ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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オリキャラ及びオリジナル地名注意。


番外22「そのころ(バラン視点)」

「寒い」

 

 闇の中、私が覚えた感覚がそれだった。にもかかわらず、腹は熱い。だが、ただ熱いというには違和感があるような気がし。

 

「ぐうっ」

 

 口から呻きが漏れた。

 

(そうだ、私は――)

 

 カールを侵攻し、そこで深手を負って瞬間移動呪文で、逃げた。だが、深手を負っていたために移動先を誤って、海に落ち。

 

(落ち……どうした?)

 

 無意識に探った手が柔らかな感触を伝え。

 

「ぐっ」

 

 身じろぎしようとして激痛が走り。だが、それで目が覚めた。

 

「……ここは」

 

 ぼやけた視界は像を結ばず、それでも平らに広がる何かを私は天井だと知覚し。

 

「あ」

 

 どこかで女性の声が聞こえ。

 

「気が付かれましたのね」

 

 まだはっきり見えないながらも近寄ってくる人影を視界内に認めて、私は察した。先ほどから手が触れているのはおそらく寝台のマット。

 

「ここはジャブの村、小さな漁村ですわ。あなたは海に浮かんでいるところを漁に出ていた夫が見つけたのです」

(そうか、私は……)

 

 何と言う皮肉か。力尽き海に溺れたところをこの女性の夫に拾われ、手当てされて今に至るというのか。

 

(まさか滅ぼそうとしていた人間に助けられるとは)

 

 無意識に自分の腹に手を伸ばせば、巻きつけられている何かが指に触れた。手当てまでされているらしい。

 

「あっ、駄目です! まだ傷が」

 

 何を勘違いしたか、焦った様子でこちらへ近づいて来ようとした時、隣の部屋か赤ん坊の泣き声が聞こえ。

 

「っ」

「行ってやるといい」

 

 逡巡する様子を見せた女性に、私は言った。

 

「すみません」

「いや」

 

 いくら人間だとはいえ、この場で女性が頭を下げる理由などない。

 

「姿形を見て、同族だと思い助けたのだろうが」

 

 救われたのは紛れもない事実。加えて、赤ん坊を気にしていたということは、母親でもあるのだろう。去っていって寝かしつけるつもりか。

 

「……ソアラ」

 

 嫌がおうにも思い出させる。目覚めて最初に出会ったのが赤ん坊の居る母親であったという巡り合わせは、私の心を乱し。

 

「私は……どうすればよい」

 

 竜の騎士の治癒力は強い。だが、私は深手を負ったまま意識を失ったまま海を漂っていたのだ。いくら人間を滅ぼそうとしている私と言えど、同族と勘違いした人間たちが勝手に助けただけだなどとは流石に言えん。

 

「お待たせしました」

「む」

「ああそうですわ。お腹を怪我されていらっしゃるしお食事はまだダメかもしれませんけれど、喉は乾いてますわよね? お水と薬草を持ってきますわ」

 

 答えも出ない内に先の女性は戻ってくると、そう言ってまた部屋を出て行き。

 

◇◆◇

 

「おいおい、起きてきて大丈夫なのか?」

 

 それから半日が過ぎ、何も言い出せないままに私は私を拾ったという女性の夫と引き合わされ、最初にかけて来た言葉がそれだった。

 

「生憎うちの村はちっぽけで、神父様もホイミくらいしか出来ねぇからな。その神父様も魔法力使い果たしたとかでもう寝ちまってるし。あ、薬草はどうした?」

「お出ししたわよ」

「そっか、じゃあ明日は隣村まで行くな」

「隣村?」

 

 その後夫婦で言葉を交わし始めた中に出てきた単語を口にしたのは、薬草を使ったことと隣村に行くことが一瞬結びつかなかったからだが。

 

「この村にゃ道具屋もねぇから、物が入り用になる時とか何日かに一度隣村に行くのさ」

「そういう――」

 

 ことかと言いかけて、私は動きを止めた。

 

「薬草か」

「あー、まあ、そうだな。けど、気にすることはねぇよ。他にもいるモノあってどのみち近いうちに買い物に行かなきゃなんなかったしな」

 

 誤魔化すように女性の夫は言うが、おそらく私に薬草を使ってしまった為だろう。

 

(っ)

 

 思えば、あれ以来人間と戦い以外で接することなど殆どなかった、だが。

 

(同族だと思うからこそこうだが、私が力を見せればこの人間たちも大差はない)

 

 恐れ、忌み、除こうとするだろう。ただ、救われた事実を無かったことにするわけにもゆかず、この日はこの人間たちの家にそのまま泊まることとなり。

 

「だめですわ。まだ寝ていらして、大怪我ですのよ」

 

 翌朝、起き出して外に出ようとすれば、女性に止められ。

 

「あっ」

 

 女性の声に驚いたのか、家の中から赤ん坊の泣き声が上がり始める。

 

「す、すみません」

 

 申し訳なさそうにまた頭を下げて、女性は家の中に飛び込んで行った。

 

 




と言う訳で、負けバランは漁師に拾われ漁村で手当てを受けていた模様。

次回、八話「気は進まないけど」に続くメラ。
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