ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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時間軸がバラン戦前日まで戻ります、ご容赦ください。


ヒュンケルの冒険編
プロローグ「サガサへ(ヒュンケル視点)」


「それで、モンスターを見たというのはいつのことなんだ?」

 

 道すがらオレが問うと、マイナンは確か昨日のことだと答えた。

 

「ものすっごい炎をまとった鳥の魔物で、目にもとまらない速さで空を飛んでたんだって。そのままどこかに飛び去ってくれたならいいんだけど急に二つに増えたかと思ったら、地面の方に降りていったらしくて」

 

 村の住民は鳥の魔物だから巣を作るつもりなのではと、気が気でないらしい。

 

「二羽だっていうのも、つがいなんじゃないかって大人たちは言うし」

「なる程、営巣でも始めて雛がかえれば――」

 

 餌を求め村が襲われるかもしれないということだろう。

 

「うん、危険なんじゃないかって話してた。それでジャブの漁村に昔冒険者だったマイボって人が居るらしくて、初めはその人に頼ろうかって話もあったんだけど、漁に出た時大怪我をした人を海で見つけて助けて、その人のことで手一杯だったみたいで」

「大怪我をした人?」

「ん、そう聞いたよ。手持ちの薬草がなくなったとか少なくなったとかで、うちの村ならあるのかって聞かれたぐらいらしいし」

「ふむ」

 

 怪我人の方も気にならない訳でもないが生憎オレは戦士で、回復呪文は使えない。ここに居たのがオレではなくマアムだったなら、何らかの力になれたのかもしれないが。

 

「もしくは、あいつか」

 

 脳裏に浮かんだのは、モシャスで器用に様々な相手に化け、その能力を活用するメラゴーストの弟弟子。あいつを見ると何故か同じ種族の元部下たちを思い出してしまうのは、オレの感傷なのだろうか。

 

「あいつ?」

「いや、ただの独り言だ」

 

 どうやら呟きが聞こえて居たようで、振り返るマイナンへオレは何でもないと首を横に振り。

 

「そう。けど、よかった。おいらの村ってベンガーナと比べるとちっぽけな村だけど、たまに旅人くらいは通るから他所のこととかを聞くこともあってさ。海を挟んだ向こうの国が魔王軍に襲われたって聞いたし」

「っ」

 

 マイナンの言葉にオレの身体は強張った。よくよく考えれば、ここから南に海を渡ればパプニカ。過去の罪がこうして人の口から出てくることなど当たり前であるはずなのに。

 

「ヒュンケル兄ちゃん? あ、ごめん、ひょっとしてヒュンケル兄ちゃんってパプニカの」

「いや、謝られるようなことはない」

 

 どうやらオレを攻められたパプニカの人間とでも思ったようで慌ててマイナンが頭を下げてくるが、謝罪を受ける権利も理由もあるのはオレではない。

 

「そ、そう。けどごめんね。この話はもうしない」

 

 それどころか気遣わせてしまったことは心苦しく。

 

「えっと、そう言えばヒュンケル兄ちゃんってメシ食べてきた?」 

 

 短い沈黙を破ったのは、急な話題変更だった。だが、オレにとってもありがたいもので。

 

「それなら用事のついでに済ませたが」

「そ、そう。良かった」

 

 口を開けば、オレの答えに安心したのかマイナンは口元を綻ばせ。

 

「おいら、何も聞かずについてきてもらっちゃったからさ。あれからメシ食べるとこだったら、お腹空かせたまま村まで歩かせることになるとこだったし……あ、夕メシとか寝るとこなら大丈夫。父ちゃん達に頼んで」

「短いものだが旅の身の上だ、オレは野宿でも構わないが」

「ああ、ダメダメ! おいらがお願いしてきてもらったのにそんなこと出来ないよ」

 

 凄い勢いで頭を振ったマイナンは、最低でもおいらのベッドを貸すからと言い張り。

 

「……ホントはさ、おいらが戦えたらいいんだけど、魔法も剣も弓も全くだめで……だから、出来ること、おいらに出来ることをしたいんだ」

「……そうか」

 

 短く応じて、オレはその続きを探した、そして。

 

「魔法ならオレも全くダメだが」

 

 少し考えてようやく口にできたのは、そんな告白ぐらいだった。

 

