ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十三話「二人木の下で」

 

『来た……か』

 

 近づいてくる人影を見て、変身呪文を唱えた俺はそれがバランかを確認もせず、問う。

 

「あの人、マイボさんは?」

「眠らせてきた、催眠呪文で」

 

 その答に納得と安堵の両方をした俺は、竜の紋章を浮かべ。

 

《そっか、ラリホーマか》

 

 思念の波の形で紡いだ言葉をバランへと投げた。

 

《なっ》

《紋章の共鳴を用いた、思念波による会話……声に出して魔王軍の使い魔経由で知られると面倒なことになるかもしれないからね》

 

 原作でダイとバランがもっと先の場面で秘密の会話をするのに使ったものだが、なんと言うか今の場面にうってつけの意思伝達方法だと思う。

 

《どうやって、こんなモノを》

 

 思いついた、とか会得したとか聞きたいんだろうけれど、答えは用意してある。

 

《これなら、A5と話せるんじゃないかと思った》

 

 そう、あの時わずかに聞いた声は幻聴だったのか、炎の闘気は呪文名しか口にしない。だから全くの嘘ではなく、A5を斬ったバランを黙らせるには充分だった。

 

《まさか、こうやって使うことになるとはおれも思ってなかったけど》

《……私を討ちに来たか》

 

 バランが思念波を返してきたのは、短い沈黙を俺の独言という形の思念波が破ったのちのこと。

 

「それは、そっちの対応次第かな?」

「対応次第だと?!」

 

 俺が戦わない選択肢も言外にあると言ったことでバランが目を剥く。俺からすればバランは敵であるだけでなく、A5の仇でもある。意外だったんだろう、だが。

 

「理由はこれから説明する」

 

 そうして俺が語ったのは、バランを撃退後、大魔王から招待され言葉を交わしたこと、その折部下になるよう誘われたこと。

 

「おまえが、バーンさまに」

「あの人、強者を尊重するようなところあったみたいだし……それは、置いておいて、おれは条件を出した」

 

 続けて説明したのは、バーンに出した条件そのまま。

 

「そっちの目指してるモノとは相いれないわけだけど」

 

 これに大魔王が出した答えも伝え。

 

《ただ、それを聞いておれは大魔王に疑いを持った》

《……どういうことだ?》

《俺が大魔王だったら、あの状況は先約があるからって首を横に振る。「お前を倒したら問題はなくなるから条件を呑もう」なんて言わないってことさ。つまり、大魔王ってバランにもおれにも嘘をついてるんじゃないか、そう思った》

《な》

 

 バランが絶句する中、俺は大魔王に聞かれても問題ない部分は声に出し説明してゆく。こういう時、原作でカンニングできてると楽でいいと思う。相手の考えてたことがわかってるから、後出しジャンケンで不審な点を挙げていけるのだから。

 

《おれがあげた条件はバランと真逆、もしバーンに地上制圧プランがあるとしたら、大幅な修正を加えなきゃいけない筈なんだよ。人間を滅ぼすことに関してはバーンの目的と反しないから、そっちは修正とかいらないけどさ。本気で約束守るつもりなら、人間の生存圏はどのくらいにするだとか、規模はどれくらいだとかそういうことを次に会う時までに決めておくようにとか、もっと言うと思うんだよ》

 

 滅ぼす方は滅ぼして終わりだが、逆の場合、色々と決めないといけないことが多い。

 

《人間を滅ぼすとこまでは大魔王もバランとの約束は守るかもしれないけど、滅ぼした後は? そもそも竜の騎士って世界の平和を守るバランサーなんだろ? 人間が滅んだ後の地上をバーンがその手にするなら、平和どころか侵略戦争を助けてるじゃないか》

《おまえ、どこでそれを》

《おれが昼間他の鳥の魔物と追っかけっこしてたって聞いてない? それ、情報の行き違いでおれを味方だと気が付かなかったおれの分体なんだけどさ》

 

 思念波の会話で、俺はテランで竜の騎士について調べていた勇者一行について行った分体から聞いたと説明し。

 

《その上で、提案がある。おれはバーンを疑っている。だから、その真意を探る為にも大魔王の部下になろうと思ってる。それで、調べた結果大魔王がおれもバランも騙してたってわかったら、大魔王を討つのに協力して欲しい》

《もしバーンさまが嘘をついていなかったら?》

《その時は約束を守って貰えて竜の騎士の使命も果たせるんだ、バランにとっては万々歳じゃないの? もっとも、そうなるとおれの条件と相反するから、その時また話し合うか戦うか。ようは先延ばしにするってだけのことだけど》

 

 少し離れた場所を会談場所に選んだつもりだが、この場で俺達が戦えば漁村に余波が向かう可能性だってある。これで納得してくれればいいなと思っていた俺に。

 

「よかろう、私とて命の恩人まで滅ぼすつもりはない」

「え」

「おまえに従おう、そう言ったのだ」

「あ、うん……ありがとう?」

 

 ここまですんなり説得できるとは思っていなかった。だが、これは紛れもない事実で。

 

《私情を殺し他者の為に仲間の仇へ協力を求めるか。ひょっとしたらお前の方が私よりもよほど竜の騎士にふさわしいやもしれんな》

 

 飛んできた思念波に俺は硬直した。

 

(言えない。A5が蘇れるかもしれない可能性が残ってるからこそ、こういう話の持って行き方が出来たなんて)

 

 ついでに大魔王が嘘をついてることがわかってるから、その時が来たらこき使ってやろうとか考えてることなんて。どっちもとても聞かせられなかった。

 




やったね、主人公。これで晴れて魔軍司令だ!(白目)

次回、十四話「帰還」に続くメラ。

やりやがった、やりやがったよメラゴースト。
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