ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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一話「鏡面衆、始動」

「ここか」

 

 たどり着いた部屋はそれほど広くはなく、見上げると隅の方の天井で一つ目を持つでっかい球体にうねうねした触手を生やしたようなフォルムの生き物が何体か目を閉じてじっとしていた。

 

「お昼寝中みたいにゅん」

「使い魔と言っても生物だし、休息はするってことかあ」

 

 お昼寝中のところ悪いが、起きるまで待っていてやることもできない。俺はとりあえず悪魔の目玉を起こすことにし。

 

「おお、そうだトゥース様、魔法力が心もとないと言っておられましたな? ならば、こいつらを起こすのはオレがやるので、マホトラの呪文でニュンケルから魔法力を補給しては?」

「にゅん?!」

 

 近づこうとしたところでシロコダインがした提案にニュンケルがえっといった表情で振り返り。

 

「カーッカッカッカ、そう言やニュンケルはモシャスしなおしでもしなきゃ魔法力は宝の持ち腐れだったな。そういうハードな状況、代わってやりてえとこだがオレは呪文も使うかもしんねえしな」

「あー、補充させてくれるなら有り難くはあるけど」

「にゅううん……どうぞ」

 

 ちょっと残念そうなプレイハードは見なかったことにしてニュンケルを見ると微妙そうな表情で唸っていたが、一理あると思ったのかこっちにおでこを寄せてきて。

 

「えーと」

「ああ、トゥース様。魔法力の補充が済んだならモシャスしなおすことを愚行いたしますぞ。戦闘もあるかもしれないなら今のお姿よりバランの姿の方がよろしいでしょう」

「あ、うん」

 

 魔法力を奪うのにおでこを突き出す必要あるのと言う謎の疑問を感じたところでシロコダインが進言をして来て、俺は頷いた。無意味にこんなことは言わないだろうから、何か考えがあるんだろう。色々なことがありすぎてちょっといっぱいいっぱいな俺が何か考えるよりもここは提案にのっておいた方がいい筈だ。

 

「とりあえず、マホトラっと」

「にゅううううんっ」

「その声何?!」

 

 魔法力を吸い出そうとするとあげたニュンケルの声に思わずツッコむが、これは仕方ないと思う。

 

「ま、マホトラ初体験だから吸い出される感覚が、こう、にゅん」

「いや、おれも吸い出されたことはないけどさ」

 

 なんか声が出てしまうモノなのだろうか。

 

「へえ、そういうモンなのか」

 

 無駄に興味津々な半分こ魔法生命体もどきが居たが、それはあえてスルーしておこうと思う。

 

「聞き出し終わりましたぞ。ザボエラ殿が見ておられたのは、カール周辺の模様」

「え、カール?!」

 

 何故そこにと疑問がわくが、理由について考えている時間的猶予はきっとない。

 

「シロコダイン、悪魔の目玉からそこの光景見せられたりしてない? その場所にルーラは?」

「試みてみますが、無理な時はレムオルをお願いしたい」

「あー、透明化してカールに飛んでそこから徒歩ってことか」

 

 できれば問題の場所にすぐ飛べるのがベストだが、無理な場合に備えて次善の策を用意しておくのも悪いことじゃない。

 

「わかった。魔法力は足りなきゃまたニュンケルから吸わせてもらうから――」

「や、優しくしてにゅん」

「モシャスし直してギガブレイクしてやろうか?」

 

 なんだかくねくねし始めたニュンケルにちょっぴり殺意がわいたけど、きっと仕方ない。

 

「ギガブレイクを受けるだって?! そいつはハードな」

「プレイハードは黙って!」

 

 なんと言うか、なんといえばいいのか。どうしてこの三人、いや二人か。この二人は飛びぬけてアレな感じなんだろうか。

 

「出発前だって言うのに精神的に疲れてきたんだけど」

「そのお疲れのところ悪いですが、移動して貰えますかな? ここではルーラの呪文が使えませぬ」

「あー、うん、言ってることはもっともだけどさ、少しぐらい上司をねぎらってくれてもいいんだよ、シロコダイン?」

 

 溜息さえ出そうになる状況だったが、時間がないのも事実。結局促されて俺は来た道を引き返す様にしてパレスを出、死の大地に戻り。

 

『『モシャス』』

 

 ともにモシャスをかけ直せば。

 

「では、さっさと参りましょーか」

「え゛」

 

 俺は変身呪文をかけ直したシロコダインの姿を二度見した。それは、魔王軍の中ではハドラーに討たれたことになっている師匠の姿だったのだ。

 

「モシャスが使える変身先って思い返すと選択肢が少ないんですよねぇ。ポップ君だとまかり間違ってここを探り当てたとか勘違いされてしまうかもしれませんし、それなら故人の姿の方が間違われないかな、と」

「それ、一理あると思ってるのかしらぁん?」

 

 魔王軍入りしたとはいえ、部下が平然と師匠の姿をしてるのに無反応はどうかと思うのだ、他者から見た場合。

 

「時間がないし、処分は後にしましょうか」

「処分?!」

 

 師匠の姿でシロコダインがオーバーアクションをとるが、そこは譲れない。

 

「それよりシロコダイン、ルーラを」

 

 それでもシロコダインが本物と誤認されぬよう大き目の声で俺は命じるのだった。

 

 




次回、番外48「新たな脅威との遭遇(ヒュンケル視点)」に続くメラ。
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