どうやら夜人は日に日に成長しているようだ。
この世界に来たばかりの頃は【闇送り】しかできなかった夜人だが、その内影に潜むようになった。
今では影の世界を通ることで実質的な瞬間移動――【影渡り】と適当に名付けておいた――なんかも出来る様になっている。
俺は聖女さんから逃げるため、ヤトに連れられて影にもぐりこんだ。
その後、不気味な影の世界を抜けて気が付けば神殿の寝室にいた。
森深くにある夜人が創った大神殿の最奥、第3層にある俺の寝室。
青白く光るベッドと大きなクローゼットが目立つ部屋だ。
(……うん? クローゼットなんかあったっけ?)
どうやら、この寝室も気付かぬ内に少しずつアップグレードされているようだ。
重厚な木材で作られたクローゼットの中には、どうやって用意したのか黒いドレスと、俺の私物を模したワイシャツとスーツ一式が用意してあった。
あと、女の子向けのかわいい下着まであった。
手に取って広げてみる。くまさん柄。
……この下着はちょっと着たくない。
これ着たら心まで少女と化しそう。
聖女さんとじゃれてると、たまに「あれ? 実は俺って少女だったっけ?」て思う事あるし……。
(いやいや! 違うから。俺は俺だから、独身童貞の男。思い出せ、あの孤独な日々を!)
パンツは見なかったことにしてクローゼットを閉じる。
「……瞬間移動、便利だね。どこでも行ける」
ヤトの腕をなでなでと褒めてみる。
しかし彼は困ったように手を振って違うとアピールしてきた。
「ん? そうでもないの……?」
影が有るならどこにでも一瞬で行けるのかと思ったが、そうでもないのだろうか?
「何か条件ある? それとも回数制限?」
ヤトはこの部屋と俺の影を指さして、その後なんか動いているが……いまいち要領を得ない。
やっぱりボディランゲージだけでは意思疎通に難がある。
(喋れればいいんだけど……そこは成長しないんだよね)
その時、寝室の扉が開いて何人もの夜人が顔を覗かせた。
どうやら突然現れた俺たちの様子を見に来たようだ。
最初の頃は不気味に思えた夜人の習性だが、いまでは主人の帰りを見に来た犬猫といった感じで愛着がわいてきた。
「おいで」
ちょいちょいと手招き。
許可が出た途端、嬉々と寄ってくる所作は飼い主に懐ききった大型犬といった表現が一番近い。
まあ見た目不気味だし、威圧感は強いのだが。
「ん……赤と青」
近寄ってきた夜人の中には、首にしっかり赤いリボンを巻いた者と、頭に可愛く青いリボンを巻いた者が交じっていた。
仮面の男と戦った時に助けてくれたのが赤リボンの夜人だ。
青リボンはこの神殿の拡張・維持管理チームの班長さん。
夜人の識別が難しいので付けてみた。
ちなみに赤青リボンは聖女さんに頂戴と言ったらくれたモノだ。
その時、俺も頭に可愛いくリボンを巻かれたが……そんな記憶は忘れた。
「青。屈んで」
「……!」
ちょっと頭のリボンがズレていたので直してみる。
キュッと結んで位置も整えて……うむ。似合わない。
でも本人は喜んでいたのでよし!
