ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「A3君はメラゴースト君に会えたのかな?」
ルーラの呪文なら行き違いでも起こらない限り大丈夫だとは思うけれど、他の仲間にもとも言ってたから、分裂した他のメラゴースト君にもおれ達の戦いのことを知らせるんだろうとも思う。
(そう言えば、おれメラゴースト君が全部で何人居るのかも知らないや)
分裂したメラゴースト君が知らないところで分裂してればメラゴースト君本人も知らないかもしれないけれど。
(とりあえず、メラゴースト君、それから先生の仲間の元のに弟子入りしてるのが、マァムのお母さんの所に一人、確かロモスの山奥にも一人向かったってポップが話聞いてきてたから、そっちにも一人。マトリフさんのところはA3君として、これで四人。えーと、あとは……うーん、敵にもメラゴーストは居たからか、もっと多い様な気もするんだけど)
思ってるよりおれってメラゴースト君のことを知らないのかもしれない。
(今度会いに来たときにその辺りのこと聞いてみよう)
会いに来るのはA3君じゃなくて修行を終えたメラゴースト君本人ってこともあるかもしれないけど、それならきっともっと先になる筈だ。
「なら、今はこっちの問題を何とかしないと」
言いつつおれが鞘から引き抜けば、ポップとおれの顔を映した鋼の剣にはヒビや刃毀れがあちこちにある。
「激戦をくぐり抜けてきたからなあ……」
そう言って腕を組んだポップが遠くを見るけど、本当に激しい戦いが多かったし様々な強敵が居たとおれも思う。ヒュンケル、フレイザード、それから。
(ミストバーンだっけ? バルジ島で戦った見た目はフワフワしてたくせにすごくパワーのあったやつ)
ヒュンケルの暗黒闘気の技の師とも一緒に居たザボエラが言ってた気はするけど。
(A3君が居なかったらバダックさんとおれだけで軍団長二人とその軍団を相手にしなきゃいけなかったから、もっと苦戦してた筈。そういえば魔法の筒から出たA3君がミストバーンを見たとたん固まってたけど、あれは何だったんだろう?)
ともかく、A3君の呪文で鎧のモンスターはあっさり一掃できたし、ザボエラの方はAと因縁があるからと受け持ってくれておれとバダックさんがあのミストバーンって奴の暗黒闘気に捕まらなかったら、苦戦らしい苦戦にもならなかったと思う。
(その後駆けつけてくれたクロコダインが微妙そうな顔してたっけ)
結局A3君がザボエラを追っ払って加勢に来てくれたところで、そのミストバーンって奴は去っていったんだ。フレイザードとの戦いの終わりごろになってもう一回現れたけど。
(結局よくわからないやつだったよな、あいつ)
フレイザードの氷の半分を倒したと思ったら、炎の方の半分に鎧を与えて助けたものの、おれに負けて助けを求めたフレイザードの欠片を踏みにじって、戦わずに帰っていった。
(ヒュンケルの血で目がよく見えてなかったから半分は聞いた話だけどさ……って、あれ? 敵は色々居たけど戦ったのって思ったより少ない?)
そんな考えが頭をよぎったが、いやとすぐに頭を振った。
(数の問題じゃない。フレイザードは強敵だった。A3君の呪文は炎も氷も通用しなかったし、それに)
メラゴースト君が弾丸にベギラゴンを詰めてくれたおかげでレオナは無事助け出せたんだけど、気が緩んだのが悪かったんだろう。
(あの謎の、男か女かもわかんない奴)
レオナに気をとられている間に、どこからともなくマァムに襲いかかってきたあいつは、おれとクロコダインの攻撃をいなし、マァムが大切にしている銃を奪っていった。
(まるでシーツを被ったみたいなふざけた姿なのに、先生と戦ってるみたいだった)
こっちの太刀筋を知っているかのように動きを読んで、一撃すらかすらせることなく。最後は塔から飛び降りながら瞬間移動呪文で姿を消した。
(先生から貰った銃を盗られたマァムはふさぎこんじゃうし、ポップとヒュンケルが励ましてくれたから立ち直って何とかなったけど)
その後マァムは銃を失った分を埋め合わせるためにもとメラゴースト君に倣うように修行の旅に出かけてしまった。
(きっとあいつともまた戦う日が来る、それまでにおれは――)
もっと強くならないといけない、それなのに武器が壊れそうなんだ。
「おい、ダイ! ダイッ!」
「え? あ、ポップ」
「ポップ、じゃねえよ。おおかたこれまでの戦いのことでも思い出してたんだろうけどよ」
呼ぶ声で我に返ったおれにポップは言う。
「激戦で思いついたんだ。こんな復興中の国じゃなくて、今魔王軍と激戦やらかしてるベンガーナとかカールに行きゃすげえ武器があるんじゃねぇか……!?」
「あっ、そうか!!」
「それだけじゃねえぞ? カールの方だったらメラ公と合流できるかもしれねえんだ。ネイルで会ったメラ公の分体だっけ? 分裂したやつがメラ公はカールに向かったって言ってた気がすんだよ」
「ええっ?! それじゃ――」
そんな話を聞いてじっとしてられる筈がなかった。何とかカールに行く手段がないかと聞いてみるため、おれはポップの手を引き、レオナの元へ駆けだしたのだった。
ベンガーナ「あれ?」
次回、番外14「新たな武器を求めて(ダイ視点)」に続くメラ。
尚、謎の人物はアバンにモシャスした上でシーツを被り流れを修正しようと銃を奪っていくだなんて許せない行為をした最低のメラゴーストなんだよ。
ちなみにシーツは自分の身体の炎で証拠隠滅までした模様。