ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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遅れてすみません。パソの不調でしょっちゅうビジーになってました。




番外19「これでデルムリン島にザボエラの姿でルーラしたら騒ぎになるよね(A7視点)」

「え」

 

 瞬間移動呪文に運ばれて着地した時、最初に浮かんだのはここってどこと言う感想だった。木々の梢を風が揺らし、人工物らしきモノは殆どない。

 

「森の中かな、あ」

 

 更に周囲を見回して目についたのは、一部の燃えた小枝の集まった場所。

 

「そっか、ここは――」

 

 ルーラの呪文をミスすると、自身の印象深かった場所や故郷へと飛んでしまうと聞く。ザボエラの姿でデルムリン島に飛ぶのが拙いと飛び立とうとする瞬間に気づいたことで、俺のルーラも失敗してしまったらしい。

 

「Aが師匠と初めて会った場所、そして」

 

 自身が転生したことに気付いた場所だ。

 

「……ちょっと感慨深いけど、のんびりもしてられないな。せーのっ」

 

 俺は近くの立ち木に体当たりを仕掛け。

 

「ぐっ』

 

 衝撃でポフンと煙を立てつつメラゴーストの姿に戻る。

 

『っと』

 

 すぐに飛び退いたのは、近くに木と言う可燃物があったから。もっとも立ち木は水分を含んでいるし簡単に燃えることもないと思うのだが。

 

『さてと、モシャスするならルーラを使えるって理由でポップの姿しかない訳だけど』

 

 偽ポップがやったことを思い出すと心情的に微妙な抵抗がある。

 

(まぁ、師匠の姿になる訳にもいかないし、そこは俺が呑み込まなきゃいけないんだろうけど)

 

 一個人の感情の為にダイ達とレオナ姫へこれ以上手間をかけさせるわけにはいかない。加えて、キルバーンの借りたドラゴン達とヒドラが襲撃してくるかどうかも確認しなくてはならない。

 

『となると、あれか』

 

 せっかく分裂能力があるのだ、活用しない手はないと思う。俺は付近を走り回って、木の枝と接触しかけること都合三回、一人数を増やし。

 

『で、俺は何に変身すればいい?』

『うーん、呪文を使えないのはあれだけど、ヒュンケルで。ドラゴン来た場合には戦力にもなりそうだし』

 

 増えた一人に指定したのは、あの場に居ないマァムと師匠以外の人間。

 

『ヒュンケルが魔王軍の軍団長だったのって、自分から言い出さないとパプニカの人たちも知らなかったみたいだし、剣の魔鎧つけてなきゃ大丈夫だと思うよ』

 

 例外はレオナ姫を含むダイ一行だが、あちらにもいるポップ姿の人物が隣にいれば察してくれるだろう。

 

『とにかく、時間かけられないし、モシャスし次第、移動するよ』

『了解、モシャス』

 

 俺の言葉に頷いた新たな俺はヒュンケルそっくりに姿を変え。

 

『モシャス、からのルーラッ!」

 

 俺も続く形で変身魔法を唱えると、更に瞬間移動呪文で気球をとめた場所へ跳ぶ。

 

「っと、流石にまだレオナ姫は到着してないな」

「それは、ダイ達への説明とかもあるだろうしな」

 

 きっかけとなった俺としては手伝いたいところだが、もう一人のきっかけとなった少女が居た場合、誰に化けようがまた騒ぎになるのは明白なのでデパートへ向かうことも出来ず。

 

「当面はここで馬車で向かった方を見てるしかないかな」

 

 姫が戻ってくればすぐ気づくように。

 

「だな。俺は海でも眺めているか。こんな時、釣り竿でもあれば時間が潰せたかもな」

 

 ヒュンケルに化けた新しい俺、とりあえず偽ヒュンケルとでもしようか。その偽ヒュンケルは冗談めかして肩をすくめるが、海を眺める目的はドラゴンの襲撃の予兆を見逃さないために他ならない。

 

「時間的にはまだ早い……ともいえないか」

 

 原作の場合、襲撃はオークションの始まる少し前。つまり、昼下がりから夕刻へ向かう時間帯だと思うが、パプニカからベンガーナまで俺達はそれほど速度の出ない気球で向かっていたのだ。加えてあのメルルという少女のこの人人間じゃない発言から始まった俺の逃走劇。

 

(そこそこ時間が経過してると思ったら)

 

 見上げた空、太陽の位置は正午と比べるとだいぶ下の方に降りてきていた。

 

◇◆◇

 

「お待たせ」

 

 レオナ姫が馬車で現れたのは、それからしばらくしてのこと。ルーラは使わなかったのとポップに聞けば、流石にこの事態は想定外だろという言葉が返ってくる。

 

「まぁ、荒事とか無い買い物なら帰り際に印象付けておけばいいかとはふつう思うか」

 

 俺はドラゴンとヒドラの襲撃が原作であったことを鑑み、偽ポップに連れてこられた時にはもうこの場所に飛べるように周辺の光景を覚えていたのだが。

 

「というか、またおれなのかよ」

「仕方ないでしょ、俺が化けられてルーラが使え、かつ人に見られて良さそうなのポップだけなんだから」

「ポップだけって、条件なければ他にもいるのかい?」

「あ、うん。人間なら師匠とマトリフさん。後者は無許可で姿を使ったら後で怒られそうだからだけど、それ以外は俺達メラゴーストと、魔王軍の軍団長とかかな。軍団長の一人でもあるザボエラはさっき見せたけど」

 

 不満げなポップに説明すると興味を持ってきた様子のダイが聞いてきたので、俺は明かしても問題なさそうなラインナップをあげてゆく。

 

「うへぇ、おまえと同じってんならメラ公も何でもありになってきやがったな」

「あーうん、便利ではあるとつくづく思う。まぁ――」

 

 欠点もあるんだけどねとは声に出さない。どこの誰に聞かれているかわからないわけだから。

 

(そもそも実力もコピーする版のモシャスって変身対象の強さに変身後の強さが依存するから、モデルが強くなってくれないとこっちも強くなれないんだよね)

 

 以前のダイにモシャスした場合だと不完全版のアバンストラッシュしかうてなかったように。モシャス依存で戦ってゆくなら、離れている場合モデルの強くなった情報を得てアップデートしてゆく必要が出てくる。偽ポップがカールにAへ会いに行く理由の一つがこれだ。

 

(一緒に旅してればダイの情報は問題ないんだけど、他の個体だけの出あった強敵の情報とかを活用するには情報共有の為にネットワークを築くのが不可欠だし)

 

 この人員は偽ポップ一人ではとてもではないが足りない。手の空いてる俺が駆り出されるのは当然であり。

 

(デルムリン島の修行班から外れた俺もそっちに移籍させられるかもな)

 

 この辺り、偽ポップが持ってくるAとカールの最新情報次第かもしれないけれど。

 




次回、番外20「おう、さっきの落とし前どうつけてくれるんじゃワレェ(A7視点)」に続くメラ。
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