ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「条件は、世界の半分……とまでは言わなくても、人が暮らしていける場所とその存続を認めること。ハドラーは師匠に世界の半分をやろうって言ったそうだから、それと比べればささやかな条件だと思うんだけど」
どう、と続ければ大魔王は暫く黙った後に口を開いた。
「なぜ、そんな条件を出す?」
「え?」
モンスターの身でありつつ人間を案じるような条件を出してきたことに理解が及ばないのか、尋ねて来た大魔王におれはキョトンとした表情を浮かべる。
「なんでって言われても、そっちの目標は世界征服で、人間を滅ぼそうって言ってるのはバランと魔王軍に居たときのヒュンケルだけなんでしょ?」
「……だが、そのバランはまだ生きている。そして余はバランが人間を滅ぼすことに協力すると約した」
「そっか」
それは知っている何て言えるはずもなく、だから俺は言葉を続ける。
「つまり、バランを説得するか倒すかしないと応じられないってことでいいのかな?」
「……そう、なろうな。加えて、バランは今、余の部下である。よって、おまえがバランを討つというなら、その手助けは出来ん」
当たり前と言えば至極当たり前のことではある。だが、原作知識でバーンの本来の目標を鑑みるとバランはどこかで始末しなければいけない相手の筈だ。
(それが手助けは出来んでおさまっちゃった理由なんだろうな)
もっとも、部下に爆弾仕込むような大魔王が部下を守る様な行動をとるとはとても思えないが。
「それじゃ、この話はバランをどうにかした後でもう一度ってことでいいのかな?」
「いや」
「え」
いずれにしてもこの場は切り抜けたと踵を返し、キルバーンに帰り方を聞こうとした俺を大魔王の声がとめた。
「条件が余の目的とかみ合わぬという話ではなく、おまえがなぜ人間を救おうとするようなことを口にしたのか、そういうつもりで余は問うたのだ」
「あー、その答えをまだ聞いてないってことか」
得心が言った態をすれば、バーンは頷き。
「人間は最低だぞ。おまえほどの者が力を貸してやる価値などない連中だ。なぜそんな連中の為に己を売るような真似をする? 先の条件、勇者一行が余に敗れても人間が滅ぼされないためのものであろう」
「……そこまで見透かされてたんだ。なら、言うけど」
俺が今ここにあるのはその人間のおかげだからだと俺は答えた。
「同じ生息域の別の魔物にすら一匹じゃ敵わなくて、怯えて過ごしていたところを拾って、強くしてくれたのが人間だったから。おれはその種を絶やしたくないんだ」
「恩返し、か……理解できんな。賭けてもいい……もし、余が約を守って人間の暮らす場所をおまえに与えたとしても生き延びた人間は感謝などすまい」
予言めいたバーンの言葉に、俺はそれでもいいさと答える。
「師匠への義理は果たせるし、こっちでもある程度の地位は手に入るんだろ? それで生き延びた人間がどうするかを決めるのはその人間たち次第だし。そちらが言う様に人間が最低で自ら滅ぶ道を選んだんだとしたら、それはそれで仕方ない」
下手に人間に入れ込みすぎてる様を見せつけてもバーンの不興を買うだろうと、俺は割り切った態を見せつつ、今度こそバーンへ背を向ける。
「バランを説得するか倒した場合だけど、また使いをよこしてくれるって考えてもいいのかな?」
「うむ」
大魔王からの肯定が得られれば、俺にそれ以上心臓にわるそうなこの場所に留まる理由はなく。
「どうやって帰ればいいか教えてもらってもいい?」
俺は興味深そうにこっちを見ていた死神に尋ねたのだった。
次回、五話「行きはよいよい帰りはナントカ」に続くメラ。