ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「こう、これは……圧巻ねぇん」
ザボエラが軽く書き出した呪文のリストは何と言うか玉石混合だった。独自と言ったが、原作で使った普通の呪文も嵩増しにか含まれてる他、戦闘向き、戦闘にはどう頑張っても使えないと思われるモノなど種類は様々で、明らかに原作には登場してないと思われる呪文が多数名を連ねている。その中にはメダパニの亜種であろう一つの呪文もあった。対象を指定した相手へ慕情を抱かせる呪文。原作でヒュンケルにマァムがヒュンケルに惚れるようにしてやろうともちかけた時に使うつもりだった呪文がおそらくこれだろう。
「キヒヒ、何かお眼鏡にかなう呪文はございましたか?」
「んー、見たところからめ手系の呪文の比率が多い感じだけど……バーンさまって強さを評価されるから、幻惑系とかは有用でもきっちり評価されない可能性があるのがネックなのよ。純粋にアタシが欲しいって呪文はいくつかあるけど……ザボエラ殿が評価されることを目的にするならねぇ」
モシャスはそもそも俺がすでに使えるし、ザラキの呪文はこの世界では遅行性でそれこそ足止め役と抱き合わせるような運用方法でないと強者と対峙した時に使うのは厳しいし、効かなかったらなんのダメージにもならないという点もネックだ。
「うーん、出来れば次か次の次の作戦で使えそうな呪文が良いのだけれど、そうねえ……」
唸りつつリストの呪文を一つ一つ見ながら俺が探すのは、唯一狙っている呪文。だが、順にリストを追う限りでは件の呪文は表記されておらず。
「ああ、そうだひょっとして開発中でここに載せられなかった呪文とかもあったりするのかしら?」
已む得ず俺はぼかしつつもこんな呪文があったらいいなと目当ての呪文の効果を口に出し。
「と、トゥース様、ど、どこで、それを」
「え? ごく普通にあったらいいなと思った呪文を口に出してみただけよん? ひょっとしてあるのかしら?」
あまりにも具体的でピンポイント過ぎたからだろう、逆に尋ねてきたザボエラに聞き返しつつ期待を込めた視線を送る。
「しもうたぁ?!」
ザボエラの顔が全力でそう言っているように見えたが、いくら智謀に優れたザボエラでもそこから俺をごまかすのは不可能だった。と言うか、原作でも前線に身を置かなかったからか、不測の事態には弱かったのがこのザボエラだ。
「アタシがそんな呪文があればいいなと思ったのにも理由があるわ」
ダメ押しとばかりに俺は俺自身の考えたマホプラウスの運用方法を一つ明かしてみることにし。
「理由ですと?」
「ほら、アタシってメラゴーストだからメラ系の呪文ではダメージを受けないじゃない?」
原作で複数の配下からメラゾーマを放たれていたザボエラだが味方からとはいえ放たれた呪文を受けて全くノーダメージとは思い難い。だが、俺であればメラ系呪文限定だが、このダメージを無視して際限なく呪文を受け続けることが可能なのだ。
「人員が確保できればだけれど、威力と言う意味での天井知らずのメラゾーマが放てる上に、仮に反射呪文みたいなモノで跳ね返されたとしても――」
俺にはそもそもメラ系呪文が効かないため、ノーダメージだ。
「それにね、アタシの配下の鏡面衆って元は同じメラゴーストの分体でしょ? つまり、使える呪文はみんな同じなのよぉん。しかも分裂で理論上無制限に数を増やせる。呪文を集めて放つ人員としてこれ以上うってつけの人材は居ないんじゃない?」
「た、確かに……」
「受け役と言う意味なら、そこのオリハルコンで出来た新しい部下も呪文が効かない筈だから使えるわよねぇん」
史上最強威力の呪文を放つことができるかもしれない、それはまさにロマンであり。
「強さに評価の重きを置くとしてもこれなら評価してもらえると思うのよぉん」
ここまで形にして尚評価しないほど大魔王の目は節穴ではないと思う。
「実戦に限らず、パレス内の鏡面衆と文官のヘルプに出てるメラゴースト、それにザボエラ殿の部下でメラゾーマ使える子をかき集めてバーンさまの前でデモンストレーションしてみるってのもありよね」
もし自身のメラゾーマより披露したモノが強威力であったなら、流石に大魔王も認めざるを得ないと俺は思う。それでいて準備に手間がかかるので、脅威とはとられないのではないか、とも。
使い手を無制限に増やせるメラゴとマホプラウスの相性は異常。
次回、十四話「交渉成立、そして」に続くメラ。