ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「人を探してるんだ。大怪我したとこを拾って、止めたのに勝手に出ていっちまった野郎のことをな」
その男、マイボがサガサの村を訪れたのも理由の半分はそれで。
「それから、この村は狩人が見たモンスターのことで悩んでるんだろ? 話を聞いた時は怪我人が居てそれどころじゃなかったが、やっぱりどうにも気になっちまってな。出てった奴を探すとは言ったが、手掛かりもねえ。なら、モンスターがどうなったのかを知るのも兼ねてここに寄ってみようと思ってな」
「なるほど」
「で、来てみたらお前が修練してるのに出くわしたって訳だ」
もう一つの理由と友に経緯を明かしたこの男こそ、マイナンが話していた隣村のマイボなのだろう。あの時の話とも事情が一致する。
「オレはヒュンケル。この村の者にその魔物をどうにかして欲しいと依頼されて足を運んだ者だ」
「あー、まぁ、そうだろうな。見ねえ顔だし、この村の奴は弓じゃなきゃだいたい斧か短剣を使うし。しかし、サガサの村のやつらには悪いことをしたな。他所に助っ人を呼びに行くほど事態が悪くなってたとはよ」
「いや、それは――」
ただ、オレがここに足を運んだ理由について若干誤解していたようなので、一応誤解を解くべく訂正しておく。オレも村に来て今日で二日目で、モンスターが発見された時から何か変わったことがあったのかについては聞いていないこと。むしろ変化があったかを確認するためにも今日目撃場所へ足を運ぶつもりでいると言うことも説明し。
「なんだよ、俺の早合点か。すまねえ」
「気にするな。誤解は誰にでも起こりうることだ」
「はは、そう言って貰えると助かるぜ。で、だ」
唐突なはなしだけどよ、と前置きしたマイボは魔物の確認に同行させてほしいとオレに言った。
「前に突っぱねちまった格好になった俺が何言ってんだって言われるかもしれねえけどよ、まだ解決してねえって聞いたら黙ってこのまま立ち去る訳にゃいかねえだろ?」
「だが、おまえは人を探してるのではないのか?」
「確かにそうなんだが、前に手を差し伸べられなかった困った奴らに手を貸せるかもしれねえんだ。無視はできねえ」
「ふっ……とんだお人好しも居たものだ」
若干呆れつつ言えば、少しだけむっとした表情でマイボも返す、人助けをしてるのはおまえもいっしょだろうが、と。
「オレはお前ほどではない」
それどころかと続けそうになったのを止めたのはパプニカの姫があの時に口にした過去を引きずるなという言葉だ。
「どうした?」
「いや」
それでも一瞬間が空いたことを訝しんだマイボにオレは言う。
「同行の件だが、オレの一存で許可が出せるかはわからん。戦える人間が二人いるなら一人は村を守ってくれと頼まれることもありうるしな」
オレとてこの村には昨日ついたばかり。門番のタッカーという男に大まかなことは聞いたが、戦力になる男二人をそのまま偵察に向かわせてくれるかという判断はつきかねた。
「そっか。まーそうだよな、悪ぃ」
「いや、気にしてはいない。だから、二人で行くことになるかは村の者が起き出してきて意見を聞いてからになるだろう」
燃えるような姿の魔物を確認するなら夜の方が適していたかもしれないが、土地勘もない森を案内をつけずに夜間探索を試みるのは無謀が過ぎる。
「出発は昼前にはなると思うが、少なくても明るくなった後だろうな」
「おお、了解だぜ。急に飛び入りで参加させてほしいって言ったんだ。その辺は仕方ねえ」
そう言うとマイボはオレから少し離れた場所にどっかり座り込む。
「魔物が現れてピリピリしてる今、バラバラに村に行くのもな。人影を見て門番のオッサンを警戒させちまうとしたらその数は一回の方がいいだろ? 村に帰る時に同行させてもらうぜ」
それまでここで休んでるとマイボはこちらに背を向けたまま宣言し。
「妙な男だ」
「妙じゃねえ!」
再び呆れた様子で漏らせばすぐさま抗議が返ってくる。オレたちが村に戻ったのは、白みがかった空が充分明るくなった後のこと。
「マイボ、マイボじゃねえか!」
隣村だけあって門番の男ともマイボは顔なじみだったようで、村の入り口に近寄っていけば、門番がすぐに声をあげた。
「いや」
こんな独創的な武器を被った人影という時点で忘れたり見間違いようもないか。修練中も幾度か言葉を交わしたが、あの男の装備については何がいいのか、なぜあれを使うのかが全く理解できなかった。戦士として武器のコンセプトを理解できないなど恥もいいところだが。
「どうかしたか?」
「大したことじゃない、こちらの話だ」
振り返るマイボにオレは頭を振って気づかず止めていた足を入り口に向けて動かし始めたのだった。
次回、番外38「魔物を探しに(ヒュンケル視点)」に続くメラ。