ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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九話「嫌な予感」

「ええと……」

 

 この状況で禁呪法についてレクチャーしてもらっていいんだろうか、そんな迷いも生じるがミストバーンにまで協力してもらってる今、やっぱりやりませんとは言えず。

 

「あ」

 

 ただ、そのミストバーンで思い至ったことがあった。

 

「資材の提供と運搬ありがとう。いつまでも手を割いてもらってるわけにもいかないし」

 

 俺はミストバーンへ戻るように言う。そもそもミストバーンは禁呪法の練習用の素材を運んでくれたわけであり、その役目はハドラーの元に戻ってきた現時点で終了している。ならばハドラーをこれ以上刺激する材料になる前にお帰り願おうと思ったわけだ。もっとも、帰ってもらうと今度はハドラーと二人っきりと言う状況になる訳だが。

 

「……禁呪法について教えてもらっても?」

 

 大魔王にアドバイスをもらっただけでなくミストバーンにまで協力してもらってるのだ。物品に命を吹き込む禁呪法については最低でも自分のモノにせざるを得ない。

 

「まだ納得できる程に禁呪法に熟練していないので」

 

 オリハルコンの駒を元に配下を創造することについては、そう答えれば些少の時間は稼げると思う。むろん、これには理由をつけて後回しにすることでハドラーと一緒の時間を短縮しようという狙いもあるのだが。

 

「……よかろう」

 

 流石に大魔王も関わってるとなると、いくら気にいらなくても拒否は出来なかったのだろう。小さな声だが、ハドラーは確かに承諾し。ただ、ここから俺はそんな相手を教師としなければいけないのだ。一時とて気の抜けない授業になるのは間違いなく。

 

「無事会得できるかな、おれ」

 

 とはいえ、そんな弱音を吐くことも許されない。ある種の地獄はここから始まったんだと思う。

 

◇◆◇

 

「ヨ゛ッ」

 

 それを産声と言っていいかどうか。ミストバーンに運んでもらった量産品の鎧の一つが緩慢な動きで起き上がり、鳴き声を上げた。

 

「あれだけ時間をかけ、失敗してこれか」

 

 ハドラーの評価は辛辣で、禁呪法の為にモシャスで俺がハドラー自身とうり二つの姿なのも気にいらないのかもしれない。創造物第一号と俺を見る表情は友好的なモノとはほぼ対極にあり。

 

「まあ、言葉もしゃべれないし、見た目はまんま『さまようよろい』なんだけど、一応自立行動は出来るみたいだし」

 

 大きな一歩だと思いつつ、俺はミストバーンが残していった残りの素材の方を見る。

 

「練習に使う素材はまだあるから、練習を重ねれば及第点に至るものも作れるはず」

 

 技術の上達を第一に考えるなら、教師が居て成功の感触を忘れないうちに次の政策に移るべきだろう。ただ、このままハドラーの側にいるのは俺にとってもハドラーにとっても精神衛生上よろしくなく加えて俺は嫌な予感を覚えていた。

 原作なら敗北を重ねダイ達に勝つためザボエラに己の身を超魔生物なるモノに改造させ大幅にパワーアップし、俺が大魔王から下賜された駒を親衛隊にしダイ達と戦うことになるのだが、今のハドラーは引き継ぎ業務でダイと戦うこともなく、敗北から自身を改造させ強くもなっていない。その上でオリハルコンの駒は俺の手の中にある。これは、ひょっとして世界が俺をハドラーの代わりにしようとしているのではないだろうか?

 

「うーん」

 

 ホルキンスに託してしまったが、一時は原作でハドラーに渡る筈の覇者の剣も所持していたわけだし。あそこでホルキンスに渡していなかったら、オリハルコンの剣と部下を持つ魔軍司令になっていたのだ。

 

「まあ、一人目に近い性能でも雑用とかしてくれるかもしれないし、無駄にはならない筈」

 

 頭の大部分では不意に抱いた懸念について考える一方、鎧に近寄って禁呪法を使う支度を俺は始める。流石に成功が一回では不安であったし、ある程度数が揃ってくれた方が良い理由が他にあったのだ。失敗して使いものにならなくなった鎧の片付けや余った場合だが、素材の返却などに人手が居るのは当たり前であり。

 

「良いか、次はあんな無様なものを作るなよ」

 

 ここまでたまったストレスとかのせいなのか、無駄に圧をかけてくる教師役。

 

「あれ?」

 

 一刻も早く立ち去りたいと思う一方で、これってひょっとしてハドラーのガス抜きになってるのではと思う自分もいて。

 

「……ふぅ、成功、かな」

「オハヨウゴザイマス、ゴシュジンサマ」

 

 二度目の成功例となった鎧は、俺の方を向くとそう言った。

 




次回、十話「トゥースは逃げ出した!」に続くメラ。
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