ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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番外17「デパート2(A7視点)」

『モシャスッ』

 

 無事屋上へ出た俺はモシャスの効果が切れるのを待って変身しなおすと屋上を後にする。

 

「タイミングが早かったかな、それとも」

 

 とりあえず海側で大砲が発射される音も海原から顔を出すヒドラの姿も見ることないまま俺はデパートの中に戻ることとなり。

 

(今回ただ買い物して終わるだけになるんじゃ)

 

 そもAがカールに向かっただけで原作の流れが狂う要素は充分にあったのだから。

(ともあれ、そこそこ時間かかったし、ダイ達は防具を買い終えてる頃かな……あ)

 

 そこまで考えて、ふと気づく。

 

(しまった、ここでレオナがほぼ下着同然の服を着るんだっけ)

 

 今頃はポップにそんな服を着る賢者がいるかとツッコミを入れられ、無難な服に着替えている頃だろう。

 

(惜しいことをしたな)

 

 別にお色気方面でその姿を期待したとかじゃない、俺達のモシャスの仕様に関して、肌の露出が多いところはサンプルとして見ておきたかったのだ。

 

(モシャスは見た外見を写し取る、だから服の中とかまでは写し取れないんだよな)

 

 原作の師匠がキルバーンにモシャスして成り済ました折、仮面の内側が師匠の顔だったように、モシャスは見た外見部分までしか真似できない。極端な例だが、例えば誰かの格好で裸踊りをして社会的に抹殺しようとか試みる場合、その人物の裸を見る必要があり。

 

(マァムはロモスのお城で祝勝会のあと殆ど下着姿で寝てたから、データがとれてるけど)

 

 レオナ姫は今後もパーティーメンバーに加わることが原作ではあったので、念の為にモシャスの完成度を上げておきたかったものの。

 

(まあ、過ぎ去ったことはしょうがないか)

 

 密かに嘆息しつつ5階の中をダイ達を探して歩きまわるも見つからず。下に移動したかなと思って階段を降りれば、そこは原作通りと言うべきか。

 

「あー」

 

 一角に人だかりができており、そこにはレオナ姫やポップと思しき背中が見えた。

 

(ドラゴンキラーのオークションだっけ?)

 

 近づいていけばバイヤーらしき人物が値段がないことを訝しがるダイ達に、一刀限りの入荷の為夕方からオークションで購入者を決めると説明をしていた。

 

(けど、入荷ってことはどこかに生産者が居るってことだよな)

 

 個人的にはそちらが気になったが、値札には製作者の説明などは全くなく。

 

(オークションやるほどの目玉商品なら、聞いても教えてくれないだろうな、きっと)

 

 くるりと背を向けて階段の方へ向かおうとすると、後ろから嘲笑が聞こえ。

 

「あ」

 

 振り返ればむすっとした顔のレオナ姫が人ごみを抜けてくるところだった。

 

(原作通り、お子様のお小遣いじゃ買えないとか馬鹿にされたんだろうな、きっと)

 

 流れを知っているからこそ、口を出さず、ただ合流の為近寄っていけば、案の定レオナ姫はダイ達にドラゴンキラーを買おうと主張していて。

 

「やめといで……!!」

 

 かわりに割り込んできたのは、いくつも目のついた帽子を被った矮躯の老婆だった。

 

「……自分の力量以上の武器をつけて強くなった気になりたいバカの仲間入りなどおよしといったのよ……大金払ってさ……!」

「なっ、なんだとぉ!? このババア!!」

「そりゃオレたちのことか……!?」

 

 更に最後以外はこの場にいないAにクリティカルでぶっ刺さるような言を吐けば、ドラゴンキラーの周りに居た戦士たちがいきり立ち。

 

「へっ、ほかに誰がいるんだい……!!」

「てめぇっ!!」

「おやめください、おばあさま」

 

 煽る老婆に戦士たちがヒートアップしたところで老婆の横の少女が老婆を窘め。

 

「あっ」

 

 少女は俺に視線を止めて、声を上げると一歩後ずさる。

 

「え?」

「どうした、メルル?」

 

 こんな流れ有ったかなと呆然とする俺の視界の中で、訝しんだ老婆にメルルと呼ばれた少女は青ざめた顔で俺を示し。

 

「この人、人間じゃ……ありません」

「ちょっ」

 

 モシャスを看破された俺は顔を引きつらせた。

 

(しまった、この二人に遠見とか予知とか感知系の特殊能力があるの忘れてたーっ)

 

 Aのことを笑えない大ポカだった。

 

(しかも、場所が最悪すぎる)

 

 今俺の前にはドラゴンキラーを取り囲むようにして何人もの戦士が居るのだ。これが師匠やヒュンケルにモシャスした状況なら、傷つけずに逃げ出すこともできたかもしれないが、今の俺は僧侶のマァムの姿なのだ。

 

「くっ」

 

 やむを得ず俺は近くに居たレオナ姫に近寄ると後ろから組みついた。

 

「なっ」

「ごめんなさい、ここで戦闘とかシャレにならないしちょっとお芝居に付き合って」

 

 驚くレオナ姫に俺は耳元へ小声で囁いてから、忌々し気な表情をする。

 

「まさか、こんなところで気づかれるとはな。已む得ぬ……ワシはこれで退くとしよう。じゃが、この小娘は人質じゃ。安易に近づくでないぞ?」

 

 唐突な豹変に唖然としたポップとダイが俺の名を口にしているような気もするが、是非もない。この時期のあの二人では腹芸とか即興のアドリブなんて無理だろうし。尚、一人称をワシにして口調を変えたのは、後でザボエラに罪を擦り付ける為だったりする。

 

(そこはレオナ姫に後で説明してもらうとして)

 

 今はこの場を抜け出し、後で合流してから余計なことを言ってくれたあの少女に文句を言うという態で探して、再会させる。

 

(キルバーンとドラゴン達が来ないとしても、占い師と知己を得たならダイ達も聞きたいことを聞くだろうから)

 

 うまく行けば原作沿いに近い形に流れも修正することができるはずだ。その前にここを何とかして逃げ出さないといけない訳だけれども。

 




A「なんかディスられた気配がするメラ」

次回、番外18「メラゴで逃亡者(A7視点)」に続くメラ。

何かなつかしさを感じるサブタイトルだ、うん。


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