ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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三話「お披露目?」

『モシャス』

 

 呪文を唱えてみたのは、確認のためでもあった。

 

「お、おぉー」

 

 呪文による変身によって頭身も体格も変化したというのに、金属の光沢を放つ衣がパツパツになることはなく、衣の方が変身に合わせて広がり、緩んでちょうど良い塩梅に修正してゆく。

 

(凄い、流石は魔界最高の名工)

 

 ヒュンケルの装備の兄弟だとすれば、製作者はおそらく俺が原作知識で知るロン・ベルクの作だろう。キーワードを唱えるとほつれて姿を変えながらまとわりつき、所有者に装着されるというトンでもギミックを持ち合わせているわけだが。

 

(フィッティングと言うか着用時の調整機能、モシャスにも対応してくれるのか)

 

 かゆいところに手が届く、まさに至れり尽くせりの装備だと思う。

 

(しかも、あのシリーズって全身防具がデフォだし)

 

 例に漏れずこのローブにもフードが備わってしかも顔の下半分を薄布のようなモノが隠す構造になっている。

 

(読唇術でどんな呪文を唱えたか悟られないようにかな?)

 

 正体を隠したい俺には何とも都合がいい。

 

「杖は短杖のまんまだけど、ひょっとしたらこれにもギミック仕込まれてるのかもな……」

 

 すぐさま戦闘にと言うこともないと思うので、そこはおいおい確かめるとして。

 

「とりあえず、戻ろう。バーンさまにも装備を頂いたことの報告は必要だろうし」

 

 その後については実のところまだ迷ってるのだが。

 

(他の俺を迎えに行って人手を増やさないとデスクワークで忙殺される可能性だってあるよな?)

 

 原作でハドラーが政務やら文官仕事的なサムシングをしていた記憶はないが、組織として動いている以上そう言った仕事は必要不可欠だった筈で。

 

(描写外でしてたか、部下に丸投げだったか……は確認できたわけだけど)

 

 引き継ぎで判明したところ、おおよそ半々だった。こう、ダイ達の様子を悪魔の目玉経由の映像で眺めたりしていたのはホンの一部であり、ちゃんと仕事はしてたらしい。戦闘向きではない魔族の文官とかもいるようで、荒事や戦闘をアークデーモンなどのモンスターが担当する一方で、それなりの数の魔族が裏で仕事をしてたのだとか。

 

(そういや原作でもバーンに給士する魔族の女性とか出てきてたもんな)

 

 もし俺が人間のままだったら、綺麗なお姉さんと出会えるかもしれないというシチュエーションには大きく心が動くんだろうが。

 

(アンデッドになってるからか、こう、そう言う欲求ってのがどうも前世より薄いからなあ)

 

 どこかのモンスター配合ゲームであれば、メラゴーストだって子供を作ることは出来た筈だが、あれは見た目哺乳類だろうが何だろうが問答無用で卵で生まれてくる仕様だったし、そっちの設定を前提に考えるのはたぶんダメなんだろう。

 

(まあ、ハニートラップ系が効きづらくてラッキーって良い方に考えておくべきだよな)

 

 記憶を掘り返してみるに、原作でそう言うことを考えたのはザボエラくらいで、それもヒュンケルにマアムをあてがおうとしたのと、マアムに化けてポップを騙そうとしたのぐらいだと思うが。

 

(美女を差し出して部下になれって言ってくるバーンとかちょっと想像できないし……うん)

 

 とりあえず、効果はなさそうだとわかった時点でもうハニトラに関しては後回しで良いだろう。

 

(まずは報告、次に軽く事務仕事とか裏方仕事に触れて「これは大変だ」って思う理由を作って)

 

 人手が欲しいという理由で、別の俺を探し、迎えに行く。このついでにできればバランの様子も確認しておきたいところだ。

 

(殺さないように言い含めておいたから大丈夫だとは思うけど、なんだろうな、この不安。原作の修正力でポップが自己犠牲呪文とか使ってたりしませんように……)

 

 ミストバーンの後ろをついてバーンの元に戻りつつ密かに祈り。

 

(さてと、大魔王の居たところまであとどれくらいだろう。よくよく考えると、このお城の作りも覚えないといけないのか。魔軍司令が本拠地で迷子とかギャグにもならないし)

 

 以前なら分裂と合体で手分けしてこういった場所の構造も苦も無く把握できていたのだが、今の俺は地道に自分で覚えるより他にない。他者は普通にしていることなんだろうけれども。

 

『ただいま戻りました』

 

 それから、モシャスの呪文が切れる程度に時間をかけて戻ってきた俺は、新装備姿でかしづき。

 

「ふむ、なるほどそれにしたか」

 

 自身もロン・ベルク作の装備を使っているからか、俺が着用しているのが何かはあっさり解かったようで、俺は短くはいと頷きを返した。

 




次回、番外25「とんでもねえやつ(ポップ視点)」に続くメラ。

当面バランvs勇者一行とメラゴの現状を行ったり来たりになりそうな予感。
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