ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
プロローグ「早すぎる帰還」
『ああっ、まどろっこしい』
死の大地にたどり着いた俺は裏口を経由してバーンパレスに入ると、パレスの中を奥へ奥へと進んでいた。ちなみにモシャスは進んでいるうちに解け、今はメラゴーストの姿である。とはいえ衣の魔杖を装備しているのでパレス内の魔族やモンスターが俺をただのメラゴーストと見間違うことはないのだが。
『やっぱりリリルーラを会得するべきなんだろうな』
ルーラでは死の大地までしか辿りつけないため、こういう時やたら時間を食ってしまうのだ。
「これはトゥース様」
『ハドラー殿は居る?』
「はい、引き継ぎ業務を続けておいでかと」
パレスを歩きつつたまたま出会った魔族の文官に尋ねれば、予想とは違った答えが返ってきて、俺は顔には出さず密かに安堵する。
『じゃあ、変わったこととかなかった?』
「変わったことですか? そう言えばザボエラ様がどこかにお出かけになったと――」
文官の言葉は途中だったが、おまえが動いたんかいと叫ぶのを堪えるには少し努力が必要だった。ザボエラの独断による行動。原作でもザボエラが勝手に動くことはあって、その時は罰として牢に放り込まれたりしていた。ただ、それはかなり後の話であり。
『こっちで指示を出した覚えはないんだけど……ちょっと気になるな。どこに向かったかとかはわかる?』
「いえ。ですが、私に聞くより妖魔士団の方に聞かれた方が良いかと」
『あー、それもそうか。ありがとう』
訊ねれば返ってきた答えは望むものでこそなかったものの指摘はもっともだったので俺はその足で文官達の仕事場に向かう。
『おっと、いけない。モシャス」
ただ、書類相手にデスクワークをしてる面々の元にそのまま向かう訳にもいかず、呪文による変身は余儀なくされたが、これについては仕方ないだろう。
「とはいえ魔法力が心もとないな。誰か連れてった方が良いか」
これから向かう場所を鑑みるなら、書類仕事を手伝ってる分体の一人に分裂してもらってついて来てもらうのが一番だが。
「トゥース様」
「何だか慌てて戻ってきたって聞いたぜ」
「何があったにょん?」
作為すら疑うほどのタイミングの良さで姿を現したのは、鏡面衆の三人だった。
「ザボエラ殿が無断でどこかに出かけたって聞いて。あと、勇者一行の中に本物ンケルが居なかったから」
ザボエラが襲撃をかけたのではと言う推測を俺は三人に話し。
「魔軍司令としてもこの独断行動は認められないし、万が一があったら拙い」
その万が一の犠牲になるのがヒュンケルかザボエラかには言及せず俺はダイの姿でしかつめらしい顔をして鏡面衆の面々を見回す。
「確かにトゥース様の言う通りだ」
「カーッカッカッカ、窮地に陥ってるところを助けりゃ恩が売れそうだな。ハードな状況かもしれねえが、やってみる価値ありやすぜ!」
「にゅん!」
それはそれとして、この三人あのふざけたキャラでキャラクターは固定なんだろうか。シロコダイン以外は分体の中ではキャラが立ってきているような気もしなくはないが。
「と、とにかく、話が決まったなら妖魔士団の人にザボエラがどこに向かったか聞いてから出発しよう。おれ、魔法力が心もとないから出来ればルーラは――」
誰かにやってほしいと言おうとして、気づく。武人、魔剣士、半分こ魔法生命体。
「ルーラ出来るやつがいねええええっ?!」
そも、呪文の使い手もプレイハードだけなのだ、現状では。
「やむを得んな。ならばオレがモシャスし直そう」
「シロコダイン……にゅん」
「まぁ、そうしてくれると助かる……かな」
ありがたい申し出の筈なのになんとなく微妙な気持ちになりつつ俺はシロコダインに瞬間移動呪文係を任せることにし。
「ザボエラ様ですか? 私はどこに行ったかお聞きしておりませんが」
やがてたどり着いた目的地でザボエラの部下を呼び出して貰い、尋ねたところ帰ってきたのは申し訳なさそうな声色でのそんな答えだった。
「あ、ですが悪魔の目玉を調べればわかるかもしれません」
「え」
「どこかに行かれたのが勇者一行の行動を見てとかでしたら、どの悪魔の目玉とリンクを繋げていたかがわかれば、どの辺りを注目されていたかは」
「そっか、ありがとう」
あくまで可能性ですがと術士系のモンスターは言うが、まったく手掛かりがないことに比べたらありがたい。俺達は急ぎ受信用の悪魔の目玉が居るという部屋に向かったのだった。
と言う訳でハドラーは無実だった模様。
次回、一話「鏡面衆、始動」に続くメラ。
ちなみに作者のポカで分体がテランにヒュンケルを送り届ける展開がなかったとしてもザボエラは動いていました。