「あ、うん。兄ちゃん剣士様だもんね」

「ああ」

 

 頷いて一瞥するのは、腰に下げた鎧の魔剣。

 

「魔物は炎を纏ったと言っていたな」

 

 これを纏えば、オレは呪文だけでなく、吹雪も火炎も防ぐ。まさにおあつらえ向きの相手だろう。

 

「そう、おいらの村って木々に囲まれた森の中にあるからさ、炎を使うモンスターってだけで大変なんだ。前にもメラゴーストが群れを作ってるのを見たって話があった時は大騒ぎになってさ」

「メラゴーストの群れ?」

 

 マイナンの話にこうも心当たりが出てくるのは偶然なのか。

 

「そう。けど、メラゴーストに襲われた人が出たって話も聞かなくて、見たって言ってた人もそれ以来見てないって話でさ、結局最初に見た人が見間違えたって話に落ち着いたんだけど」

「そうか、見間違いだったか」

 

 だが、オレは知っている。それが見間違いでも何でもないことを。おそらく、オレとフレイザードが勧誘したメラゴースト達がおそらくは話のメラゴーストだろう。思い返せば、マイナンの話す村はあの時オレがメラゴースト達を部下にするため出向いた場所からそう離れていない筈だ。

 

「だが、気にはなるな」

 

 時間があるなら、もう一度あの場所に足を運んでみるのも良いかもしれない。微かにそう思って。

 

「えっ」

「むろん、魔物の方が優先だ」

 

 オレは足を進めるのだった、サガサの村に向かって。

 




作者のポカを埋めるため、今、ヒュンケルの大冒険が始まる?

次回、番外33「剣士様とおいら(マイナン視点)」に続くメラ。

あと需要あるかはわかりませんが、作者が執筆に使った作中内のタイムテーブルを乗っけておきます。
日数カウントはアバン先生がメガンテした日を1日目としてカウントした場合。
原作は85日目で大魔王を倒したのだとか。
ちなみに原作との1日のズレは主人公がパプニカにルーラして早め、ヒュンケル戦用の特訓を二日に引き延ばしたことで半分に減らした分のズレになります。

<31日目>
生存報告+ヒュンケルたちと合流+覇者の剣を借りてヒュンケルたちと再合流+ネイルの村で弟子入り志願&分裂と検証→主人公&A5ガルーダの姿で北へ向かい海を越え、灯台でランタンを無断拝借、名もなき小さな村経由でカールに到着
<32日目>原作33日目
フレイザード戦側は原作通り(ヒュンケルとクロコダインが鬼岩城(ギルドメイン山脈中央部)へ向けて出発夜)/カールで超竜軍団と戦闘(バランとの戦闘は回避)
<33日目>
主人公&A5、ザババ他救援の名目であちこちで戦闘
<34日目>
主人公&A5、バランと決戦、バラン、深手を負ってルーラで撤退&マイボに拾われる
<35日目>
主人公眠り続ける/マアム修行へ旅立つ
<36日目>
主人公目覚める/鬼岩城移動→ヒュンケルとクロコダイン鬼岩城跡地に到着、ヒュンケル足跡を追う→ダイ達A3(フレイザード戦のお供メラゴ)と別れベンガーナに買い物へ/主人公、キルバーンと出会って大魔王の元へ招かれ、会談。そして約束して出発
<37日目>
バラン目覚める/主人公、バランを探して空の旅へ&ヒュンケルを追う分体に会う。分体ヒュンケルを引き返させるべく動く/ダイ達テランに到着/主人公バランと再会
<38日目>【今話はここ】
主人公、バランと魔王軍本拠地に帰還&魔軍司令就任/バラン、テランに向けて発つ/ヒュンケル、分体のルーラでダイ達と合流、その後ベンガーナへ
<39日目>
ダイvsバラン(一戦目)/主人公、装備を貰ってお披露目
<40日目>
主人公、魔軍司令引き継ぎ業務開始→分体と連絡をとるために外出
<41日目>
主人公、分体に殴られて気絶から目覚めて身ぐるみはがされたりフルボッコにされる/鏡面衆初お目見え/マトリフがダイ達に合流
<42日目>【前章の最終話がここ】
勇者一行+マトリフvsバラン+トゥース
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