ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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五話「久しぶりの気がする外出」

「んっ」

 

 ダイの姿で、俺は伸びをする。魔王軍の本拠地であるバーンパレスに戻ってきて、まだ一日もたっていない。にもかかわらず、数日ぶりの様な解放感を外に出たとたん感じてしまうのは、裏方担当のみなさんとの顔合わせが思ったより濃い内容だったからだと思う。

 

(それでも早々に切り上げられたのは、あれだ)

 

 どう見てもここは人材が不足している様だし、俺も直属の部下が欲しいから、戦力になりそうな人材を探してくると言ったからだろう。

 

(なんか期待の眼差しで見られてたし、手ぶらじゃ帰れないよな)

 

 どうせ隠しおおせないことは解かっているので、大魔王バーンにも正直に昔分裂した自分を探して、配下になってくれないか交渉しにゆくと話し、外出の許可は既に得ている。

 

(ハドラーは非難の目を向けてきたけど、まぁ、就任直後に仕事場放り出すようなモノだもんな)

 

 とはいえ、外出理由が理由だけに失点にはならないと見たのか、バーンにこいつは魔軍司令に相応しくないとか訴えるようなこともなく。

 

(恨みとか買っちゃったかもな)

 

 それでも、俺が不在の間に誰が魔軍司令としての仕事を片付けるかと言えば、おそらくハドラーをおいて他になく。地位だけ奪われて仕事はそのままやらされる羽目になってるハドラーが俺に好感を持つかと言えば、そんな訳ないだろと言うより他ない。

 

(とりあえず、あの木こり小屋にルーラして書き置きに何らかの反応があるかどうかを見て、その後はルーラで移動かな)

 

 偵察用の使い魔であるあくまの目玉も瞬間移動呪文を追跡することはたぶんできない筈だ。

 

(そこに透明化呪文を混ぜ込んで、使い魔の立ち寄れないであろう師匠の結界があるデルムリン島を経由して――)

 

 出来ればそこで手に入れておきたいものもある。そう、魔法の筒だ。

 

(俺って炎の闘気のせいで目立つからな)

 

 だが、魔法の筒に入った上で分体に運んでもらう形なら居場所を悟られず移動することも叶う。

 

(やはり最低でも数人は分体に協力してもらわないとな。まあ、分裂してもらって数人になるなら一人でもいいんだけど)

 

 後々増えてもらうにしても複数人居た方が必要数に頭数が達すであろう時間は早くなる。

 

(後は、師匠の仲間へ個々に修行してもらってるであろう別の俺がどの辺りまで修行を終えてるかも気になるとこだけど)

 

 現状では回復呪文の使い手にモシャスで変身しないと手当てもできず、癒し手はぜひとも確保しておきたかった。

 

(となるとネイルの村に誰かが立ち寄るのは必須。で、俺が姿を見せるとめんどくさくなるから、事情説明と交渉は協力してくれる分体だより、と)

 

 逆に言うなら、俺自身が出向く理由は元凶だから誠意を見せるとかそれぐらいしかなく。

 

(バランとダイ達の方も気になるって言えば気になるんだよな。ま、俺じゃないしバランが何かポカをやらかすなんて考えにくいけど)

 

 勝負は水物ともいう。想定外の結果になることだって絶対にないとは言いきれない。

 

(ついでに様子を見に行くべきかな。幸いにも衣の魔杖で正体は隠せるし)

 

 バランに苦戦してたところに新しい強敵っぽいのが現れたら、流石にダイ達も逃げ出すだろう。そのままお引き取り願うか、いったんこっちも撤退してバランと反省会を開き、結果を基に勇者一行へのアプローチを考えて行く。

 

(だいたい今の段階で思いつくプランっていったらそんなとこか。それじゃ――)

 

 木こり小屋に移動する前に俺は身を包む衣を魔杖に纏わせる。

 

「正体隠してちゃあなあ」

 

 分体からすれば謎の敵にしか見えないだろう。向こうから接触してもらうにしろ、こちらから接触するにしろ、ベストなのは武装を解いたメラゴーストの姿の筈だ。

 

『さてと、行こう。ルーラッ』

 

 だから、最初の目的地に飛び立ったのは、モシャスが切れた後のことであり。

 

『ふぅ、到着っと。ええと……』

 

 着地するなり書き置きに何か変化はあるかなと見れば。

 

「殺」

 

 でかでかと一文字の漢字が書き加えられていた。

 

『うわぁ』

 

 どの俺かは解からないが、ご機嫌斜めってレベルじゃすまない感じのメッセージなんだが。

 

『ま、まあ、それでも誰か見てくれたわけだし』

 

 好意的な反応が返ってくるはずはないだろうってことは解かっていたことなのだ。殴られるぐらいは覚悟の上で。

 

『流石に本気で殺す気はないは、べっ?!』

 

 独言の途中で後頭部に衝撃を受けた俺は地面への接吻を余儀なくされるのだった。 

 




次回、六話「まあ、そうなるな」に続くメラ。
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