ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「あっ、あれが……あれがデパート!!?」
ただ、幸か不幸か俺の失言を聞いていたのはレオナ姫だけだったらしい。その声で我に返ってちらりと声の方を見れば、デパートを見上げて立ち尽くすダイとポップの姿がそこにあり。
「でっ、でけえ……」
「こっ、この中みんなお店なの……!?」
ぽかんと口を開けた二人を見て俺は秘かに反省する。
(俺も本来ならこうじゃなきゃいけなかったんだ。けど、アドバルーンを知ってて今更デパートに驚くわけにもなあ)
そも、いちいちオーバーリアクションを取られるダイ達には申し訳ないが流石に恥ずかしくもあり。
「とりあえず行こうか」
先の言をごまかすのも兼ねて俺は促し。
「そうね。行きましょ!」
レオナ姫も未だ突っ立ったまんまのダイ達の方に目をやって微笑みかける。それで二人も復活したのか、すでにデパートの入り口に向かっている俺達についてきて。
「えっと……武器は4階、服や鎧は5階か……」
「3F日用雑貨、2F書籍文房具、1F宝石装飾品……地下もあるんだ」
案内板を見るレオナ姫の横に立って俺は唸る。日用雑貨と宝石はさておき、書物は少し気になったのだ。
(呪文を契約する魔法陣の載った書物とかあったら使える呪文のラインナップ増えるかもしれないし)
この世界には他のナンバリングタイトルにはない独自の呪文がいくつか存在する。
(師匠やポップの使ったマホカトール、ポップがライデインの補助で使ったラナリオン。個人的に欲しいのは仲間のところに飛ぶ合流呪文のリリルーラとか空を自由に飛ぶトベルーラとか)
他にもいくつかあるがそちらはオリジナル呪文だったと思うので、製作者にどうにかして教えてもらう他ない。一時的に使うだけならモシャスの呪文で変身するというのもアリではあるが。
「じゃあ5階から見ましょ!」
そんなことを考えている間にレオナ姫はマイペースに歩き出しており。
「っ」
ダイ達と一緒に走って追いかけた先は何もない小部屋。というかエレベーターだった。
(そういえば床のボタン踏み込み式だったっけ。こうⅣのダンジョンのギミック思い出すけど)
俺が平然とする中、ダイは両手をばたつかせて叫ぶし、ポップも床が動いたと騒いで。
「やーね、いなか者まるだしで……!! これはエレベーターっていって最上階まで運んでくれるのよっ!! あっちのA7君を見なさいよ、平然としてるでしょ」
そういってレオナ姫は俺を示したが、俺も驚いてはいたのだ。
(そっか、ボタン一つでどうやって降りる階を決めるんだろうと思ってたけど、各階に降りられるわけじゃないのか)
内側の入り口の上に今いる階を示すメーターがついてるし、てっきり前世のエレベーターに近い設備だと思っていたけど、思わぬ所に落とし穴があったものだ。
「え、A7君知ってたの?」
「あーえっと、仲間が聞いたののまた聞きみたいな感じかな?」
流石に前世知識だとか原作知識だとは言えず、ぼかして誤魔化し。
「けど、最上階ならちょうどいいかも。ちょっと屋上に出てくるね」
そう断ってからエレベーターを降りる。買い物は長丁場になるだろうから、念のためにモシャスをかけ直すんだ。
(本当はトイレでってしたいとこだけど、原始的もしくは魔法的な火災報知機とか備わってたら拙いしなあ)
もっとも理由はそれだけではない。原作の場合だとこのあとキルバーンがバランの超竜軍団から借り受けたヒドラや数匹のドラゴンを使ってここを襲撃させていたんだ。
(海からの襲撃だった筈だから、屋上なら上陸時の攻防があればすぐわかるはず)
海からの攻撃の防衛に大砲が配備されているのだから。
(前世のデパートよろしく屋上が遊園地みたいになってたらモシャスのかけ直しもしづらいけど、さっき外から見た時も原作の描写でも屋上にそんな施設は見受けられなかったし、大丈夫)
そして、屋上からアドバルーンが上がってるなら、メンテナンスの為に屋上へ上がる場所は必ずあるだろう。
(どうにもいかなかったら、原作のダイみたいに窓から飛び降りればいいし)
マァムの姿ではルーラが出来ないから最後の手段ではあるが。
(とりあえず、建物内の案内地図みたいなのを探そう……うん? 「近日入荷!!! 刃の鎧」か。他のナンバリングみたいに防御無視でダメージ反射するなら冗談みたいに固い敵相手に結構恩恵があるんだけど)
手に入るならダイに装備させて、それをモシャスでコピーしたいところだ。
次回、番外17「デパート2(A7視点)」
尚、1~3階の売り物は見える部分から推測してのものです。(原作ではダイ達に隠れて一部しか読めない)