ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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時間軸は一回目のバラン戦の前日まで戻ります。

(ルーラでヒュンケルを送り届けたの失念してた作者のポカによる矛盾解消の為です、すみません)


エピローグ「予期せぬ出会い(ヒュンケル視点)」

「ここがベンガーナか」

 

 にぎやかな街の中を歩きつつ、オレは見覚えのある顔を探していたが収穫は華々しくない。

 

「ここかもしれないと聞いたのだが――」

 

 そもそも、オレがここに居るのにも理由があった。弟弟子にモシャスしたメラゴーストがオレを運んでくれたことで、ダイ達と合流を果たしたオレは頼まれていた伝言を伝えるとそのままクロコダインとの合流をテランで待つはずだったのだ。だが、あのメラゴーストの分体の一人、A7と言ったか。その個体がダイの武器を調達すべく他の分体の元に向かったと聞き、当人は戻らなければそのままパプニカに戻ってもいいと言ったそうだが、パプニカの姫は心当たりがあると言い。

 

「あたしたちはちょっとあそこには顔を出しづらいのよね、だから――」

 

 かわりに見て来てくれないかと頼まれて、オレはあのメラゴーストの分体が居ないかを探しに来たのだ。詳しく聞くつもりはなかったが、何か騒ぎを起こしたらしく人間で顔を出せる人物がいないのだそうだ。

 

「確か、ドラゴンキラーの入札が行われているんだったな」

 

 話によると一度騒ぎになって延期された入札が行われるらしく、そこに顔を見せるかもしれないと姫は言っていた。

 

「デパート……あれだな」

 

 ダイ達から城のような大きな店だったと聞いた通りの建物は遠目からも目立ち。

 

「……なるほど」

 

 店の中に足を踏み入れて軽く視線で撫でるだけで一度ダイ達の装備を調達する為にここを訪れたという理由に納得する。師、アバンとの旅でも人の住む町や村に立ち寄ったことはあるが、何より戦士である以上武器の良しあしぐらいは解かるつもりだ。並ぶ品は、無造作に目を止めたものでもパプニカの兵が装備していたモノよりも質の良いモノの方が多い。

 

「ダイの持っていた剣は鋼の剣だったな」

 

 何日か前に斬り合った身としても手にしていた武器のことぐらい忘れはしない。

 

「鋼の剣より良い武器なら幾らかあるが」

 

 あくまで比較対象を鋼の剣とした場合の話。

 

「……あれか」

 

 だが、わかりやすく階段の側、売り場の入り口近くに置かれたソレと比べると見劣りするものばかりだった。手甲の様に手をはめて扱うソレの名はドラゴンキラー。

 

「ふむ」

 

 ダイが腰に下げていた剣と変えれば確かに大幅な戦力増加にはなりそうだった。それに見たところドラゴンキラーの周囲に居る男たちは件の武器に見合う様な実力を兼ね備えている者は皆無に見えた。もっとも、オークションの開始は夕刻とあるので、今いるのが野次馬だけと言う可能性もあるが。

 

「ここに現れるとしても、もっと後かもしれんな」

 

 夕刻にはまだ早く、ならばとデパートを後にしたオレはその足で港に向かった。パプニカの姫が気球をとめた場所をあのメラゴーストの分体の何人かがルーラで到着する目的地としていたとも聞いていたからだ。

 

「居ない、か」

 

 オレは港にたどり着くと周囲を見回し、そこに顔見知りの姿がないことを確認し、空を仰いだ。

 

「まだオークションにも早すぎるしな」

 

 どうすべきか、そう考えて居た時のことだ。

 

「なあ、兄ちゃん」

「ん?」

 

 不意に声をかけられ振り返ると、そこには先ほどのデパートで見かけた人々と比べれば粗末な服を来た子供がこちらを見ていて。

 

「兄ちゃん、そのごっつい剣ぶら下げてるってことは剣士様なんだろ? あのさ――」

 

 子供は言った、見慣れぬ魔物が村の近くに現れ、村の人達が怖がってるから何とかして欲しいと。

 

「やっつけてくれなくても、二度と姿を見せないように追っ払ってくれるだけでもいいんだ。お願いだよ」

 

 そう頭を下げられ、浮かんだのはパプニカの姫にオレが裁きを望んだ時に言った言葉。

 

「残された人生のすべてをアバンの使徒として生きることを命じます……!」

 

 そして、友情と愛と正義のために己の生命をかけて戦うこと。

 

「わかった。案内してくれ」

「え、あ、ありがとう」

 

 オレの言葉に一瞬驚きの表情を浮かべたその子供は喜色を満面にすると、唐突にあっと声をあげた。

 

「どうした?」

「いや、おいら名前も名乗ってなかったなって。おいらの名前はマイナン」

「そうか、オレの名はヒュンケルだ」

「ヒュンケル……うん、覚えた。宜しくね、ヒュンケル兄ちゃん」

 

 オレの名を反芻したマイナンは二度頷くと俺に向けて手を差し出し。

 

「ああ」

 

 オレはその手を取り。

 

「おいらの村はサガサって言う名前で南東の方に、その南の方にはジャブって漁村があるんだ。魔物は北の方で見かけたらしいんだけど」

「北か、テランに近いかもしれんな」

 

 何事もなければいいがと思いつつオレはマイナンの先導で歩き出したのだった。

 




という訳で、ポカ埋めの為にヒュンケルは魔物退治に付き合わされることになる模様です。

次回から新章ですね。
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