ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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そうそう、もうお察しかもしれませんが、このヒュンケルの冒険は原作確保の時間稼ぎを兼ねております。
参照できる原作ストックが新装版のバラン戦二回目の決着及びその後のハドラー戦までなので。
(尚、更新お休みした用事の帰りに古本屋に寄ったのですが、成果はナシでした)



番外34「村にて(マイナン視点)」

「マイナン、俺はこの剣士様にこれまでのことを説明するからお前は家に帰っとけ」

 

 おじさんにそう言われて、一瞬えっと言いかけたが、素直に頷いておいらは歩き出した。こう、げんこつの痛さとかに怖気づいたとかじゃない。おじさんの言ってることももっともだったからだ。

 

「ヒュンケル兄ちゃんのこと話しておかないと」

 

 おいらのベッドを貸しても良いとは思ってるけど、ヒュンケル兄ちゃんにうちへ泊まってもらうなら、父さんと母さんにも話を通しておく必要はあったし、夕メシだってヒュンケル兄ちゃんの分が必要になる。

 

「うー」

 

 おじさんの反応を思い出すと、怒られるだろうなあとは思う。自然と足が重くなるけど、帰らないわけにはいかないし、ヒュンケル兄ちゃんの夕メシを無しにもできない。

 

「帰らなきゃ」

 

 ぐっと拳を握って勇気を絞り出し、足を動かす。これぐらいベンガーナに行くまでと比べれば何でもない。あっちのほうがずっと危険だったはずだ。村を救うんだって気持ちでいっぱいで、その危険もおじさんのお説教でようやく気付いたおいらだけど。

 

「畑仕事でいないといいなぁ、なんて訳でもないし」

 

 うちの父さんは畑で野菜を作ってる。だから畑に居て家に居ないこともあるけど、夕暮れには帰って来る。いずれ帰ってくるんだから会うのを避けたって仕方なくて。

 

「お、マイナンじゃん。どうしたんだよ、そんな男みたいなカッコで」

「あ」

 

 家に戻る途中で、幼馴染のコビーに声をかけられる。

 

「ん、ちょっとね。今はうちに帰るとこ」

「そっか。そういや、今日姿見なかったよな。おばさん、探してたぜ」

「うげっ」

 

 決心が鈍らないように答えるだけ答えてすれ違おうとして知らされたことに、思わず声が漏れる。

 

「お母さん、さがしてたとか……」

 

 まず間違いなく、怒られる。怒られるとは思っていたけど、思っていた以上に拙い状況かも知れない。

 

「おい、マイナン?」

「けど、なら尚のこと急がなきゃ!」

 

 おじさんと話を終えたヒュンケル兄ちゃんがうちにやってきたらおいらが叱られてるところだった、なんてのは絶対に避けたい。

 

◆◇◆

 

「そう思ってた時が、おいらにもあったよ」

 

 急いで帰ったおいらを待っていたのは、笑顔のお母さんだった。ただ、笑顔の筈なのに昔、森に行った時に遠くに見たモンスターよりずっと怖かった。

 

「お尻、痛い」

 

 痛いというか、ヒリヒリする。無茶苦茶叩かれた。こう、実の親だからか、おじさんより容赦なかった気がする。ただ、おいらのお尻を犠牲にヒュンケル兄ちゃんの夕メシとベッドについては何とかなったみたいで。

 

「けどなぁ」

 

 家に着いたら父さんはまだ畑で、これからもう一回怒られたり説明しないといけない。

 

「……ホイミ」

 

 お尻に恐る恐る手を伸ばして、呟いてみるけど、何も起きない。

 

「やっぱりおいらに魔法は無理なんだろうなぁ」

 

 溜息をついてお尻から手を遠ざける。間違って触れてしまいでもしたら、地獄だから。

 

「というかさ、このお尻で明日歩けるの、おいら?」

 

 怒られたことで魔物を見かけた辺りに案内するのは流石に許してもらえないと気づいたおいらでも、村の案内くらいはするつもりだったのだけれど。

 

「ああ……」

 

 背中を上にしてベッドに伏せたままマットをぎゅっと握りしめる。

 

「う、く……起きなきゃ。さすがにこんなとこをヒュンケル兄ちゃんに見られたら」

 

 全力で叫びながら世界の果てに消えてしまえそうな気がする。世界に果てがあるのかは知らないけど。

 

「マイナン?」

「うひゃい?!」

 

 だから、こんなタイミングで呼ぶのはやめてほしかった。身体をベッドから出そうとしているところだったのは、不幸中の幸いってやつだと思う。思うけど。

 

「ここか」

「あ、うん。どうしたのヒュンケル兄ちゃん」

「そろそろ父親が戻ってくる頃だと伝えてほしい、とな」

「あ゛」

 

 言伝を頼んだのはお母さんだろうが、これはヒュンケル兄ちゃんの前で怒られることになるのではと気が付いたおいらの顔は間違いなくひきつっていたと思う。

 

「どうした?」

「ううん、伝言ありがとうね」

 

 おいらのお願いを聞いて村まで来てくれた人なんだ。お礼はちゃんと言わなきゃいけない。それに、おいらの願いにこたえてくれた人の前だから、おいらもきっと逃げちゃダメなんだと思う。

 

「それじゃ、おいら父さんをお出迎えしに行ってくるね」

 

 できればおいらの部屋でのんびりしていて欲しいなと思いつつも、おいらは怒られに歩き出したのだった。

 




ちなみに、コビーはタッカーおじさんの息子です。

名前の由来は近くにあったカレンダーのスポンサーの企業名をばらしてもじったもの。

マイナンはフィーリングで名付けたので、元になったモノはありません。

次回、番外35「隣村の男(ヒュンケル視点)」に続くメラ。
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