ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

124 / 256
六話「顔芸」

「「ははっ」」

 

 かしこまる声が重なった。そして玉座に座る音を俺が聞きとれたことからして、大魔王は俺が考え事をしていた間に一旦離席し、ミストバーンの言う様に再び薄布の内側に現れたということか。

 

「一同大義であった、面をあげよ」

 

 威圧感を伴いつつハドラー達へ声をかける様はまさに大魔王だが。

 

(俺は原作知識で大魔王の正体とか強さもある程度知ってるからなあ)

 

 くわえて先ほどまで話していたこともあって威圧するのも今更だ。

 

「一足早くたどり着いたキルバーンより聞いたが、カールを侵攻していたバランが敗れたようだな……」

「そっ、そのようで……」

「加えて、パプニカ方面ではフレイザードが敗死。パプニカを奪還されるだけでなく氷炎魔団が押さえていたオーザムも軍団長を含む主戦力を失ったことで維持が困難となり奪還を許した。面白くない事態であることは承知しておろうな?」

「まっ、まことに面目次第もなく……」

 

 原作ならカール方面と言う勝ち星があり、ダイの正体を知ったバランがハドラーを責めダイの元に向かうことになって、ダイとバランの戦いを観戦しつつの謁見だったがこの世界では深手を負ったバランは行方不明。ダイの元に現れることもなくなったため、バランとダイの戦いを悪魔の目玉を介して見ることもなく。

 

(バランが居ないから敗北の叱責を一手にハドラーが受けることになる、と)

 

 原作の様にダイとバランがぶつからないように策を弄していたことをネタにキルバーンからからかわれ、疑いの視線を大魔王から浴びて慌てて弁解する羽目になったのとどちらがマシだったのか。

 

「して、フレイザードを討ったのは、勇者ダイと呼ばれる小僧であったな。……ミストバーン、お主はあの小僧の力を何と見る……!?」

「……フレイザードに我が軍最強の鎧を与え、力量を試しました……」

 

 大魔王が問えば、これに答えたミストバーンは力、技、闘争心のあらゆる点で自軍の軍団長を凌駕する素質をそなえていると評した。

 

「そうか、では……もう一人、バランを退けたメラゴーストの力は何と見る?」

「っ」

 

 気のせいかその問いを向けられた瞬間、ミストバーンが微かに動揺したように俺には感じられた。

 

「……直接刃を交えたことが無い以上、大半は推測になりますが」

 

 そう前置きした上でクロコダインとバラン、勝利した軍団長の数は同数ながらバラン戦の参戦人数の少なさから見ても実力は俺の方が上であると述べ。

 

「……なるほどな、では、メラゴーストの方が脅威か」

 

 ここまで聞けば、俺とダイのよりどちらが脅威であるか判別し今後の方針を定めようと大魔王が考えているとハドラー達はとっただろう、だから。

 

「ふっ、ふふふ……ふははははははははっ……!!」

「バッ、バーンさま!?」

 

 いきなり大魔王が笑い出すとは思わなかったに違いない。事情を知らなければ、芳しくない戦況を前に何故笑うのかと疑問に思うのも当然、そして当人を除けば俺とキルバーンだけがバーンが笑い出した理由を知っている。

 

「勇者という小僧よりメラゴーストが脅威か、ふふふふっ」

「あ、あの、恐れながらどういう」

「まあ、疑問に思うのも当然よな。今日は一人客人を招いていてな、おまえ達に会わせるためにそこに控えさせてある」

「きゃ、客人ですと?!」

 

 これは出ろと言われてるんだろうなと思う一方で、ハドラーはたぶん特別ゲストの存在と何故大魔王が笑っているかの理由がつながらないのだろう。オウム返しに問い返し。

 

「紹介しよう。今、ミストバーンがより脅威と言ったメラゴーストだ」

「ええと、どうも」

 

 促されれば、隠れてるわけにもいかず、微妙に困り顔で俺は水晶群れの影から姿を現し。

 

「なっ?!」

「は?」

「ひょ?」

 

 思わずバーンの方を見るミストバーンの隣に顔芸を披露するハドラーとザボエラを見た。ハドラーの方は顎が外れそうとでも言おうか、呆然としていて、ぽかんと口を開けてるのはザボエラも共通。加えてザボエラは鼻水も垂らしていた。つい笑いそうになって視線を背けた俺は悪くないと思う。

 

「こっ、こ、こ、これはどういう――」 

「これって」

「それについてはボクから説明するよ」

 

 鶏モドキになりかけたハドラーの声に俺が説明した方が良いのかと大魔王の方を見るも、言葉を続けるよりも早く死神が口を開いた。

 

「バランが敗れたおり、バーンさまは彼に興味を抱かれてね。対話を所望され、一足早くこっちに戻っていたボクがメッセンジャーとして彼の元に赴いたのさ」

 

 説明は続き、バーンが俺を招待し、これを俺が受けて謁見の前に対話が行われたことも説明し。

 

「バーンさまが部下になる様に言うと、彼は条件付きで首を縦に振ったのさ」

「なん」

「なんじゃと?!」

 

 爆弾発言で俺を二度見したハドラーの横で唖然としたザボエラが二度目の顔芸を披露した。

 

(そりゃ、驚くよなあ)

 

 居心地の悪さを感じつつ空を仰げば、ステンドグラスから陽光が差し込んでいた。

 




次回、七話「もう帰っていいよね?」に続くメラ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。