ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「なにか? なにかってなんだよ?」
きっかけは、メルルって子がすさまじい力を持ったなにかが来るって急に言い出しことだった。
(メラ公の分体のモシャスを見破ったんだもんな)
無視できねえとどっちからくるのかを聞けば、示したのはダイの居る方向で、拙いと思って姫さんを連れて走り出せば、ダイを見つけたのと背中に剣を背負ったオッサンが降りてきたのは殆ど同時だった。
「ダイ! 誰だ、こいつ?!」
ただものじゃなさそうな迫力を伴ったそいつから視線を外さずおれはダイに尋ね。
「こいつは魔王軍だ!! 魔王軍の超竜軍団長……バラン!!」
「ええっ?! 超竜軍団ってことは、どこかにドラゴンが?!」
予想だにしなかった答えに周囲を見回してみるがどこにもそれらしき姿はなく。
「ドラゴンなど連れてきていない。……勇者ダイ、おまえは自分が竜の騎士であることをすでに知っているな?」
「っ?!」
おれの方を一瞥だけしてそう言ったバランって野郎はダイに向き直ってそう聞いた。いや、質問の形だが殆ど確認だった。
(あいつ、どうして竜の騎士のことを……おれ達どころかダイだって湖の底にあった神殿の水晶から話を聞いて初めて知ったらしいってのによ)
おれが驚く一方で、ダイはだったらどうだっていうんだって叫んでいて。
「……おまえの力が……欲しい……!!」
バランの返した答えにおれは耳を疑った。ダイも驚いて立ち尽くしてるみたいだったが。
「私の部下になれ!」
今度はもっとはっきりとダイに要求してきやがった。
「おれに味方になれだって……」
「そう。少し前までなら、共に人間どもの世界を滅ぼすのだと続けたところだが――」
「ふざけるなっ!!」
更に何かを言いかけたのをダイの怒声が遮る。当然だ、ダイがそんな寝ぼけた要求へ首を縦に振るはずがねえ。
「別にふざけてなどおらん。だが、説明不足ではあったようだな」
だが、バランってやつがそういった直後だった。その額にダイのとおんなじ紋章が浮かんだのは。
「あああっ!! あっ、あの紋章はダイと同じっ……!! そっ、それじゃあ!!」
「あの男も……竜の騎士!!?」
「なにっ?!」
おれと姫さんの言葉に驚いたようにダイが振り返る。
(そっか、自分の額じゃ鏡でもねえとダイ本人が自分の紋章の浮かんでるとこなんて確認できねえもんな)
神殿とか湖に張り出した場所の像の台座とか竜の紋章の彫り込まれてる場所は他にもあった。だが、誰かの額に紋章が浮かんでるのを見るのは初めてだったんだろう。
(メラ公辺りならアレまでモシャスでコピーを……ってのは、流石に無理か)
そんなことを考えてる間にバランって野郎はいかにもと頷き。
「私も竜の騎士だ」
「そんな……け、けど、神殿の水晶から聞いた! 竜の騎士は人間、魔族、竜、どれかの種族が世界を自分たちのものにしようとした時、それと戦うのが竜の騎士の使命なんだろ? ……だったら、大魔王バーンの方がよっぽど倒さなきゃいけない相手じゃないか!!? あいつは世界を征服しようとしてるんだぞ!!」
「いや」
ダイの至極もっともな主張に首を横に振った。
「バーンさまは世界の平和のために人間を滅ぼそうとなさっておられたのだ……」
「……そんな」
「ちょっと、待てよ!」
同じ竜の騎士から飛び出した発言にダイは愕然とするが、おれは聞き逃しちゃいなかった。
「『なさっておられた』だ? じゃあ今は違うって言うのかよ!?」
「そうだ。先ほど途中で遮られたが、私も言ったはずだ、『共に人間どもの世界を滅ぼすのだと続けたところだが』と」
「えっ、じゃあ」
「今はそうじゃねえってことか」
何がどうしてそうなったかは知らねえが、この野郎を含む魔王軍に方針を転換する何かがあったってことだろう。だが、何があったかを知るすべなんておれ達にはなく。
「そ、そんなはずは……」
「って、メルルだったか? 来ちまったのかよ――」
後ろから聞こえた声に振り返ると茫然としたあのメルルって子の姿があった、けど。
「伝説によると竜の騎士は、この世にただ一人しかあらわれないはずです」
「「え?!」」
その口から語られた言葉におれ達は驚きもう一度あのバランって野郎の方を振り返り。
「……そう。この私こそ、この時代ただ一人の……真の竜の騎士だ!」
「なにっ?!」
「だが、本来この世に一人しか生まれぬはずの竜の騎士一族にも、例外がおこった」
じゃあダイはどうなんだと続ける前に、あいつはそれがおまえなのだとダイを示し。
「故に今一度言おう。私の部下になれ」
一歩も動くことなく、ただダイを見据えたままそう繰り返した。
ダイが拒む理由が一つ減ってる。メラゴーストのせいだな。(白目)
次回、三話「お披露目?」に続くメラ。