ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二話「きわどいところ」

「あらぁん、あぶないわねぇ」

 

 本当にギリギリだったと思う。傾ぐヒュンケルの放った斬撃は俺が止めなければ軽くて手傷を下手すればザボエラの命を絶つ事になっていたと思う。

 

「と、トゥース様?」

「プレイハード、鎮火をお願い」

「カーッカッカッカ、承知しましたぜ!」

 

 俺の口調がバーンパレスで会った時と違うからか、この場に居ることが不思議なのかザボエラが声をかけてくるも、俺が無視してプレイハードに指示を出せば、応じたプレイハードが氷系のブレスを吐いて炎上する地面や周囲に生えた木々の炎を消してゆく。

 

「とりあえずこれで森林火災も大丈夫ねぇん、それと」

 

 ちらりと俺が見たのはザボエラ達から離れた場所に倒れた一体のきとうし。おおかた囮か何かにされてヒュンケルとともに焼かれるところだったとかそんなところだろうが、まだ死んでないと思いたい。

 

「ニュンケル、負傷者を纏め……って、よくよく考えたらその恰好、紛らわしいわね?!」

 

 とりあえずザボエラの周りで倒れているモンスター達とひとまとめにしようと指示を出そうとして気が付く。

 

「いやぁ、モシャスしてるんですから当然と言えば当然ですが瓜二つですねえ」

「キヒッ、アバン?!」

「って、こっちも?! ザボエラ殿、それシロコダインよ。ルーラ出来るメンツが居なかったから変身し直してもらったの」

 

 のんきに仲間を観察する師匠姿のシロコダインにザボエラが仰け反ったのを見て、俺は今更ながらに説明しておく。

 

「というか、よくもこれだけ紛らわしい編成できたわよねぇん。それだけこっちも慌ててたってことだけど」

 

 思わず遠くを見そうになるが、今はなすべきことがある。

 

「ま、その辺りはこっちの事情だから置いておくとして……ザボエラ殿」

「は、はひっ!」

「アタシ、アナタにこんな指示出していたかしらぁん?」

 

 そう、ザボエラの行動は明らかに独断専行だ。

 

「そっ、それは」

「ヒュンケルちゃんを捕まえたのは大手柄、だけど魔王軍は軍勢よぉん? 軍勢に所属する者が命令に従わず勝手なことをしちゃいけないってことはわかるわよねぇん? 例えば――」

 

 ザボエラが囮につかったであろうきとうし、彼が命惜しさに囮を放棄して逃げ出せば、ザボエラもヒュンケルを無力化させられたかどうか。

 

「敢えて言っておくけれど、アタシは手柄を横取りしようなんてけち臭いこと考えてないわ。功績はちゃんとバーンさまに報告してあげる、だけど、手柄を立てたのと相談もなく勝手に動いたのは話が別。百歩譲って結果を出せたからいいじゃないって言うにしても、アタシが防いでなきゃアナタヒュンケルちゃんの剣で下手すれば死んでたわよね?」

「う、うぐっ」

「アナタの落ち度は勝手に行動した上、最後の反撃を許したこと。ヒュンケルちゃんは眠ってるだけだから、最悪独断行動したアナタと部下だけが返り討ちにあってたかもしれないのよ?」

 

 今回は俺が間に合ったから事なきを得たが。

 

「ただ、ヒュンケルちゃんを生け捕りにしたというのは大きいわ。そこはきちんと評価しておくわね」

「ひょ、生け捕りを……大きく評価ですと?」

「当然じゃない。確実な蘇生技術が構築されてるなら話は別だけど、一部例外はあるものの、殺しちゃったらそこで終わりでしょ? 生かしているからこその選択肢って結構あるのよ」

 

 アタシはネクロマンサー的な魔物でないので死体の再利用がどれくらいの範囲で可能なのかわからないけど、と前置きした上で俺は色々例を挙げてゆく。

 

「例えば情報、死者は言葉を話さないから知ってることを教えてもらうなら生け捕りしなくちゃ意味がないし、生かしておけば人質って選択肢もあるわよね? アタシはまた聞きになるけど、バルジ島のレオナ姫みたいに相手の行動を縛るのにも使えるでしょ?」

「た、確かに」

「もっとも、智謀を買われて軍団長をやってるザボエラ殿ならその辺りも考えた上で眠らせようとしたのだと思うけれど、だから――」

 

 罰は与えるが、バランの後のダイ達との戦いはザボエラとその部下がメインになる形で行おうと思うとここで明かしておく。

 

「ひょ、わ、ワシが中心でですと?!」

「ええ。目を離しておいたのが今回の有様だから目の届くところに置いておくという意味合いもあるんだけど」

 

 喜色を浮かべるザボエラへ舞い上がりすぎないように今回の件があるからだぞと仄めかして睨みつければ、ザボエラの口からひっという短い悲鳴が漏れ。

 

「それはそれとしてザボエラ殿、ヒュンケルちゃんはあとどれくらい眠ってるものなのかしら? すぐに捕縛した方がいいのぉん?」

 

 俺はそう質問したのだった。

 




次回、三話「信賞必罰」に続くメラ。
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