ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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八話「信賞必罰6」

 

「まあ、思い出したからってなあ」

 

 これからの予定を考えると放り出して取りに行くわけにはゆかず。後ろめたさは感じたものの、おれはそのままハドラーの元に向かい。

 

「禁呪法の指導をしろだと?!」

「あ、うん。バーン様から貴重な品をいただいたんだけど、今のおれだと活用方法が、ね」

 

 少し探して、文官たちに混じって引継ぎ業務を続けてるところを見つけて切り出せば、何故そんなことをせねばならんのだと不機嫌そうな顔に書いてあったが、こっちだって大魔王の言を無視できるはずもない。

 

「そう申し上げたら、ハドラー殿にモシャスすれば禁呪法自体は使えるだろうから、指導を受ければいいだけではないかと――」

 

 困ったところにアドバイスをもらったので、二重の意味で従わざるを得なかったと言外に伝え。

 

「ぐ、ぬうう……バーンさまのお言葉ならば、やむを得ん」

 

 ハドラーは口いっぱいの苦虫を噛み潰したような顔で、不承不承ではあるものの指導することを承諾し。

 

「……それで、バーン様から頂いたという品は?」

「これなんだけど……」

「っ」

 

 いつもより低い凄味を込めた声で問われた俺が件の駒を出せば、ハドラーが目を剥き。

 

「そ……その輝き……いや、まさか……」

「あー、うん、オリハルコン製っぽい、かな」

 

 原作と違って硬度まで見せていない為か、自信がなさそうではあったが、駒の材質について同じ推測にはたどり着いていたのだろう。そこを俺はあっさり肯定し。

 

「ぐ、こ、こんな……おい」

「え」

 

 わなわなと震えた後、急に顔をあげて駒からこちらの顔を見て呼びかけるハドラーに、オレが出来たのは瞬きだけ。

 

「他に何かないのか? いくらオレが指導するとはいってもこんな貴重な品へいきなり禁呪法を用いらせるわけにはいかん」

「あー、確かに」

 

 何故声をかけたのかと問いが出る前にハドラーが続けた言葉は、実にもっともであり。いくらベテランがついているとはいえ素人が最初に作るモノの素材としてオリハルコンの駒が希少すぎるというのは納得がいった。失敗したら取り返しがつかないわけだし。

 

「何かあったかな……あ」

 

 しばらく考えて、ふと思いついたのは、このバーンパレスの武器庫だ。

 

「どうした?」

「ええと、ミストバーン殿に事情を説明して、練習用の素材の持ち出し許可とか貰えないかな、って」

 

 装備を貰った時に案内されたことからするに、そういうのはおそらくミストバーンの管轄だろうと思っての言だが。

 

「それ以外の心当たりって言うと、ね」

 

 捕虜として担いだヒュンケルが何故か持っていたドラゴンキラーしか思いつかず。

 

「ん?」

「っ、今度はなんだ?!」

「あ、ザボエラ殿……っ、とちょっとこの後話す予定があったのを思い出しただけ」

 

 うっかりザボエラが捕まえたヒュンケルの持ってた武器があると言いかけたのを俺は強引に捻じ曲げて誤魔化す。危なかった、よくよく考えたらハドラーはそのヒュンケルに一度殺されているのだ、しかも記憶にある限り最後の戦いで。ここでザボエラがヒュンケルを捕まえたとかうっかり零してしまったら、今度はハドラーが暴走したって俺は驚かない。

 

「とにかく、ミストバーン殿のところまで行ってくるよ。後は、知り合いのつてで何か手に入らないかもためしてみる」

 

 さきほどふいに思いついたドラゴンキラーも今俺が持っているわけではなく、牢の側にある詰め所に囚人の持ち物として鎧の魔剣と一緒に預けてある形だ。どちらにしても一度離れねばならず。

 

「ごめん、時間はあまりかけないから」

「ぐぬぬ」

 

 おれは今にも噛みついてきそうな形相のハドラーに詫びると来た道を引き返すのだった。

 

「ダメだった時も考えて、ドラゴンキラーは持ってこないとな」

 

 どういう経緯で手に入れた品かは知らないが、俺はあのドラゴンキラーを魔法生物にするつもりでいた。

 

「素人がつくったせいで制御面がうまくゆかず、本来の持ち主であるヒュンケルを主人として認識してしまった」

 

 なんて筋書きで場合によっては魔王軍を裏切らせ、ヒュンケルの脱走の手助けをさせようと考えたのだ。この場合、製造者責任で俺が咎めを受けることになるかもしれないが、それでも失点は一つ目。ハドラーへの寛容さを見る限り、流石にそれだけで大魔王が俺を処分することはないだろうし、あくまでこれは使うかもしれない手段の一つだ。別の方法でヒュンケルを逃がせるなら、採用しないことも考えられる。いずれにしても最近予期せぬ事態が多いので切れる手札は多い方がよく。

 

◇◆◇

 

「お待たせ」

 

 俺がハドラーの元に戻ってきたのは、それから少し後のこと。普段から大魔王様のお言葉こそすべてに優先する的なことを言ってるミストバーンだけあって、俺がアドバイスに従う過程で練習材料が必要になったと話せば、あっさり持ち出しの許可をくれ、それどころか素材運びまで請け負ってくれて、今俺の後ろには自力でここまで歩いてきた素材が隊列を作っている。すべてミストバーンが暗黒闘気で操ってる中身のない鎧や武具だが。

 

「み、ミストバーン、おまえまで……ぐっ」

 

 何か言おうとしたハドラーもすぐにミストバーンの存在に気づいて仰け反り、それから恨みがまし気な目でこちらを見る。

 

「ええと」

 

 なんと言うか、これって拙くないだろうか。鈍い俺でもそれは察せた。

 




次回、九話「嫌な予感」に続くメラ。
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