ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十九話「流石に怒っても許されるでしょ」

「お爺ちゃんを引っぺがしといてなんだけど、ちょっとあっちに行ってくるわ。さすがに文句の一つくらい言わないと収まんないもの」

 

 この調子ではおちおち休戦して会話なんてわけにもいかないというのもあるが、今ならマイボと言うおっさんがのっかってるのでマトリフも物理的な妨害は出来ないだろうと踏み、俺は歩き出す。近距離なのだ、トベルーラを使えばすぐだが、魔法力の無駄遣いをする訳にはいかない俺の涙ぐましい魔法力節約術である。うん、自分で言うと割とアレだが。

 

「待て、よくわからないが」

「よくわからないなら寝てて、ラリホーマ!」

 

 その途中上のオッサンの声がしたので、振り向きざまに呪文を唱えると、またこれかよとか口にして崩れ落ちたオッサンがマトリフの方に倒れこむ。

 

「これで良し」

 

 下敷きになったマトリフがぐえっとか言った気もするが、流石にオッサンの下敷きになったぐらいでは死なないだろう。

 

「はぁ、場合によっては早期撤収も提案しないといけないわね」

 

 マトリフまでは眠らせられなかったので、あのオッサンが起きてくるのは時間の問題。そして、あのオッサンがバランと出会うと話がどう転ぶか俺には想像がつかない。何せ原作未登場なのだ、あのオッサン。

 

「そもそも、さっき飛んできた流れ弾ならぬ流れ必殺技ってバランに向けて放った余波よね、たぶん」

 

 過剰な防御をした気もするが、俺が無傷なのは、それも一因だと思っている。

 

「なら、あれのメインを受けたバラン殿は大丈夫かしらん?」

 

 ダイ達を殺す気がない以上、敵を倒すまで止まれない最終戦闘形態である竜魔人は使えないとなると、流石に多勢に無勢なんじゃと思う。

 

「とにかく、急ぎましょ」

 

 バランの姿をとっている今、一応回復呪文も使えるが、竜闘気の攻撃には回復阻害効果があった気もするのだ。下手に大怪我をされると、バランがダイを説得中だからと言う理由で決着を先延ばしにする手が使えなくなる。我ながら利己的だなとは思うが、まだダイ達と戦う心の準備はできていないのだ。

 

「そろそろね」

 

 元々もう一方の戦場の様子もある程度窺えるところに居ただけあって、たどり着くタイミングと言うのも予想は出来る。

 

「ゴルァア! どこ狙ってんのよ、アンタ達ぃ!」

「え」

「なっ」

 

 大きく息を吸い込んで一喝すれば、驚いた様子の勇者一行が一斉にこっちを見る。

 

「嘘だろ……あいつは師匠が」

 

 押さえていた筈、とポップは言いたいのだろう。ダイもそんなマトリフさんがとか言ってるし、俺だけこの場に姿を現したならその誤解も仕方ないのだが。

 

「アンタ達の攻撃の余波でたまたまやって来てた人間が一人消し飛ぶとこだったじゃないの!」

「なに」

「へ」

 

 俺の文句に今度は数人があっけにとられた顔をする。

 

「人間の方はアタシが庇ってとりあえずおじいちゃんに預けてきたけど、戦うなら周囲のこともちょっとは考えなさいよね。と言うか、魔軍司令のアタシが何で人間庇うことになってるのよ! ふざけんじゃないわよ!」

「え、ええと……ごめん、なさい?」

「す、すまん」

 

 若干言ってることが滅茶苦茶な気もするが、怒りつつまくしたてると、恐縮した態でダイが俺に頭を下げ。クロコダインもこれに倣って。

 

「はぁ、全く。人間の保護はそっちの役目でしょうに……それで、バラン殿。そっちの戦いはどんな感じ? まだ戦うのかしら?」

 

 ため息をつきつつ周囲を見回すと、それなりにボロボロになった竜の騎士の姿が有ったので声をかけてみるが。

 

「一つ聞く、そのたまたま来ていた人間と言うのは」

「マイボって名乗ってたわ。一応ラリホーマで眠らせておいたけれど、そのうちこっちに来るわねん、たぶん」

 

 こういえばおおよそどう答えるかを俺は予想していた。故にちょっと卑怯だったかもしれないが。

 

「退こう」

「そう。……そう言う訳だから、またね、勇者ダイちゃんとそのお仲間達。今度は周りに気を使わなくていいとこでやりましょ♪」

 

 バランの声を聞いて肩をすくめた俺はウィンクついでに投げキッスをしてから炎の闘気の方で呪文を唱える。

 

「ルーラッ!」

「っ、待てよ!」

 

 ポップが声をかけてくるも、流石にこれ以上とどまる訳にはいかない。なぜなら、流石にそろそろモシャスの効果時間が心もとないのだ。

 

「とりあえず作戦を練りなおしましょ。想定外が多すぎたわ、今回」

 

 バランと供に空を飛びつつ俺はポツリと漏らすのだった。

 




何とか戦いを切り上げた主人公、そして――。

次回、番外32「衝撃の事実(ポップ視点)」に続くメラ。
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