ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二人の竜の騎士編
プロローグ「テランにて(ダイ視点)」


「おお~っ」

 

 目の前に広がる湖におれがポップとそう声を漏らしたのも二日は前のことになる。おれは今、湖のほとりで一人座り込んで空を見上げていた。

 

「竜の騎士、か……」

 

 A7君の提案でベンガーナであったメルルって女の子とそのおばあさんに紋章のことを聞けば色々なことを教えてもらえて、二人の故郷、ここテランには紋章を額に抱く竜の騎士と言う者が居るとも教わった。

 

(湖の底に誰も近寄れない竜の神様を祭る神殿があるって聞いたのも、その時)

 

 湖へ潜って神殿を見つけたおれは、入り方が解からなくてまごついてるうちに扉の中央にある玉に吸い込まれるようにして神殿の中に入った。

 

(けど、すごかったなあ。おっきな水晶がしゃべるなんて)

 

 もっとも、神殿の番人だって言う水晶の話したことの方がおれにとって衝撃だったけど。

 

「……おれが人間じゃなかったなんて」

 

 あれから二日も経つのに、おれはまだ受け入れられずにいる。

 

(ウジウジ悩んでちゃいけないはずなのに……)

 

 人間でない、そう知ったときは怖かった。ポップやレオナ、他のみんなが同じことを知った時、今までみたいに接してくれるのかって一瞬不安になった、だけど。

 

「おまえな、そんなことで悩んでるなんて知ったら修行の旅に出てるメラ公に殴られんぞ? それを言ったら、あいつなんてモンスターだろ」

 

 一日悩んで、意を決して話したポップにはそう言って怒られた。

 

「なあ、ダイ。おれがメラ公にモンスターだからって態度を変えたか? そりゃ、弟子入り直後は、まぁ、認めねぇとか言ってたけどよ。それは、あれだ。おれが苦労して弟子入りしたってのに、あいつの弟子入りがあっさり認められたことが気に食わなかっただけで……とにかく」

「ポップ?」

「おれとおまえは友達じゃねえぇか! 仲間じゃねぇか!!」

 

 目を閉じれば、そう言ってもう一度怒ったポップの顔が浮かんでくる。おれはなんだか救われた気がして。

 

(吹っ切れたはずだったのになあ……)

 

 神殿が近くにあるからか、また気になってしまって今に至る。

 

「クロコダイン、まだかな……」

 

 本来ならパプニカに帰るはずだったおれ達がまだテランに居るのは、A7君がクロコダインがおれ達に合流しようとこっちに向かっていると教えてくれたからだった、それに。

 

『もうちょっと滞在するなら、ちょうどいい。ドラゴンキラーの埋め合わせになるかわからないけど、良さそうな武器が手に入らないか探す様に他の俺に頼んでおく。クロコダインが合流に間に合わなかったらパプニカに戻っていいから』

 

 別にすることがあるから直接自分は探せないとは言っていたものの、A7君もドラゴンキラーのことはどこかで気にしてたみたいで。そんな二つの理由から、おれ達はテランから動けないでいるんだ。

 

「え?」

 

 そんな日のことだった。空に小さな点を見つけ。

 

「近づいて来る。クロコダインかな?」

 

 ロモスで鳥のモンスターに自分を運ばせていたクロコダインの姿を思い出したおれだったけど、点が大きくなってくるにつれて勘違いだったことがわかる。

 

「人だ、人が空を飛んで――」

 

 鳥の魔物に持ちあげさせてもいなければ、クロコダインでもなかった。

 

「っ、こっちに……来るっ?!」

 

 迷うことなく一直線にこっちに飛んでくるのを見て、おれは慌てて立ち上がる。周りに家のない静かな場所に今いるけれど、あれが敵で戦いになるとしたら、ここでも拙い。

 

「あ」

 

 そのまま走り出してちらりと空を見れば、見覚えのないそいつはまるでおれの居る場所が解かっているかのように向きを変えて追いかけて来た。

 

(やっぱり、おれの居場所がわかるんだ。どうしてかはわからないけど)

 

 テランの人を巻き込まない場所に連れていけそうなのは良かった、だけど。

 

「ダイ―ッ!」

「ポップ!」

 

 一度だけ振り返ったところで、おれを呼ぶ声が聞こえ、今まさに見た後ろからポップが、その後ろからレオナがこっちに走ってくるのが見え。

 

「はっ?!」

 

 きっと気がそれていたのは、ホンの一瞬、けど、空を見上げれば、おれに向かって飛んできていたやつはまさにおれの前に降りてくるところで。

 

「誰だ!! おまえは?!」

「超竜軍団長……バラン!!」

 

 おれの問いに地に降り立った男は名乗りをあげた。魔王軍の軍団長の一人だと。

 

「なる程。……おまえが、ダイだな」

「そうだ!」

 

 ただものじゃない重圧と不思議な感じを同時に覚えながら俺はバランと名乗った男に応え。

 

「魔王軍の軍団長がここに来たということは……おれを倒しに来たんだな!!」

 

 身構えたおれへそうではないとバランは首を横に振り。

 

「えっ?!」

「おま」

「ダイ! 誰だ、こいつ?!」

 

 何か言いかけたところで駆けつけたポップの声が被ったのだった。

 




 と言う訳で新章スタート、二人の竜の騎士編、です。

次回、一話「魔軍司令」に続くメラ。
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