ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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エピローグ「カールへ(ヒュンケル視点)」

「ここでお別れだな」

 

 テランに引き返すというマイボにオレは頷きを返した。ドラゴンキラーを作る刀工の家がオレ達の横にあり、西の空に移動した太陽は夕暮れまではまだ間があるものの少しずつ遠くの山々の向こうへ近づきつつあった。

 

「おまえにも世話になったな」

「そうか? 結局この村にもおまえの探し人は来てなかったんだろ? サガサのことだったらおまえが居ようが居なかろうが村の連中に手を貸してたはずだし」

 

 大したことはしてないと言うが、今上げたことを抜きにしてもベンガーナでは部屋をとってもらっているし、ダイ達への伝言も頼んでいる。

 

「この借りはどこかで必ず返す」

「俺は別にかまわないんだがなあ」

 

 何でもないことの様に言うあたりもお人よしなこいつらしいというべきか。

 

「道中気をつけてな」

「おう。もっとも、俺も元々冒険者だしな。そんじょそこらのモンスターにゃ遅れはとらねえぜ!」

 

 頭に被った武器を誇示するように示し、にやりと笑ったマイボはじゃあなとどたまかなづちを示した手を軽く振って踵を返し。

 

「ああ」

 

 俺も倣う様に手を振ってマイボに背を向け、歩き出す。左腕には刀工から借りたドラゴンキラーをはめ、魔剣は鞘に納め腰に吊るしているため利き腕は無手だ。

 

「ふむ、こいつもある程度使いこなせるようにしておくべきか……」

 

 破壊され溶岩に沈んで尚、自己を復元してオレの元に来た鎧の魔剣のことを考えると他の武器を使うのは気が進まないが、貸与してくれた刀工のことを考えると、全く使わないというのも悪い気がする。

 

「マイボに託してダイに使って貰うべきだったか……だが」

 

 一度も使わずまた貸しするのもどうなんだと言う気もする。

 

「そう、だな……ひとまずはこれを補助として両方使う立ち回りを考え、練習してみるか」

 

 この先全く何にも襲われずにカールへたどり着けるということはおそらくないだろう。野生の魔物に襲われることもある筈だ。無論、襲われなくても襲いかかってくる想像の敵を相手に修行をすればいいだけの話で、いずれにしても新たな武器を慣らすことは可能だ。

 

「それよりも、問題はカールだな。超竜軍団が返り討ちにされたとは聞いたが」

 

 伝聞であるし、詳細は聞いていない。倒されたのが小手調べに差し向けられた軍団の一部であって、今カールが本格的に超竜軍団の侵攻を受けているということとてありうる。

 

「カール、アバン……師の故郷、か」

 

 もし、目の前に魔王軍に襲われている国があったなら、守るために参戦するだろう。それは師の故郷だろうと全く見知らぬ国だろうと、おそらくはかわるまい。

 

「少し急ぐか。状況が解からない以上、最悪の事態を想定して動くべきだ」

 

 場合によっては刀工の元にドラゴンの素材を運んできた者と出会えるかもしれない。村に来た時と違って辛うじて馬車が通れそうな程度に幅のある道を進みつつオレは足を早め。

 

「しかし――」

 

 こちらも詳細を話せないとはいえ、結局マイボの探し人のことも詳しく聞けなかったなとオレは胸中で独り言ちる。もっとも、世界は狭いようで広い。マイボの探し人についてオレが知っているなどということはないだろう。人間側ではなくつい最近まで魔王軍の側に身を置いていたのだから。

 

「魔王軍、か……そう、だな」

 

 言葉にしてみるが、今のオレはあちらからすれば裏切り者。刺客を差し向けられてもおかしくなく、バランはカールを攻めていて、ハドラーはオレが倒したが、あちらにはまだザボエラとミストバーンが残っている。

 

「魔軍司令が死に軍団長も半分にまで数が減っているとはいえ、オレも単身。こちらを狙ってきても不思議はないか」

 

 バルジ島の戦いでは両者の他にハドラー、フレイザードが居てダイ達勇者一行を一人も欠けさせることが出来なかったのだ。戦力が減った状態でダイ達の方へ仕掛けるとは考えにくく。襲撃をかけるなら相手はオレかクロコダインに絞られるはずだ。

 

「それに」

 

 ミストバーンはオレの暗黒闘気の師、離反した弟子を討つという名目で現れたとしても驚きはしないが。

 

「マイボと別れたのは正解だったかもしれんな」

 

 一緒に居る時にミストバーンとの戦いになった場合、マイボの実力では足手まといにしかならん。そして、ミストバーンは話してわかるような相手でもない。説得しようとしてあっさり殺されることもありえただろう。

 

「問題は、仕掛けるならいつ仕掛けてくるかだが」

 

 呟きつつオレは太陽の位置を確かめる。さすがに今日の内にカールへたどり着くのが無理なのはわかっていた。

 

「あの日の高さでは、どう考えても今夜は野宿をせざるを得んな」

 

 暗くなる前に、野営するなら襲撃も視野に入れて場所を探しておくべきだろう。山道を進みながらオレは前方、やや遠くの方に視線をやったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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