ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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遅刻しましたすみません。


十九話「こんにちは、原作主人公」

「それと、彼も弟子のメラゴーストです。ポップ同様に魔法の修行中の身ですね」

 

 どれだけ筒の中にいただろうか。ようやく筒から出されたと思ったら、俺はきめんどうしという種のモンスターと一人の少年へ師匠から紹介されていた。

 

「「も、モンスターが弟子?」」

 

 揃って目を丸くするきめんどうしと少年。原作主人公とその育ての親であることを俺は知っている、知っているがどうしてここまで一気に話が飛んだのか。

 

「よろしく」

 

 状況が呑み込めなかったが、流石に無言は拙いので、俺は初対面の二人に頭を下げ。

 

「それで……その家庭教師がなぜこの島へ?」

 

 弟子としてメラゴーストを紹介されても少しの時間で立ち直って別の質問を投げてきたのは、流石原作主人公の育ての親、だろうか。

 

「もうすでにお気付きでしょうが……」

 

 そこからの流れは概ね原作通りだったと思う。師匠が魔王の復活とこれに伴って溢れだした魔王配下のモンスターが各国を襲撃しだしたこと、ロモスやパプニカと言った国も危機にさらされていることを明かし。

 

「魔王の意思によってモンスターが自分の意思と関係なく暴れさせられていることはわざわざお話するまでもないと思いますが、その意思の影響を弟子のメラゴースト君も受けるのではと言う危惧がありましたので、ちょうど移動の為魔法の筒に入って居てもらった彼にはそのまま今の今まで筒の中にいてもらったという訳です」

 

 その説明は俺側へ対する説明も含んでいるのだろう。

 

(ああ、そう言えば魔王の意思が俺に効くかどうか話す機会もまったくなかったもんな)

 

 筒の中に入っているうちに師匠は凶暴化した魔物と遭遇したり魔王軍のモンスターの襲撃に出くわしたかして、念の為に俺を筒に入れっぱなしにして今に至るという訳だ。原作主人公の島につくなり、島一つを破邪呪文で覆って魔王の意思をシャットアウトし。

 

(安全を確保して俺を出した、と)

 

 確かにこれなら俺に魔王の意思が影響をもたらしていようと何の関係もない。

 

(それはそれとして、実際に影響するかどうかは後できちんと試してみないとな)

 

 これで影響を受けてしまうならこの島に引き籠る理由にだってなる。

 

「……やるっ!!」

 

 俺がそんなことを考えているうちに師匠の話を聞いた原作主人公の少年ことダイが師匠の修行を受けてみますかと言う問いに答えていた。数少ない人間の知り合いが魔王の脅威にさらされ、家族同然に育ったモンスターも魔王の意思によって平和に暮らせないとなれば、座視しては居られないのだろう。

 

(はぁ)

 

 わが身可愛さにこの島に居候させてもらおうと思ってる俺とはえらい違いだ。だが、俺は選ばれた勇者でも何でもないちょっと変わったメラゴーストなのだ、だから許してほしいと思う。

 

(魔王軍との戦闘なんて俺にこなせる訳がないじゃないか)

 

 心の中で吐き出したのもフラグだったのか。徐に師匠が取り出した契約書にサインかハンコを求められてダイとその育ての親がずっこけつつもサインをこなした後のこと。

 

「ケケケーッ!! 人間だ!! 人間が居たぞ!!」

 

 殺せと喧しく騒ぐ二匹の鳥人間ことガーゴイルという魔物の姿を俺はそういえば原作でもあったなこんな流れと見あげ、視界の中で襲い掛かってきたガーゴイルの片割れが破邪呪文の結界に激突し。

 

「あ」

 

 少し遅れて師匠達と一緒に居るところを見られても大丈夫なのかという疑問がわいたが。

 

(……ここなら大丈夫か)

 

 すぐそばにいるきめんどうしにここがモンスターの暮らす孤島だったことを思い出し、その疑問が杞憂であることには気づく。そう、それは杞憂なのだが。

 

「どうやら魔王の偵察隊のようですね」

 

 ガーゴイルたちの役目を看破した師匠はくるりとこちらを向き。

 

「ポップ、メラゴースト君、あいつらをやっつけちゃってください」

 

 まさかの原作ブレイクに、俺まで勘定に入っとると心の中で頭を抱えた。この場面、原作では兄弟子一人が任され、一匹は倒したものの、呪文を封じるマホトーンの呪文で攻撃手段を奪われた兄弟子が危機に陥り、そこを割り込んだ原作主人公に助けられるという流れなのだ。

 

(割り込んだダイがその秘めた力の一端を師匠達に見せつけるシーンでもあるわけだけど、これ、どうしろと?)

 

 俺がもう一匹を受け持って倒してしまうとダイの見せ場が吹っ飛ぶ。かといって何も出来なかったら、師匠の指導力にダイとその育ての親が疑問を持ってしまいかねない。

 

(俺がへまするだけならいつも通りって思ってくれそうなんだけどね……って、あ)

 

 そこまで考えたところでふと気づく。師匠には言葉は通じないが、ここにはモンスターと長年暮らしてきた原作主人公が居る。

 

「師匠、アレと戦うということは結界の外に出ないといけないのですけど、俺って出ても大丈夫なんでしょうか?」

「え? あ」

 

 それは、今思いついたこの戦いに俺が加わらないで済む理由。ダイにはどうやら俺の言っていることが分かったしらしく、すぐにそれを師匠に伝え。

 

「私としたことが失念してましたね。ではポップ、悪いですが――」

「ええーおれ一人ですかぁ~」

 

 こうして何とか俺は原作に近い流れに修正することに成功した。自分を指した兄弟子が恨みがましげにちらっとこっちを見た気もしたが、その不満は元凶の大魔王にでもお願いしたい。

 

(そも、俺のメラミでガーゴイルって倒せたかどうかが不透明だしなぁ)

 

 筒の中でも瞑想はしていたし、その辺も加味して師匠は俺も指名してくれたのだと思う。だが、仮にここでいいところを見せると旅の仲間フラグが立ってしまうかもしれないのだ。

 

(身勝手かもしれなけれど、勇者の旅に足手まといなんていらないからなぁ)

 

 自嘲気味に見上げた空へ兄弟子の呪文で消し炭にされるガーゴイルの断末魔が響いた。

 




二十話「南海の孤島」に続くメラ。
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