ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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にがさん……おまえだけは


七話「もう帰っていいよね?」

「こっ、こいつがバーンさまの部下に」

 

 信じられないようなモノを見る目をハドラーがこっちに向ける中、キルバーンの説明は続く。俺が大魔王に出した条件とバランとの約束がある為呑めないと大魔王が言ったこと、その結果、話はバランを翻意させるか倒したらになったというところまで語ると、ハドラーはまだ先の話だと知って少しだけ落ち着いた。

 

「余とこのメラゴーストの間でそういう話があったということをお前たちが知らねば、顔を合わせたとたん戦いとなったであろう? 余としてはいずれ部下となるものと部下が戦いどちらかあるいは双方が斃れることなど望まん」

「そう言う訳で、行き違いから戦闘にならない様、顔見せに残るように言われてここに居るわけなんだけど」

 

 大魔王の説明を継ぐ形で俺も口を開き。俺達の話が理解できた頃にはザボエラも顔芸から復活し何か考えるような顔つきになっていた、一方で。

 

「しっ、しかし、失礼ながらこやつはアバンの使徒ですぞ?」

 

 納得する様子を見せないのがハドラーだった。

 

「それも承知の上。だからこそ余に人間と言う種を残すことを条件としてきたのであろう。故に余はバランを翻意させるか討つかしたのちでとした上で認めるつもりだ。強き者が敵ではなくなり、余の元に集う。余だけではなく、おまえ達にとっても喜ばしいことではないか。不服か? ハドラー」

「いっ、いえ」

 

 理屈の上で敵対していた有力敵が一人味方につく形なのだ、表立って反対できる要素があるとすれば信用できるかの一点だけだが、俺と大魔王の間で完全な約束でないものの話がついているのだから、そこをつくのはバーンを疑うことにもなる。流石にそれ以上食い下がることは出来なかったようで。

 

「フフッ、ハドラー司令も納得されたようで何より」

 

 どことなく楽し気に死神が言うが、納得しているようには見えないのは誰の目にも明らかで。

 

「さて、次に余がお前と会うのはバランを翻意させるか倒した後となるか」

「あ、うん」

「では、そうよな……晴れて戻ってきた暁には、氷炎魔団と不死騎団を統合、再編成した軍団の長を任せることをここに約しておこう」

「えっ」

 

 ようやく返してもらえるのかなと思ったところで黒くもない言葉の爆弾を投げつけて来た大魔王に俺は固まり。

 

「なっ、な、な」

「統合?! それは実質二軍団の――」

 

 軍団長のようなものではないか、と言おうとしたんだと思う。敗残兵を統合再編成するなら二軍団と言うほどの勢力にはならないと思うけど。

 

「加えて、バランを生かしたまま翻意させ共に余に仕える形にできたならば……お主に魔軍司令の座を任せても良い」

「ちょ」

 

 何故大魔王はこうもポイポイ爆弾を投げつけてくるのか。

 

(くろのこあ も あるし、とんだ ばくだんま だと おもいました、まる)

 

 と言うか、新入りどころかまだ加入もしてない相手に司令の座とかどうなんだとツッコミを入れたいところだが。

 

(歴史の修正力、じゃなかった。原作に修正力か何かあるの?!)

 

 お前がバランを蹴りだしたんだから代わりにそのポジやれよと言うナニモノかの意図を疑ってしまいかねないような流れに、俺の顔は引きつる。

 

(って、落ち着け、俺! それならオーザムやパプニカで分体が色々やらかした時に何もなかったのはおかしいだろ!)

 

 パプニカで滅びなかった村があったこと、不死騎団の犠牲者が少なかったことは誤差の範囲でも、全滅したはずのオーザムの国民や王族が生き延びている事態の方は誤差で収まるとは思えない。

 

(単に原作になかった敗北で戦力が結構減った魔王軍の立て直しをはかろうとしただけだとしても説明はつくし)

 

 魔軍司令云々だって、バランを説得して共に魔王軍に所属するという超高難易度のミッションを成功させたらの話で、おそらく実現する筈がないからこそ大盤振る舞いした空手形だろう。

 

(現存してる大魔王の部下ってミストバーン除けば、ハドラーもザボエラも野心マシマシだもんな)

 

 新参者さえてっぺんに置くぞと言うことで両者にはっぱをかけたのだとすれば、納得も行く。

 

(バーンが最終的に考えてるのはバランかもしくは俺のどちらかが部下になって、もう一方は死んでる展開だろうし、俺が生きて魔王軍入りしたとしても、寄せ集めの1.5軍団の軍団長。上に以前手傷を負わせ今は地位を脅かしかねないハドラーが居るから、ハドラーが俺に勝手はさせないだろうという判断だとすれば)

 

 先の空手形はハドラーに俺を意識させ後々牽制させるための布石かもしれない。

 

「おれ、流石にあのバランが自分の意見を引っ込めるとは思えないんだけど」

「是非にとは言わん。仮定の話だ。さて、これで顔合わせは済んだとしてよかろう――」

 

 一応意見を口にしてみれば大魔王は悪びれることもなくいい。キルバーンへ俺を送るよう申しつけるのだった。

 




なんてことはなかった。

次回、番外22「そのころ(バラン視点)」に続くメラ。

負けバランは今、ですね。

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