ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十四話「やっと会えた」

《よかった、ちょうど連絡取りたくて探しに来たところだったからさ》

 

 フードに紋章を隠しつつ、思念の波の形で紡いだ言葉を俺はバランへ投げる。

 

《正体をポップ達に気取られないためにキャラクターを変えてるけど驚かずに合わせてね》

 

 最初に伝えておくべきことは、まずこれだろう。バランは俺がおネェキャラを演じてることなんて知らないのだ。

 

「あらぁん? やだぁ、バラン殿じゃなぁい。ナイスタイミングぅ、ちょうど話したいことがあったのよぉ」

 

 喜色を前面に出して手を振ってから、あっと今気づいたかの様に声を漏らし。

 

「けど、お邪魔だったかしらぁん? これから勇者一行と戦うんでしょぉん?」

 

 問いかけるが表向きも会話をしなければ不自然だからであり、首を傾げつつ思念で明かすのは、ハドラーが乱入してくる可能性があることだ。

 

《ハドラーが乱入してくるって確定したわけじゃないけど、今のハドラーっておれがいうことじゃないかもしれないけど、魔軍司令の座を失って追い込まれてるからさ。何をやっても不思議はないと思うし》

 

 もっとも、ただ乱入してきただけならバラン一人でも対処は可能だろうが、体内に黒の核晶があるとなると話が違ってくる。もっとも、黒の核晶については現時点でハドラーに埋め込まれていることを知ってる理由が説明できないため、そこはぼかして説明するより他ないのだが。

 

《事情を知らないダイ達へバランを隠れ蓑に強襲してくるってこともありうるからさ。その場合、バランがハドラーと示し合わせてやったって思われるかもしれないし》

 

 生き別れの息子にようやく会え、たぶんまだ説得も諦めてないバランからしても、それは避けたい事態の筈だ。

 

「いや、今の力量ならば勇者達を倒すことぐらいいつでもできる。話があるというならそれを聞くとしよう」

 

 頭を振りつつバランは思念の会話で問うてくる。それでどうするつもりなのかと。

 

《ハドラーが来た場合はおれが抑える。魔軍司令の権限で帰らせることもできると思うし。命令を聞かないようなら、おれが足止めするからダイ達と一緒にその場を離れて別の場所で説得なり戦いなりをして貰う感じかな? バランに一任した手前、横槍入れられるのはおれも気にいらないしさ》

 

「ありがとぉ~♪ じゃ、ちょっとバラン殿お借りしちゃうわねぇん?」

 

 バランに変身してることで、トベルーラの呪文が使える俺は空に浮かび上がるとヒラヒラ手を振って踵を返す。

 

「ちょっ、待ちやがれ! メッラゾォォマアァ!」

 

 後ろからポップの声がしたかと思いきや、何かが飛んでくる音もしたが、気にしない。

 

「あら」

「やったあ!」

 

 衝撃と共に炎が我が身を包んでも。

 

「ざまあ見やが……れ」

 

 歓喜を帯びたポップの声が急にトーンダウンしたのは、直撃を受けた筈の俺が平然としてるからだろう。まぁ、ロン・ベルク作の一部呪文効かない装備着用の上にバランにモシャスして竜闘気と炎の闘気を併用してるのだから効かないのは当然なのだが。と言うか、これなら大魔王のメラゾーマ喰らってもけろりとしてそうな気がしている。

 

「あー、どうしようかしらぁん? 流石に呪文攻撃されて何もしないのは礼儀に反する気もするけれど、バラン殿に一任しちゃってるから手を出すのもちょっとあ」

 

 あれよねと余裕ぶって続けようとしたところで、ふと目に入ったのはこっちに向けて構える偽ヒュンケル。

 

「それじゃ、挨拶には挨拶ってことで、ベギラゴぉン♪」

「アバン流刀殺法――」

 

 おそらく俺のそれを待っていたのだろう。放った極大閃熱呪文は、偽ヒュンケルの斬撃に断ち切られてあらぬ方向で炸裂する。

 

「あらあら、残念。まぁいいわん、行きましょ、バラン殿」

 

 実は視線で示し合わせたこの攻防を機に俺は今度こそその場を離脱するのだった。

 

◇◆◇

 

「ふぅ、この辺りまで来れば大丈夫ねぇん。さてと――」

 

 そして、無事逃げおおせたところで下に降りると、俺はバランとの話し合いを再開することにする。

 

「伝えたいことなんだけど、ひょっとしたらハドラーが暴走して介入するかもしれないから、おれが暫くその抑えとしてご一緒するよってのが一つ。一任したのを一部撤回する形になっちゃって申し訳ないけど」

 

 まずはポップも居なくなったことで、口頭でも懸念を口にしておく。万が一悪魔の目玉に見られた場合、伝えるべきことを話していないとテレパシー的な会話の方を気取られるかもしれないからだ。

 

「それと、バランを探してる間にちょっと探って知ったんだけど、今このテランには先の勇者の仲間の一人、大魔導士マトリフって凄腕の魔法使いが居るらしいんだって。この人さっきのポップの師匠なんだけど、師匠って言うくらいだから、あのポップより、当然強いし厄介だから」

 

 忠告なんて必要ないかもだけどとしつつも件の人物まで参戦してくると単独は危険かもしれないとアドバイスをしておく。呪文なんて効果ないと高をくくってバランがメドローアで消滅してしまったら目も当てられないからだ。

 

「ふむ、おまえが言うからには軽く見ていい人物ではないのだろうな」

「うん。ばあいによってはマトリフだけはおれが押さえておいた方が良いかなって思うくらいには。判断はバランに任せるけど」

 

 殺し合いではなく内実ダイ達が死なないための特訓をつけているつもりであろうバランからすれば、おれがここまで言うダイ達側の助っ人は邪魔なはずであり。

 

「後れをとるつもりはないが、魔軍司令殿の言葉をむげにするのもな。好きにされるといい」

「本当? ありがとう」

 

 許可を貰えて少しだけほっとする。もっとも、それはメドローアが飛んで来かねない状況に身を置くということでもあるのだが。

 

 




十五話「再戦のお供」に続くメラ。
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