ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十二話「もういっそお前がバランのフリすればって言われたでござる」

『こっちはな、本気じゃないバランに良いようにやられたからダイは落ち込んで弱気になるわ、ポップは逆に今度こそ勝つって修行を始めたのはいいが、前のバランとの戦いが自分もダメージを負うのを辞さない攻撃してたから何するか気が気でなかったんだぞ!』

 

 幸いポップの方はカールから戻ってきたマトリフが軌道修正してくれたとその分体は言うも。

 

『マトリフの口からAが大魔王に会いに行って帰って来てないことがダイ達に伝わった』

 

 そう聞いて、俺の口からは思わずうわぁと声が漏れた。

 

『すぐにでも探しに行こうだの助けに行こうだのと言う話が出たが、前回の戦いでバランがまた来ると言った手前、テランを空にするわけにもいかず、どうするかで意見が割れていたところにお前が使わした分体が接触してきた』

『あー』

 

 俺が鏡面衆や文官のサポート要員を送り届けていた間に、どうやら残りの分体達はちゃんと接触できてはいたようだ。タイミングが遅きに逸してる感があるけれど。

 

『それで分体の何人かにダイ達と顔見世させて、「そっちが動けないなら俺達で探してみる」と言う名目でここを発たせた。Aの影武者を立てて無事ですアピールをすると魔王軍のお前の立場がどうなるかが解からなかったからな』

『それはごめん。けど、そうなってくると、送り出した分体達って俺と行き違ったと』

『おそらくそうだろう。そして、こっちはバランがやってくるまで動きようがない。誰かさんがバランに連絡を入れてくれればなんて思いもしたが』

 

 どうなんだと視線で問われて、俺はごめんともう一度頭を下げた。バランを捕まえたいのはこっちも同様なのだ。位置が解かって居たら、連絡がつくならわざわざテランを訪れたりしない。

 

『それで、俺達はこのままここで足止めと?』

『それなんだけどさ……』

 

 追加で殴られそうだが、懸念は伝えておかねばならず。原作より立場の悪いハドラーが暴走する可能性があるとためらいがちに伝えると。

 

『べっ』

 

 返ってきたのは顔面への拳だった。指のないメラゴーストの手では拳と言っていいか微妙だが。

 

『しかし、ロン・ベルクの作の割には防御力ないんだな』

『ぐぅっ、フードの中……しかも薄布で隠してない顔の上半分殴っておいて、防御力ないって……』

 

 ローブが守ってくれてない場所を意図的に殴ってそれは流石にどうかと痛みを堪えつつ俺はそう思った。

 

『それはそれとして、なら尚のこと一か所に止めておけんだろ。A、おまえがバランに化けろ』

『え』

『それでダイ達をテランから動かす。ここには分体を残しておいて本物ランが来たら、分体経由で事情を説明すればいいだろう』

『あ』

 

 俺がバランは拙いだろうと瞬間的に思ったが、説明を聞けば、なる程悪くないような気もする。

 

『けど、それって俺がバランとしてダイ達と戦わないといけなくならない?』

『こっちとしては新魔軍司令殿でも一向にかまわんぞ。新魔軍司令として登場して、バランは下がらせるとでも言えばいいだけだからな』

『むう』

 

 唸っては見るが、いずれにしてもダイの前に出ていかないといけないと言うのが俺としてはどうにも気が進まなかった。たぶんうしろめたさ的なものが原因なのだろうが。

 

『言っておくが現時点でバランにモシャスできるのはAだけだからな? 代われと言っても無理だぞ』

『いや、流石にそんなことを言う気はないよ』

 

 現状を何とかしたいという意味合いでは、目の前の分体も俺も変わらないのだ。

 

『けどさ、場を余計に混乱させることにならない?』

『それは今更だろう。俺としてはここにバランとハドラーがやって来て三つ巴なのか四つ巴なのかわからん展開になるよりよっぽどマシだと思うが』

『同感だけどやめて?!』

 

 噂をすれば影と言う。フラグになってハドラーが姿を見せたらシャレにならない。

 

『わかった。やるだけやってみるから。ただし、フォローはしてね?』

 

 正体を俺と知らないダイ達との戦いでは頭が痛いが、事情を知っている分体と示し合わせての戦いとなれば難易度も随分変わってくる。ダイ達が参戦してくる前に分体が先に接触し、善戦して追い返したという筋書きなら、ダイ達とは戦わずに済む訳だし。

 

『まぁ、やれって言った手前それぐらいはするが。問題はものまね番組よろしく途中でご本人が登場した場合だな』

『うわぁ、ありそう……って、そうすると魔軍司令モードで出張った方が良いか』

 

 ただモシャスするだけでは炎の闘気を纏った状態になってしまうのだ。一応闘気をモシャスで何かの姿に変えて分離させ、自立行動させることも不可能ではないが、闘気を引っぺがせば当然俺本体のスペックは合体する前のノーマルな状態にまで減退する。

 

『うーむ』

『そこは任せるが、去る前に決めて伝えろよ』

『あ、うん』

 

 すぐには決められず唸っていた俺はくぎを刺されて反射的に頷いたのだった。 

 




今度こそ今年最後だ。

次回、十三話「来ちゃった」に続くメラ。

では、良いお年を。
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