ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十話「バランと合流せよ」

『はぁ、胃に悪かった』

 

 結果から言うと、事後報告にもかかわらず文官へ貸与した分体の分裂についてはおとがめなしとなった。後に分体を増やして運営するためのテストケースにするからとかそういった理由でだ。そしてモシャスの効果時間が過ぎた俺は鏡面衆を名乗った分体達と別れ、バーンパレスの中を戻ってくるときに使った裏口に向かう途中であった。

 

『本当に危なかったよな』

 

 大魔王は良しとしたようなのだが、独断専行が過ぎるとハドラーが噛みついてきたので、本当にはらはらする場所だったと思う。まあ、分裂自体はそんなのしようがするまいがこっちの勝手ではあるし、魔軍司令なら人事とかの権限でも相応に持っていていい筈だが、完全な事後報告という一点では弁解のしようもない。ハドラーからすれば、魔軍司令の地位を追われた上に、失った軍団長の座を俺の分体に埋められそうになって焦ったとかそんな理由もあるのかもしれないが。

 

『とりあえず、バランと合流して今後について話し合わないとな』

 

 原作とは別の理由で追い込まれてるハドラーがどう動くかが気になるのだ。原作ではダイとの二度にわたる戦いの後にバランが魔王軍を離脱し、ダイが竜の騎士であることを伏せていたのが原因と大魔王から失敗を責められたハドラーはザボエラを伴ってバランとの戦いで傷ついた勇者一行の暗殺を謀ろうとするのだが。

 

『バランがダイを勧誘しようとしている、なんて知ったらなあ』

 

 流石に阻止しようと動くだろう。問題はそれが単なる妨害で済むか、それともバランとダイを諸共に葬ろうとするような凶行に走るか。

 

『可能性としてもバランには伝えておかないと拙いし』

 

 やはり、合流は不可避だ。鏡面衆はバランと面識がない上、俺の様に姿をごまかせる装備も持たない。ダイ達の前に姿を現す可能性がある以上正体を隠す装備は必須であり。

 

『とりあえず』

 

 テランに直接ルーラの呪文で飛べない俺としては、まずバランと再会した漁村に瞬間移動呪文を用いて赴き、そこからは透明化呪文とモシャスの併用でテランに向かうこととなる。

 

『そろそろ出口の筈、あ』

 

 やがて出口の形に切り取られた外が見えて、俺はほっとする。

 

『良かった。ここにきてまだ間もないからちょっと不安だったんだよな』

 

 鏡面衆もおらず、現在一人だ。本拠地で迷子になる魔軍司令とか格好がつかないってレベルじゃない。

 

『モシャス、からのルーラッ!」

 

 姿を変え、呪文の力で空に舞い上がった俺は、思考を切り替える。考えるべきは、バランとあった後の行動だ。情報を交換後、ハドラーを警戒しつつバランとダイ達の戦いを見守る。現状のプランだとそんなところだろうか。

 

「ハドラーが介入してきた場合の抑えも必要だろうけど」

 

 原作より立場の危ういハドラーがどう動くかはちょっと予想が出来ない。原作でダイ暗殺に力を貸したザボエラも今の魔軍司令じゃなくなったハドラーに力を貸すかと考えると疑問が残るのだ。とは言え、ハドラーには黒の核晶が既に埋め込まれている可能性が高い。単独だから何もできないとか、簡単にあしらえると考えるのは危険だ。

 

「はぁ」

 

 ダイやバランはハドラーが凶悪な爆弾を仕込まれていることを知らないのだから、三つ巴にさせるわけにもゆかず、最悪の場合どうやら一番危険な立ち位置に立たないといけないのは俺のようであり。

 

「うーん」

 

 炎の闘気と竜闘気を限界まで使えば爆発してもその威力は相応に抑え込める、と言いたいところだが、爆発のダメージでモシャスが解けると闘気を維持できず、いくらか威力の半減した爆発に消し飛ばされると思う。

 

「ダメだな」

 

 少なくとも原作のバランみたいな方法で爆発を抑え込むことは俺には無理だ。他に手段を考えなくてはならず。

 

「っと」

 

 ただ、更に何か考えるより地面へたどり着く方が早かった。

 

「レムオルっ、ふぅ……大丈夫そう、かな」

 

 すぐに透明化呪文で姿を隠すが、着地は見られなかったようであり。

 

「さて、そういえば衣の魔杖って分離変形の場合どう適応されるんだろう?」

 

 炎の闘気の方を鳥の魔物へ変えようとして、ふと俺は思った。

 

「……いや、確認は後でいいか。下手なことして失敗したらタイムロスが合流に響くし」

 

 今はバランとの合流が優先と俺は歩き出す。このまま徒歩でテランの方向に進み、モシャスが切れたら鳥の魔物へ変身し直し、炎の闘気でレムオルを使うことで透明になったまま上空からテランの様子を偵察するのだ。そこでバランとダイ達が戦闘中であれば場合によって介入し、バランが去った後であればダイ達の元に居るであろう分体へ秘かに接触して状況を把握する。割と行き当たりばったり風味になってしまっているが、まあ、仕方ない。

 

「こう言うとき、何か連絡方法があれば……あ、俺が悪魔の目玉にモシャスで変身したら、って駄目だわ」

 

 一瞬、良い思い付きのような気もしたが、それをやるには発進と受信で最低でも悪魔の目玉が二体必要になる。

 

「鏡面衆、連れてくるんだった」

 

 後悔先に立たずとはこういうのだろう。俺の嘆きは誰にも聞かれることなく消えてゆくのだった。

 




次回、十一話「けど、よく考えると接触したらまた殴られるのでは?」に続くメラ。
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