ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十二話「誰、この人」

 

「えーと」

 

 切り上げる理由にと透明になって偵察に行った漁村で俺が出くわしたのは、原作のネタ装備を被ったオッサンと戦ってるバランの姿だった。

 

(はっきり言って、わけわかんない)

 

 バランが襲撃してきて、それを迎え撃ったというならまだ分かるんだが、見知らぬオッサンは口ぶりからすると漁村を出ていこうとするバランを止めてるような感じがして。

 

(バランが本気で戦ったらオッサンの方が危ないと思って慌ててモシャスして介入したけど)

 

 ひょっとして、タイミングが悪かったりするんだろうか。

 

「取り込み中だった?」

「あー、まぁ、な」

 

 俺が尋ねれば、きまり悪げに答えたのはオッサンの方で。

 

「で……誰、この人?」

 

 続いて俺が尋ねたのは、一応敵と言う形だが面識のあるバランへだった。

 

「こ」

「いや、待て待て。んな回りくどいことしなくても、聞かれりゃ名乗るって! 俺はマイボ、アルキードのどたまかなづち使い、マイボだ。っても、昔の話で今はこの村の漁師なんだけどな」

 

 話を向けられて、俺の乱入による驚きから我に返ったのだろう。何か言いかけたところで、オッサンの方が被せるように名乗ってきて、俺は思わずバランを二度見した。

 

(アルキードってピンポイントにバランの滅ぼした国じゃん! って、あ)

 

 何がどうなってるのと思ってから、遅れて俺は気づく。バランの過去についてのことは原作知識で俺が知る由もないことの筈だったことに。

 

「海に漂っていた私を助けた男だ」

 

 だが、バランはオッサンの説明不足分を補えと言っているようにとったらしい。

 

「そ、そう……けど、どうしよう」

 

 どう考えても今から戦えるような空気では無い気がする。

 

「で、あんたは?」

「え、おれ?」

 

 困惑してるとオッサンに話を振られて自分を指さすが、オッサンことマイボさんからすれば当然の疑問だろう。

 

「うーん、話はどこまで聞いてる?」

「話? こいつが魔王軍の軍団長だか何だかだってとこまでかな」

「え゛」

 

 ただ、話していい範囲が解からず問えば、返ってきた答えに俺はバランとマイボさんの間を視線で数往復した。

 

「ええと、こいつが魔王軍って知ってて?」

「あー、聞かされたのは今さっきだけどな。けど、問題ねぇ、こいつがこれ以上悪いことをしようってんなら、助けた俺が責任をもって性根を叩きなおす」

「へ、へぇ……」

 

 無理だとかやめた方が良いとか止めるべき何だろうか。

 

「おれは魔王軍の軍団長として恩人の故郷を襲ってきたこいつと戦ってたんだけど、追い払ったこいつがまた襲ってくるんじゃないかってその行方を探してたんだ」

「なる程。そんじゃ、ひょっとしてこいつが大怪我して海を漂ってたのって」

「あ、たぶん、やったのおれだと……思う」

 

 大魔王との会話云々を言ったりするわけにはいかず、大魔王とのやり取り前の名目で説明したけれど、何だろうこの話の流れは。

 

「そっか、まあ恩人の故郷を守るためだって言うなら、な。だが安心して良いぜ! 俺がこいつにもう二度とそんなことはさせないからな!」

 

 若干複雑そうな顔をしてから、根拠レスの笑顔でマイボさんは胸を張り、俺は密かに頭を抱えたくなる。

 

「どうすんだよ、この状況」

 

 思わず心の中でぼやいてバランの方を見ると、何だか助けを求めるような目をされた気がしたが、きっと気のせいだろう。

 

「まあ、いいや。もう悪いことはしないって言うなら……」

 

 俺は嘆息してからそう言うと、ただしと続ける。

 

「本当かどうか二人だけで当人にも確認させてもらいたいから、また来るよ」

 

 このペースでかつ命の恩人だというなら流石にバランもこの村をすぐに攻撃すると言う様なことはないだろう。

 

「おれは向こうの大きな木の辺りに居るから、そっちから出向いて来るなら、それでもいい」

 

 加えて俺は周囲を見回し、一本だけ高い木を見つけてそれを示し、バランが抜け出してくる理由も作る。

 

(流石に大魔王との会話のことはこの場で言えないからなあ)

 

 村を出ようとしていたバランなら、たぶん乗ってくるだろう。

 

(行き当たりばったりだけど、バランをどうするかはその時決めるしかないかな)

 

 戦うか、それとも話をするか。

 

(バーンと話をした時はないだろうと思ってたけど、人間に助けられてたとなると)

 

 先方にも心境の変化はあったかもしれず。

 

(とにかくここは一旦退散あるのみ)

 

 少し話しただけで人がいいを通り越したあのマイボさんのことだ、こう一緒に泊まっていけとか空気を読まずに言われても不思議はないような気がして、俺は足早にその場を立ち去ったのだった。 

 




次回、十三話「二人木の下で」に続くメラ。
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