ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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 活動報告に更新回数について悩んでると書きましたが、試験的に本日から更新回数を減らしてみます。
 ちょっと、まだやらなきゃいけないことを抱えてる状況ですので、どうぞごりかいください。


番外45「続・続・ベンガーナ再び(ヒュンケル視点)」

「おし、森を抜けたぜ。もう少し進みゃ、ベンガーナも見えてくるはずだ」

 

 前方に視界が開けたところでマイボがこちらを振り返る。

 

「どうだ、ちゃんと道案内できてるだろ?」

「そうだな」

 

 どことなく得意げに見えたので頷きを返したオレは一度だけ前とは別の方角を見る。

 

「ん? どうしたよ? ベンガーナは向こう、そっちはテランの方だぜ?」

「ああ、それはわかっている。テランに仲間が滞在していてな。今、どうしているかと、少しだけそんなことを思っただけだ」

「あー、そう言うことか」

「もっとも、成果もあげていない以上、このまま戻るつもりはないが……この後、オレが戻る前にテランを訪ねることがあったなら、オレのことを伝えておいてもらえると助かる」

 

 マイボも人を探す身の上だ。つい最近まで魔王軍に居たオレよりもテランに居るであろうパプニカの姫の方がよほど力になれるだろう。あてもないというなら、理由をつけてテランへ向かわせても問題はあるまい。

 

「わかった。俺としても村に戻らねえなら海を渡る手段は持ち合わせてねえからな。行くとしたらテランかカールかどっちかのつもりだったし」

 

 伝言くらいならお安い御用だぜとマイボは請け負ってくれ。

 

「しかしカールか」

 

 オレはふと魔王軍の元拠点から巨大な足跡を追いかけカール方面へつい先日向かっていたことを思い出す。カール王国、そこは師であるアバンの故郷だった。足を運んでみたいという気持ちもあるにはあるが、今すべきは弟弟子の分体を見つけて合流することだ。それに瞬間移動呪文の使えないオレにとって個人的な希望だけで足を運ぶにはカールは遠すぎる。

 

「気になるのか?」

「気にならないといったら嘘になるが、それより今はベンガーナに向かう途中だろう」

 

 まずベンガーナにたどり着くべきだと主張すれば、マイボもそうだったなと同意し。

 

◇◆◇

 

「やはり、ドラゴンキラーは売れていたか」

 

 ベンガーナに到着したオレがデパートに足を運ぶとドラゴンキラーが置いてあった場所にあの手甲の様にはめて使う竜殺しの武器はなく、かわりに置かれていたのは、一部がどことなく十字架を思わせる作りの剣だった。

 

「ゾンビキラー、か」

 

 不死族を倒すべく作られた武器がそこにあることに、元不死騎団長としては偶然の皮肉さを感じずとはいられない。

 

「うおっ、『はがねのどたまかなづち』だと?! うぐっ、ここにもっと手持ちがありゃあなあ」

 

 マイボはマイボで自身の被っているのと似た形状の武器だか防具だか判別のつかないモノを見て興奮して騒いでいたが、良い素材を用いた同型の武器が存在することは、オレにとっても驚きだった。

 

「ぐ、駄目だ。路銀にゃ手を付けるわけにはいかねえ、沈まれ、俺の……」

 

 葛藤するマイボをその場に残し、更に階を一つ上がれば、良く見えるところに飾られていたのは、大小様々な刃の生えた茶褐色の鎧で。

 

「おお、お客様お目が高い。この刃の鎧は本日入荷されたばかりでして――」

 

 興味があると思われたのか、店員が寄ってきたが頭を振って防具なら間に合っている、ただ目が止まっただけだと言った。

 

「それより人を探していてな。このデパートに来るかもしれないと聞いて足を運んだのだが」

「人探しですか? 迷子のお呼び出しでしたらあちらの案内所の方で」

「いや、迷子ではなくてだな」

 

 どこに勘違いされる要素があったのかはわからない。わからないが、誤解をとくには暫し時間を要し。

 

「ぐ、うう……」

 

 何とか下の階に戻って来たオレはまだ悩んでいるマイボの姿を目にすることとなる。

 

「むう」

 

 己が命を預ける武器のこととなれば悩むのは戦士としてわからなくもない。だが、なぜあの形状の武器を愛用するかについては今だ理解が及ばず。

 

「ヒュンケルよ、この『鎧のどたまかなづち』をお主に授けよう」

 

 そうかつての主であった大魔王が同系統の装備をオレへ与えるところを一瞬だけ想像して、頭をふった。確かに兜に装着したまま剣を振るって戦ったこともあったではないかと言われれば、否定はしない。もし兜部分についているのが鎖の伸縮する棘付き鉄球か何かであれば、オレとてあれほどコンセプトを理解できず悩むことはなかったはずだ、筈だが。

 

「しかし、成果なしか」

 

 若干頭痛を覚えそうになったオレは、思考を人探しの方に戻して嘆息する。防具売り場の店員の方はオレを含むダイ達勇者一行の姿はダイ達が直接訪れた日以降は見ていないらしく、モシャスで弟弟子の分体が足を運んだ形跡もないようだった。もっとも、このデパートで一度モシャスをしたところを見抜かれ、騒ぎになったと聞けば無理もないかもしれず。

 

「ん? ああヒュンケルか」

 

 ようやくオレに気付いたマイボだったがこの顔を見て首尾が良くないことを察したらしく。

 

「こう突っ込んで聞くのはアレかもしれねえけどよ、探し人の目的って何だったんだ? そこから探ってみたら何か発見があるかもしれねえぜ?」

「目的か」

 

 ここに足を運んだ理由ならドラゴンキラーを求めて立ち寄ったかもしれないのが理由、つまりあいつが求めているのはダイの為の強い武器だ。ためらいもあったものの、一理あると思ったオレは理由だけを口にし。

 

「武器を探してるってんなら、ドラゴンキラーを作った刀工の方を当たればいいんじゃねえか? 俺に一人心当たりがあるぜ」

「なッ」

 

 何事もないようにさらっと言われてオレは目を見張った。

 

「昔、旅をしてるときにちょっとな。そのおっさん刃物専門らしくてな。腕が確かな分、鈍器は専門外だって言われた時はかなり落ち込んだもんだぜ」

「いや、おまえの場合はそうかもしれんが……」

 

 正直に言って訳が解からなかった。この男にそんな人脈があったことが。

 

「もっとも、住んでるところはそうおいそれと口に出すわけにゃ、な」

「っ、ああ」

 

 オークションで購入者を決める程の武器を作れる人物となれば、確かに気軽に口に出してよいモノではない。オレはここを出るぜと告げたマイボへ即座に頷き、後に続いたのだった。

 





次回、番外46「刀工の元へ(ヒュンケル視点)」に続くメラ。
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