「ところで青。身長縮んだ?」
「?」
夜人は基本的に見た目が一緒だ。
ヤトだけ周囲より頭一つ大きいのが特徴だったが、逆に青リボンの夜人は最近、頭一つ小さくなった気がする。
「なんか理由ある?」
「……?」
俺と青は互いに首を傾げ合う。
どうやらこの夜人も身長の事に気付いていなかったようだ。
だけどすぐに「あ、あれかな?」と手を叩いて何かに気づいた様子。
ただしその説明は出来ない。
俺に何かを伝えようとワタワタしているが、その動作では意味不明である。
「やっぱり……そろそろ会話できない?」
こういう細かい所が不便なのもあるが、会話できないとそれ以上に重要な案件に関わるのだ。
俺は仮面男との戦いで学んでいた。
漫然と過ごすだけでは、この世界を生き残れない。
ここは小さな勘違いが村を滅ぼす死と隣り合わせの世界なのだ。
いまこうやってのんびりと生活していても、明日にはそれがあっけなく崩壊する可能性だってある。
俺の身近には【闇】が多い。
夜人もそうだが、俺自身が夜の神を宿した【夜の化身】だ。
そしてこの世界の主教は太陽信仰ときたもんだから最悪だ。
世間一般では闇というのは絶対悪と考えられており、忌避される存在と勉強したから知っている。
なぜ聖女さんがその司祭という立場でありながら、闇派閥の俺を大事にしてくれているのかは、いまいち分からない。
だが、それも聖女さん故という奴だろう。
村人たちだって、聖女さんの説得や仮面男との戦いが有ったから、畏れながらでも俺を受け入れてくれた。
だけど教会上層部が同じ考えとは思えない。
「……最悪、戦争になる。闇と光。神話の再現」
ある程度は妥協するつもりだ。
俺の生存権が認められるなら監視ぐらい受け入れるし、力の制限だって問題ない。
だけど問答無用で死ねと言われれば、俺は全力で抗うつもりだ。
ましてや俺を庇って聖女さんが傷つくなら……。
俺は全てを守り通さなければいけない。
「だから、そろそろ会話……できないと不便」
神殿の更なる要塞化や周辺国家の情報収集、なんならエリシア聖教の動向も知りたい。
あと聖女さんが言ってた闇の組織【黒燐教団】の存在も気にかかる。もう消滅してるらしいが、なにか参考になる情報が有るかもしれない。
もう俺は立ち止まらない。
自ら動いてこの世界のパワーゲームに参加するより生きる道はない。
夜人にはそれを可能とするだけの力があると俺は確信している。
だけど、それは意思疎通が上手くできたらの話。
会話でも筆談でもいい。そろそろ意思疎通をしたい。
集まった夜人達にそう言うと、彼らは一様にヤトのことを見つめた。
彼がオロオロしだす。
「……ヤト? もしかして喋れる?」
「!??」
ヤトはビクリと体を震わせた。
ジっと見つめると観念したのか、彼はゆっくり頷いた。
「……なら喋って」
なんで今まで黙ってたんだよと、ジト目で見つめたらヤトは慌てて手を振った。
なんだろうか? ……やだやだと言ってる風に見える。
その様子に赤リボンの夜人が詰め寄っていく。
ずんずんと歩み寄って、突き刺すんじゃないかという程勢いよくヤトの顔面を指さした。
―― お前観念しろよ! いいから喋れ!
―― やだやだ! 喋らない! 俺はまだ喋らない!
そんな会話だろうか?
顔の口の辺りを押さえるヤトとその手をはぎ取ろうとする赤夜人。
無言ながら、彼らの間で何かやり取りが行われているように感じられる。
怒り心頭といった赤夜人とあたふたするヤト。
「!!」
しかしヤトは開き直った。
赤と、なぜか青にも言い返す。
――お前らだって喋れるだろ! なら、お前が話せ!
二人は「うっ」と言葉に詰まって後ずさる。
その光景はまさに図星といった感じ。
なんだろう……責任の押し付け合いという訳では無いだろうが、みんな俺とお喋りしたくないのだろうか?
そんな光景を呆れたように眺める夜人達に交じって、俺も3人の言い合いを見届ける。
「……!」
「!! ……!」
ヤトが責められたり、言い返したり。
たまに二対一で他を責めたり。
特に青い夜人が劣勢のようだ。
身長が低いせいもあるのか、ヤトと赤に責められると逃げてばかりいる。
「……誰も、私と喋りたくないの?」
終わりの見えない言い争いを見てたら、なんだか悲しくなってきた。
よく分からないけど、喋るという事は彼らにとって重要な事なのだろう。
だけどそこまで嫌がられると俺だって辛いのだ。
ただでさえ村人に避けられてるのに……夜人にまで避けられたら泣きそうだ。
「……!」
三人が慌てて、俺を宥めてきたが――
「じゃあ喋れ」
みんな目線をそらした。
なんだ、てめぇ等!?
