ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十七話「魔軍司令、来襲」

「さてと、まずはショッピングかしらぁん?」

 

 俺は呟きつつまず商店の立ち並ぶ方面に足を向けるが、これにも意味はある。名目上は復興したパプニカの国力を図る為とかそんなところだが、禁呪法を会得したことで物品を配下にできるようになったので、出来るだけたくさんのアイテムや武具をこの目で確認しておきたかったのだ。

 

「あのドラゴンキラーみたいなものなら、装備しておいていざという時の隠し玉にできるものねぇん」

 

 全身に装備品とした部下を装着し、いざという時はすべてを自立行動させマホプラウスで同じ呪文を収束させ解き放つ、と言う運用スタイルだ。大魔王を俺が討たねばならないとしたら、これで警戒されぬよう分体を連れ込む必要がある。もっとも、パプニカは復興途中で満足な品物が揃わないという話だったと思うからあまり期待は出来ないが。

 

「こう、掘り出し物とかあったらいいのだけれどぉ、そう言うのは古道具屋とかバザーとかそっち方面よね」

 

 パプニカにはハドラーが魔王時代の本拠地があるのだ、レオナの暗殺を企んだバロンだかテムジンだかがハドラーの作った殺人機械キラーマシンを所持していたぐらいだから、思わぬ掘り出し物がある可能性は決してゼロではないと思う。

 

「まあ、あったら超ラッキーレベルだけど」

 

 そんな訳で、普通の武器屋や道具屋は軽く見て回るにとどめ、それでもこの時点で騒ぎになっては拙いのでひのきのぼうやら薬草やらの安物を購入し。

 

「うーん、まぁ、ここで何か見つかるなら」

 

 原作のダイ達もベンガーナにはいかなかったよなぁと声には出さず続け。

 

「そこの御仁」

「あら?」

 

 次は戦う場所の下見にでも移ろうかと思った時のことだった。呼びかけられて振り返ると、そこには兵士を二人連れた騎士の姿があり。

 

「アタシに何か御用?」

 

 流石に顔も見せないローブ姿では誤魔化しとおせないかと内心思いつつ問うた俺に、うむと頷いた騎士は言う。

 

「わが国では今、人材を広く募っていてな」

「あー」

 

 復興中の国だからこそ、人材の確保の為これはと思った相手に声をかけていると聞いて、俺の顔が歪む。職務質問かと思えば、まさかの国へのスカウトとは想定外だった。

 

「んー、お誘いは嬉しいけど、一応アタシとあるところで要職についてるのよ。それで、今日はちょっとお忍びでショッピングってとこだったの」

「なっ?!」

 

 そのままスカウトされて二重生活をやる程余裕もなかったので俺は一部だけ真実を明かしつつ断れば、兵士の片方が驚きの声を上げ。

 

「なるほど、これは失礼いたしました。その装備といい、ひとかどの人物とお見受けしましたが」

「ああ、解かる? この装備気にいってるのよぉ」

 

 上機嫌で騎士の言葉に応じながら、俺はここからどうしようかと胸中で考える。襲撃して勇者一行をパプニカにおびき寄せるとするなら、ノコノコついて行ってお城でひと暴れというのもアリと言えばアリだ。ただ、それでは復興中のここを破壊することになってしまう可能性が高く。

 

「ん? そこは考えようかもしれないわね」

「どうされました?」

「いえ、こっちのことよぉん。それより、お忍びがバレてしまったならこの国の方にご挨拶の一つもせずに去るのも不義理よねぇ。ご挨拶したいって言ったら、案内はしてもらえるのかしら?」

 

 少し考え直した俺は問うてきた騎士に軽く頭を振って尋ね。

 

「わかりました。ただ、失礼ですが――」

 

 所属国と役職、そして名前を聞かれて俺はああと声を漏らした。さすがにこのまま国のお偉いさんと何もなくご対面とはいかなかったらしい。

 

「トゥース・ゴ・アルウェ。軍の司令と言う役職を賜っているわ」

 

 そして所属はと言おうとしてから、ふと思う。俺の所属は魔王軍だが、バーンが王として君臨する国の名前については聞いたことがなかったと。文官の手伝いをしてる分体なら知っているかもしれないが。

 

「所属に関してはそうねぇ、個人的にはびっくりさせたいから秘密ってしておきたいところだけど……」

 

 流石にそれでは通らないよなあと思う。

 

「失礼ですが、流石にそれは」

「そうよねぇん。お役目としてもそこはきちっとしなきゃダメよねぇ。じゃあ、仕方ないわ」

 

 誤魔化せない以上は、はっきり言うしかないだろう。戦いになったとしても相手はただの騎士と兵士が二人。やり様はどうにでもなる。

 

「所属は魔王軍よ」

「は」

「え」

 

 俺の発言で、兵士と騎士が愉快な顔をして立ち尽くす。

 

「まぁ、そうなるわよねぇん。じゃ、そういうことで」

 

 完全に隙だらけだったので、それに乗じて俺はトベルーラの呪文を用いて空へ舞い上がり、そのままお城のような建物を目指す。一応、口にした以上挨拶はしてこないとまずいだろう。幸いにも今つけているローブは呪文が効かないため、撃ち落とされる心配もたぶん要らない。ここの主力が主に魔法を使う三賢者でなければ話も違ってきただろうが。

 

「けどバラン殿の姿って便利よねぇ。トベルーラ、アタシも覚えたいところだけど」

 

 実はモシャスしないと俺はこの呪文を使えない。モシャスの変身が割と万能なせいで困らないというのもあるのだが、それではいつか困る時が来るだろうこともわかってはいて。

 

「って、独り言言ってるうちにもう到着ねぇん」

 

 気づけば視界の中にあった丘の上の建造物はずいぶん大きくなっていた。

 




次回、十八話「挨拶は大事」に続くメラ。
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