ、3人は右往左往し、サーヴァントであるヴェルグは声がしたであろう方向に顔を向ける。
「出てこいよ、ランサー。いんや、こう言った方がいいか?」
「メドゥーサちゃん」
「変な呼び方をやめなさい!」
上から降ってくる大鎌。それを地面から貫通させるように投影したおおよそ4メートルほどの長さを持つ槍を2本交差させて受け止める。
「きゃっ!?」
「気に入らなかったか、じゃあ愚妹?」
「ッ!どれだけ私を愚弄すれば気が済む!」
幾度振るわれる大鎌、縦横無尽に駆け巡りながらランサーと呼ばれた女性はソファに座りながら膝枕をしている男に愚弄されていることに腹を立たせている。
「ぐっ!このっ!まともに!戦いなさい!」
「いや、だって激しく動いたら死ぬんだぜ?だったら今できることをするだけだ」
「……す、凄い。座って膝枕してるのになんて言うか、ダサいのにかっこいい!」
「しょ、所長?性格が変わってますよ!?」
「ほへー……これが私のサーヴァント……」
『ひぇっ!画面越しだと言うのになんて殺気だ!恐ろしいな』
地面から槍が生え、着地した街灯から剣が生え、足場にしたビルからトラバサミが生えたり。もはや一種のアトラクションのようなものになっている。
『あれ?おかしいな』
「どうしたのかしらロマニ」
『うーん、どうやら彼は投影魔術使ってないみたいだ』
「え、あ、は?投影魔術の始祖と呼ばれる者が投影魔術を使ってない、ですって?」
そう、今ヴェルグは投影魔術を封印していた。
「いや、投影魔術って魔力バカほど食うだろ。今余裕ないのに無駄な魔力使ってられないって。俺が普通に投影してたらマスターが干からびるっての」
だから代わりに投影魔術を使うにあたって強化された目を持って覚えた錬金系統の魔術を使って対処しているのだ。その場にあるものを利用するので魔力消費は抑えられる。
「くっ……うああああ!!」
「締めにしようか、【針山】」
全身がボロボロになり、最後の力を振り絞って特攻じみた突撃をかましたランサーは四方八方から生えてきた針に貫かれ、その場で息絶え……光の粒子となり消えていった。
「ふぅ、終わりっと……」
「流石ですね、その実力はサーヴァントになっても衰えないとは」
「まぁな……成長しないが、衰えないってのがサーヴァントのいいところだよなぁ」
と言ったところで手を伸ばし、地面から生やした
「出てこいよ、コソコソしてねぇでさ。性分じゃねぇだろ」