「はぁ……分かった。じゃあこうする。喋れる夜人に今後、私の付き人任せる」
「!?」
電流が走るとはこの事だろう。
ヤトがぷるぷると自分を指さしているが、すまんね。側近チェンジだ。
「私は、それだけ本気」
彼らの希望は叶えたい。喋りたくないなら、それも仕方ない。
だけど、こっちは俺の命や聖女さんの安全が掛かっているのだ。
飴と鞭を提示したことで数秒ほど彼らは沈黙したが、覚悟を決めたヤトが一歩前へでた。
「……喋る?」
頷いてくれた。
よかった。
俺だってずっとヤトに頼ってきたから、できれば付き人は彼のままが良かったのだ。
だけどそれに待ったがかかる。赤と青だ。
赤夜人がヤトの肩をつかんで、引っ張り込んだ。
「……!」
「!! ……!」
そしてまた喧嘩が始まった。
今度はなんだろう……?
――なんだよ、俺が喋るんだよ! お前ら黙ってろ!
――うるさい! ヤトは付き人一杯やっただろ、俺が喋るから代われ!
そんな感じ。
「えぇ……」
どうして、逆は別の意味で喧嘩する……?
▼
ところ変わって神殿の正面入り口。
結局、あの言い争いは三人全員で喋るという決着になったようだった。
まだ真昼間なので、日光に晒されると浄化される夜人は通路の影に避難している。
俺は神殿から出ると手で影を作って太陽を見上げた。いい日差しだ。
「ここで、なにするの?」
振り返って入り口を見ると、ヤトが堂々と通路から歩き出して来るのが見えた。
そのすぐ後ろに赤と青。二人の夜人が続く。
当然、三人とも光を浴びて全身から黒い蒸気を噴き上げる。
「あ――」
危ない、と言うよりも早くその蒸気が爆発的に広がった。
黒い煙が周囲を覆い尽くして辺りが急激に暗くなる。
「……え?」
日光を遮る程、一帯を覆い尽くす漆黒の蒸気……かと思えたが違う。
黒い蒸気は吹き抜けた一瞬で消えていった。
だが煙が明けた視界でも辺りは薄暗い。
なんだと思って周囲を見回し、そして空を見上げる。
そして俺は息をのんだ。
「――太陽が」
空に浮かんでいる太陽が、まるで日食が始まったかのように削られ始めていた。
だが、覆いかぶさっていくのは月ではない。
不定形の黒いナニカが横から侵食するように太陽を食べ始めていた。
「なに……あれ……?」
眩しくも美しかった太陽は瞬く間に不気味な核に変わってしまった。
太陽に成り代わった「黒い太陽」が闇の光を放っているんじゃないかと思う程、周囲には闇が広がる。正常の摂理とは思えない異様な光景だ。
周りの木々が重苦しくざわめく中、静かな声が届いた。
「――主」
男とも女とも判断できない程度に低く、しかし澄んだ声。
太陽に気を取られていた俺は慌てて目を移す。
「ヤト……?」
それは重厚な騎士だった。
全身を包む鉄黒色の甲冑。
手足に伸びる赤い縁取りは血のように赤く、脈動しているかのように仄かに光っている。
「
推定ヤトは目の前まで歩いてくると、片膝を地に突いてそう言った。
角張ったフォルムの黒い鎧は何処かのゲームに出てくるような暗黒騎士らしい風貌。
全身から黒い粒子が立ち昇り、オーラの様に纏っている。
「此度の遅れ馳せた事、
「きょ、え? ……きょ?」
ヤトがなんか難しい言葉を使ってる。
(え? 誰これ? ……え? ヤトってそんな頭良かったの?)
ぶっちゃけ俺はヤトが喋った内容の半分も理解していない。
なんか変身してない? とか。
めっちゃ流暢に喋れるじゃん、とか。
なんか日食起きてますけど? とか。
(いろいろ言いたい事あるけど……なんかショックなんですけど!?)
