ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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 本当は岡山弁のページ開きつつ刀工のセリフは書くつもりでしたが、ちょっと挫折したのでマイボに翻訳してもらう形にしました、無念。



番外47「刀工の村で(ヒュンケル視点)」

「おいでんせえ」

 

 そのままマイボに連れられて向かった先、もくもくと煙を出し続ける一軒の家に入ると、中に居た男に沿う声をかけられた。

 

「今のは?」

「ああ、いらっしゃいって意味のこの地方の言葉だ」

 

 面を喰らったオレへ先に家に入って事情を説明したマイボが通訳してくれ、通訳を介して男は言う。

 

「マイボの連れってことなら歓迎する」

 

 と。

 

「『もっとも、今少々忙しくて大したもてなしもできないが勘弁してくれ』だってよ」

「いや、突然したのはオレたちの方だ。気にしないでもらいたい、しかし」

 

 男の言う忙しいと言う言葉が嘘でないことをオレはすぐに信じることができた。男の後ろの炉には火が入ったまま、鍛冶に使うであろう槌は使っていた途中であるかのごとく無造作に放置され、何より家のあちこちにドラゴンのモノと思われる角や鱗、骨などの素材で埋まっていたのだ。よく見れば作ったばかりと思われるドラゴンキラーが幾つか壁にかけられていたりもする。

 

「聞いた話ではベンガーナのデパートも一つ入荷するのがやっとだったらしいが」

 

 この部屋を見たらベンガーナで仕入れを担当している人物はどう思うか。

 

「あー、ヒュンケルもそう思うか。それなんだけどよ、どうもつい先日カールの方からドラゴンの素材が大量に流れてきたらしい」

「ドラゴンの?」

「カールが魔王軍に攻められて、攻めて来たドラゴンを返り討ちにしたことで大量の素材をカールは得たらしいな」

 

 それが、この刀工の元にも流れてきたって事らしいとマイボは言う。

 

「で、この刀工のおっさんの元にはドラゴン素材が足りなくて作りかけになってたドラゴンキラーが複数あった。そこに素材が大量に入荷され、短期間で仕上げられたのがアレってことだな」

「なるほど」

 

 作成が中断していたドラゴンキラーを仕上げるべく槌を打っていたところにオレとマイボが現れたということだろう。

 

「だが、あの狭い道をよくこれだけの素材が運んでこれたものだな」

「あー、それならカール方面には別の道があるんだ。そっちの方が広くてたいていの人間はそっちを通る。もっともベンガーナからだとそっちは無茶苦茶遠回りになるんだ」

「そういうことか」

 

 マイボの補足で疑問はあっさり氷解し。

 

「ん?」

「どうした?」

「ドラゴンを返り討ちにしただと?!」

 

 納得しかけたオレは流しかけた話に遅れて驚愕する。魔王軍のドラゴンと言うことは、それを率いているのは、あの超竜軍団長バランに他ならない。元軍団長のオレだからこそ知っている。超竜軍団は六軍団最強であるということを。それが返り討ちにされているという事態がにわかに信じられず。

 

「っ」

 

 カール王国と言えば、巨大な足跡を追いかけたおり、近くまでは足を運んでいたのだ。あの時何故カールの様子を見てこなかったかが悔やまれ。

 

「これはカールの様子をこの目で確認してこざるを得んな」

 

 あの魔王軍最強の軍団をどう返り討ちにしたのかは、聞いておかねばならん、そう思った。ダイ達との合流が遠くなるが、そんなことは言っていられん。メラゴーストの分体が立ち寄っていないかを確認した上ですぐにでもカールに向けて発つことを考えるオレだったが。

 

「待ってくれ」

 

 オレは刀工に呼び止められた。その理由を察しなかったと言えば嘘になる。刀工と聞いた時点でこうなる可能性は解かっていた。

 

「その腰のモノを見せてほしい」

 

 マイボの通訳を介し頼まれたオレは少し迷ったが、最終的に鎧の魔剣を刀工へ差し出した。これまで何度か破損し復活を遂げてきた不死身とも言える鎧の魔剣だが、これまでオレは魔剣自身の自己修復ともいうべき力に修復を任せっきりだったのだ。とはいえ鍛冶屋でないオレに魔剣のダメージを回復させる術はない。それでもこの刀工なら何とかなるのではと思ったのだ。

 

「どうだ、直りそうか?」

 

 鎧が砕かれたフレイザードとの戦いからは幾日か経っている。鎧の部分もいつもの鞘の形を取り戻してはいたが気になるモノは気になる。

 

「すまん」

 

 それゆえのオレの問いに刀工は謝りながら頭を振った。曰く、自分では無理だと。

 

「こいつを作ったのは、おそらく人間じゃねえ。この鞭の様に伸びて形を変える機構くらいならわしにも作れるが、変形して装着される仕組みと自ら損傷を修復する仕組みの方はただの鍛冶屋や刀工の手に負えるもんじゃねえ」

 

 かなりの腕の魔法使いでもある鍛冶屋か刀工と言う存在するかもわからない人物か、魔法力の扱いにたけた魔族の刀工でもなければこういったモノは作れないだろうというのが刀工の見立てであり。

 

「わしにも少しなら魔法力はある。だが、素材加工にちょっと使ったり種火を用意するのがせいぜいで、こんな真似は無理だ。そんなわしが下手に手を出すと、かえってこいつの自己修復機能を損ないかねねえ」

 

 申し訳なさそうな顔をした刀工は詫びになるかわからないとしつつ、壁にかけてあったドラゴンキラーを一つ、差し出してきた。

 

「盾を使わない様だし、効き手で無い方の手で扱えばいい」

「っ、だが」

 

 ベンガーナほどの町でオークションにかけられる一品だ。詫びと言われても、オレは受け取るのをためらうが。

 

「受け取っとけよ。気になるなら今は借りるってことにして、それで使わず荷物になるなら返しにくりゃいい。役に立つなら後日代金を払えばいいだろ?」

「しかし」

「そもそもドラゴンキラーのオークションに姿を見せるかもってことはヒュンケルの探し人はそれを欲しがってたんだろ? 手元にありゃ会える可能性だって増えるだろ。それに」

 

 このままでは埒も明かない。ずっとここに居るわけにもいかないんだろと諭され、最終的に折れたオレはドラゴンキラーを受け取ることになったのだった。

 




次回、エピローグ「カールへ(ヒュンケル視点)」に続くメラ。

と言う訳で、こうしてヒュンケルはダイのところに戻らずカールに向かっちゃったと言うのがあの時居なかった真相となります。

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