ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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一話「魔軍司令」

『そろそろバラン……殿は勇者一行の元に着いたかな?』

 

 歩いてるうちにモシャスの効果時間が切れた俺は魔王軍の本拠地であるバーンパレスの中を本来の姿で先行するミストバーンとすぐ後ろにいるハドラーに挟まれる形で進んでいた。

 

(自分から要求しておいてあれだけどさ、うん)

 

 気まずさがこの上ない。ミストバーンは必要以外のことは一言も発さないクセに何とも言い難い視線を時折向けてくるのだ。

 

『っと、ごめん。それじゃ、カールへの侵攻はストップしたままで、魔王軍としては各国への侵攻よりも勇者ダイの抹殺を優先して動くつもりだったと……』

「そうだ」

 

 短く肯定したハドラーの言は俺が魔軍司令の座を奪わなければ今頃はダイ達を根絶やしにしていたとでも続くんだろうか。

 

(原作だとバランとの戦いでパワーアップしたものの消耗して休んでるダイ達をザボエラと一緒に奇襲して、マトリフさんとポップ、それにダイの三人相手に負けたんだったかな)

 

 バランが行方不明になってて、あの時点でバラン戦が起きなかったことを考えると、あながち嘘でもなかったかもしれない。

 

(クロコダインの合流が間に合わなかった場合、戦えるのはダイ、ポップ、レオナに回復用員ならメルルって子も勘定に入れられるとしても、ハドラーとザボエラ、そしてミストバーンが動くと仮定したならな)

 

 原作でのバラン戦のタイミングだとマトリフさんも間に合わないし。

 

(うん? そう言えばマトリフさんって、何であのタイミングで合流を……あ゛)

 

 そして俺は、思い出した。マトリフさんがダイ一行に合流した理由が、カールにあるアバンの書をダイ達に渡すことにあったことを。

 

(ちょっ、ヒュンケルにお帰り願った意味ないじゃん?!)

 

 ノーマークだったからこそマトリフさんはたぶんカールにたどり着いただろう。そして、場合によっては俺が大魔王の元に向かって行方不明になってることも知られる。

 

(あかん)

 

 これはヒュンケル追い返してくれた分体が戻って来たら事情を話して俺のフリをして貰いでもしなければ、ダイ達に俺の行方不明が知られてしまう。

 

(もしくはそれどころでない程にひっかき回すか、だよな)

 

 防具を受け取って姿を誤魔化せたら、バランの様子を見に行くと言う名目で新魔軍司令としてダイ達の元に登場して、宣戦布告的なことをして帰ってくるとか。

 

「どうした?」

『あ、うん。ちょっと考え事してた、ゴメン』

 

 しばらく黙って居たからだろう。訝しむハドラーの声で我に返った俺は慌てて謝り。

 

『現状と勇者一行の戦力把握ができたら作戦を練って上奏しないといけないと思ったからさ。バランと勇者一行がぶつかった前後のことをね』

 

 口から出た言葉に嘘はないと思う。言ってないことが多いだけで。

 

(うーん、バランには威力偵察って言ったし、大丈夫だと思うけど)

 

 気になるモノは気になるし、ポカに気づいたことでどうにかしないといけない問題も出てきた。にもかかわらず魔軍司令としてはやらないといけないことが山積みで。

 

(出世なんてするもんじゃないよな、忙しくなるし)

 

 たぶん口に出したらザボエラやハドラーはまずブチ切れると思うが何で出世なんてしたいんだろう。

 

(くっ、こうなると分裂できなくなったことが痛い)

 

 むしろあれこそ魔軍司令に必要な能力だったと思う。いくら仕事があっても分裂して人海戦術で乗り切れるのだから、人じゃないけど。

 

(これはあの分体に大量分裂してもらわないとダメかも)

 

 分裂してもらって、直属の部下ってことにして手分けして仕事をして貰おう。

 

(ハドラーや他の軍団長への連絡要員兼監視が人数分、バーンパレスの中を把握して守備についてるモンスターだとかへ指示を出すための人員も複数いるだろうし)

 

 ハドラーが魔軍司令をしていた時の人員で問題ない者はそのまま使えば、分裂の回数も幾らか抑えられはすると思う。

 

(それとは別にバーンの不誠実の証拠を握るための人員も居るよな。つまり黒の核晶捜索隊だけど)

 

 原作知識でおおよその場所に見当はついているが、バランにそれを話すためにも実際に複数ある一つは発見しておく必要がある。

 

(それをバーンとキルバーンとミストバーンの目をかいくぐってできるかどうかだよな)

 

 一応こちらには透明化呪文というものはあるが、自身の魔力をいきわたらせているであろう大魔王をごまかせるかどうかと言うのが難関であり。

 

(むしろそっちよりハドラーに埋め込まれてるはずの黒の核晶を発見した方が簡単か)

 

 対応を誤るとそのまま口封じに消し飛ばされかねない気もするので、比較的容易な方だとしても細心の注意が必要だろうけれど。

 

「……ここだ」

 

 先を行くミストバーンが立ち止まったのは、それからしばらく歩いた後のこと。

 

『わあ』

 

 思わず声を上げたのは、ずらっと並ぶ様々な装備に圧倒されたからだ。原作だと動力炉にこそ立ち寄った気はするが、武器庫の描写はなかったように思うので、密かに楽しみだったのだが。

 

(ひょっとしてヒュンケルの剣の魔鎧の兄弟とかもあったりするのかな?)

 

 思わずミーハーになってしまうが、誰が咎められようか。

 

『えっと、燃えない防具ってどれかな?』

 

 それでも聞いておかないといけないことはちゃんと覚えていた俺はミストバーンに問うたのだった。

 




取りこぼし、判明す。

次回、二話「新たな装備」に続くメラ。
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