騎士然に頭を下げるヤトを前に俺は茫然と立ち尽くした。
お前そんな頭いいキャラだったかって突っ込みたかったが、なんかそんな雰囲気でもないので静かに息をのむ。
しかしその配慮をぶち壊す言葉がヤトの背後から投げかけられた。
「おら、主が驚いてるぞ。いまさら格好つけたって遅っせんだよ」
「……ね」
ヤトの後ろから歩いてくる、一人と一匹。
状況的に考えればあれが赤夜人と青夜人だろう。
「主の御前である。汚らしい言葉を慎め、
「だから素を出せっつってんだ。その似合わねぇ言葉遣い、どこの騎士様だテメェ。気持ち悪りぃな、今すぐ止めろ」
ヤトに喧嘩腰で話しかけた人は女性……だと思う。
まるで神職の人が着てそうな黒い袴に白い羽織を付けた服装。
着ている服は袖が大きくゆったりした着物――千早という服に近い――だが、色合いはよく見る赤と白ではなく、黒と白。
長い黒髪を頭の上で結ってポニーテールっぽく纏めている。
首にきつく縛った赤いリボン。そして顔には狐面。表情は見えない。
「……ね」
そんな佳宵と呼ばれた女性の言葉に同意するように、一匹の子犬が頷いた。
……うん。子犬としか言いようがない。
光り輝くような白銀の毛色をした、抱えるサイズの子犬。
耳元に青いリボンが括り付けられている。
「
「……うん」
自己紹介された。犬に。
「
「あ~? なんで私がテメェに命令されなきゃならねんだ。知らねぇな……付けとく」
「っふ……主の前では素を晒せと言ったのは誰だったか。貴様は素顔すら晒せぬとみえる」
「……あ゛?」
鼻で笑うヤトの態度に佳宵がイラついたような声を出した。
「だったらテメェも兜とれや。いいぜ、じゃあ互いにとるか? あぁ!?」
佳宵はそう言って勢いよく狐面をはぎ取ると、側頭部に付け直した。
お面の下から現れたのは普通の女性だった。
二十代半ばだろう見た目と、ちょっと気の強そうな吊り目が特徴の色白美人さん。
うん。なぜお面を外すのを渋ったのか分かんないほど綺麗な人。だが口が悪い。
「おら私は取ったぞ! お前も兜取れやオラ! オラ!」
「ぬっ!? ぁ、や、やめ……ばか! やめろばかー!」
俺の目の前でわちゃわちゃと騒ぎ始める二人。
片膝突いていたのが悪かったのか、ヤトの兜は簡単にはぎとられてしまった。
「わ、からっぽ」
あるはずの場所に無いヤトの頭部。
見えたのは伽藍洞な鎧の内部だった。
なんという事だ。ヤトは彷徨う鎧だった。
佳宵は奪い取った兜を手でポンポン投げて弄びながら勝ち誇った。
なぜかヤトは身もだえている。
「ほれほれ。これで満足ですかぁ、脳無しさぁん? よかったなぁ、テメェは全身晒したぞ。体の内部まで恥ずかしい所が丸見えだ!」
「……ぁ、相変わらずの野蛮さだな……人間モドキ」
ヤトと佳宵が睨み合うだけで空気が震えているようだ。
二人から闇の瘴気と魔力が立ち上がる。
(あの、これ大丈夫なの? 日食起きちゃったし……なんかいきなり喧嘩してるし……ん?)
