ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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前話あとがき色々反響が合ったようで、本来なら今話にアンケートをつける予定でしたが……。

新装版の7・8巻を購入したため、少なくとももう暫し連載は続けられそうです。

また、梯子した古本屋で15巻も入手できましたので、今年中は問題なく続けられそうです。




十五話「顔芸再び」

「……先にバランの元に向かっていたメラゴーストが戻ってきたと報告があった。キルバーンを迎えに差し向けた故に、そろそろここへやってくるだろう」

 

 大魔王の声が聞こえた。どうやら俺が帰って来たことを説明しているところの様だ。俺がキルバーンのリリルーラによってたどりついたのは、たぶん前にバーンがハドラー達と謁見した間の入り口なのだろう。そこには衛兵よろしく立ち尽くす淡い紫の肌をした有翼の悪魔、アークデーモンと呼ばれるモンスターが居て、死神はリリルーラの目印にしたと思しきそのアークデーモンにお勤めご苦労さまと声をかけた。

 

「流石にバーンさまのお話の途中で側に登場と言う訳にもいかないからね。さて、ボクはバラン君も連れてこないといけないし、ここから先はキミ一人で大丈夫だろ?」

「あ、うん」

 

 迷いようもないし、報告にもいかなければならない。

 

「ただ、一応確認しておくけど、おれがバランを説得して連れ帰ってきたことってバーンさまは?」

「勿論ご存知さ。ボクがご報告したからね。サプライズも悪くはないけれど、時と場合によるし、そもそも驚くだけならハドラー君がこの後存分に驚いてくれるだろ?」

「あー」

 

 否定はしない、と言うか俺だって説得できるとは思っていなかったのだ。

 

「単独で俺が戻ってきて、バランを倒したのかと思ったところでバランが現れる訳だ」

 

 ハドラーからすれば、自分に深手を負わせた相手が仲間になるだけでも胸中穏やかな筈がないと言うのにそこへ追い打ちを喰らう訳で。

 

「おれが同情しても憤るだけだろうけど……」

 

 まさに泣きっ面に蜂だよなと思うとどうしても俺の表情は微妙に歪む。

 

「はぁ」

 

 とは言えここに突っ立ってるわけにもいかなかった。キルバーンはおそらくもうバランを迎えに行っているのだ。嘆息して歩き出せば、すぐこちらに背を向けたハドラーとザボエラの姿が見え、更に薄布に包まれた玉座とその傍らに立つミストバーンの姿が見えてくる。

 

「来たようだな」

「っ」

 

 大魔王の声に弾かれたように振り返ったハドラーが目を見張り、そして微かに安堵の表情を浮かべた。

 

(あー)

 

 最初の反応はバランを倒して再びやって来たことに対する驚きで、次の安堵はバランを伴っていないことへのものと言ったところか。

 

(バランを説得して連れてこられなければ、ハドラーが魔軍司令のままだもんな)

 

 魔軍司令の座だけは守れた、そう思ったのかもしれない。

 

(そう言えば、キルバーンはバーンには報告してあるって言ってたけど、ミストバーンの方はどうなんだろ?)

 

 大魔王から伝えられているのか否か。

 

(まあ、どっちでも変わらないか)

 

 大魔王の意思こそがすべてに優先すると言うのがミストバーンなのだから。

 

「報告はうけている。余の部下となる時問題となることが解決したと。相違ないな?」

「……はい」

 

 ここまではダイの口調に近い形で、敬語も抜きだったが表向きとはいえ魔王軍所属となれば大魔王にはやっぱり敬語を使わないと拙いだろう。

 

「そうか。これで我が軍に強者が一人増えたということだな」

 

 バーンの言に視線をそちらへやったハドラーは何か言いたげな顔をしていたが、俺がバランを倒して戻ってきたなら何か言っても大魔王を翻意させることはできないと踏んだのか、言葉は発さず。

 

「しかもバランを説得した上でとは――」

「は?」

 

 続く大魔王の言に口を半開きにし間抜けな顔をさらす。

 

「……ハイ! 本当に驚きです、まさかバランを説得して戻ってくるなんて」

 

 バランを伴ったキルバーンがやって来たのは、この直後だ。

 

「ま゛っ」

 

 死神の声に釣られるように振り返ったハドラーの顔は、ある種の信じられないモノを見た時の顔なのだろうが、何と言うか。

 

(こう、まさかと言いかけて失敗したんだろうな、漏れた音からすると)

 

 頭のどこか冷静な部分が推測する一方で、俺は遠くを見ていた。

 

「しかし、このメラゴーストは軍団長を一人欠かすことなく、問題を解決して見せたのだ。ならば、余も先の約を守らねばなるまい。メラゴースト、今はアレックス・ディノと名乗って居たか。今をもって、お主を魔軍司令へ任命する、その働き、期待しているぞ?」

 

 なってしまった、なってしまったのだ、魔王軍の大魔王に次ぐと思しき地位に。

 

「……はい」

 

 俺としてはそう答えるより他なく。

 

「バッ、バーンさまッ!!」

「余の決定に変更はない……!」

 

 すがる様に上げたハドラーの声を大魔王ははねのけた。この逆境をばねに這い上がってくることを期待してのものなんだろうが。ともあれ、こうして魔王軍に新たな魔軍司令が誕生したらしい。

 

「バーンさま、一つよろしいですか?」

「何だ?」

「アレックスは旅をする上で使っていた偽名ですので、これを機に名を改めようと思うんですが」

 

 まるで人ごとの様に胸中でナレーションを入れた俺はそう大魔王に提案したのだった。

 




次回、最終話「仕事始め」に続くメラ。

原作だとバラン戦序盤は六巻ですが、時系列的に原作より後ろにずれこむ為、次章扱いとし、元六巻編は次話とエピローグで終了となります。

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