二人を止めるに止められないでいたら、違和を感じて足元を見る。
そこに俺のズボンを引っ張る犬がいた。
「ヨル、ヨル」
「ん、どうしたの……えっと、銀鉤?」
「……抱っこ」
「……うん」
子犬を拾い上げて抱きかかえる。
毛並みに逆らわないように撫でると、銀鉤も気持ちいのか喉がクルルと鳴った。
どうしたもんかなぁと喧嘩する二人をみて考えたが、間に入って止めるのも怖いからなり行きに任せる他ない。
うん……。
とりあえず、子犬がカワイイ。
「おい銀鉤テメェ、こっそり抜け駆けか!? 潰すぞ陰湿野郎!」
「主に抱かれるとは不敬である。おい腹黒犬、そこを代われ」
腕の中で子犬がプルプル震えた。
「……二人とも、そろそろ黙って」
なんだか自由過ぎる二人に話が進まないとストップをかける。
見た目がかなり変わったせいで、俺の言う事を聞いてくれるのか不安だったが……それは無用な心配だったようだ。
声を掛けたら、佳宵はヤトに倣って片膝を突いて礼を正した。
銀鉤も腕の中から静かに見つめてくる。
三人は黙って俺の言葉を待っていた。
「うん。喋れるのはいい事」
ただし悪い事も一杯あったのは予想外……。
聞きたい事は山ほどあるが、その中で一番気になる事を確認する。
「まず日食。これ……大丈夫?」
空に浮かぶ暗黒太陽を指さす。
「この世界、文明レベルがいまいち不明。日食周期の予測ができるレベルなら、これ……たぶん突発的な日食扱い。問題にならない?」
そもそもコレは本当に日食なのか?
俺はあの暗黒物質を見てもなんとも思わないが、普通の人間が見たら正気を削り取られそうな見た目してるのだが……。
そういう意味で問いかけたのだが、ヤト達は心底不思議そうに悩んだ後、事も無げに言った。
「問題になるか、ならぬかと問われれば……なりませぬ。一切些事かと」
「私も
「佳宵。ちがうぞ、今の私はヤトと呼べ」
「うっせ」
初魄……ヤトの事だろうか?
みんなしっかり名前有ったんだ。
ちょっと気になるが本人がヤトと呼べと言っているから、今はあまり突っ込まない。
「そう。問題にならないんだ……日食」
内心本当かよと信じられなかったが、ここまで自信満々に言われると疑うのも申し訳ない。
だけど念のため銀鉤にも聞いてみる。
「日食……ボクは好きだよ?」
「うん」
どうやらワンコロは日食が好きらしい。
尻尾を振り振り、目をキラキラさせて訴えてくる。
でも残念。それ質問の答えじゃないよ?
所詮、犬は犬並みの知能だった。
「まあ、それも含めて今後の話をする」
ちょっと夜人の価値観が疑わしくなってくる今日この頃。
俺たちは色々な確認事項について話を進めた。
仮面男の正体は結局何だったのか。
聖女さんや村の護衛について。
また周辺国家の情報収集と、俺たちの安全の確保について。
それにその姿は何なのか? この日食はなんだ?
色々な情報と認識を共有する。
その結果分かったことは――
「分からないことが分かった」
――ほぼ無いと言ってよかった。
周辺国家の情報など皆無。国名すら知らないし技術レベルもほぼ不明。
仮面の男は"その辺にいた歴史好きの変態"とのこと。村の護衛は頑張るそうだ。
(……よくそれで日食を問題ないと即答できたなー、おい)
日食が起きたのは、強力な闇の3柱の出現の影響だとか。
一体どういう原理なのか疑問だが、まあ不思議ぱわーという奴だろう。
つまりこの日食は決してヤト達三人が意図して起こしたわけじゃない。
らしいが……本当か?
ちょっと疑わしい目で見つめる。
「主よ。よもや私を疑っておいでか。違う、これは私の望みではない」
「え、いや。……ごめん」
「私はもっと格好いい演出を望む。暗黒太陽が破滅の光を巻き散らすとか、そのまま地上に墜としてしまうとか……いいよね」
「ごめん。やっぱヤト疑わしい」
「え!?」
ちなみに三人の姿が変わったのは夜人の【変化】というやつで、喋れるようになるが今は1分ぐらいしか持たないらしい。
長時間維持するために力を抑えた状態でも3分が限界。ウルトラマンかな?
そして最初に誰も喋りたがらなかった――――変化したがらなかったのは、もっと大事な場面で恰好よく登場したかったから……らしい。
……お前らのんきかよ。
夜人's「\٩( 'ω' )و ///」 パワワワ
太陽「ぐわあああーーっ!!」
聖教会「やばい(絶望)」
黒燐教団「やばい(喜悦)」
ヨルン「やべぇ……(絶望)」