ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十八話「挨拶は大事」

 

「はぁい、パプニカの兵士さん♪ ご機嫌いかがかしら?」

 

 さらに近づいたところで屋上に兵士の影を認めて俺は片手を小さく上げて挨拶してみる。おそらくはレオナ姫の乗った気球が戻ってくるのを待っていたのであろう兵士はこちらを見上げぽかんと口を開けていた。

 

「あら、驚かせちゃった? ごめんなさいね。あなたたちのお姫様なら、テランでこの前見かけたから、急いでも戻ってくるのはもう少しかかるかもしれないわ」

 

 急ぎの用があるならルーラの使える人をテランに送り出した方が良いかもしれないわねぇんとアドバイスを添え、そのまま屋上に降り立つ。

 

「あ、あなたは?」

 

 本来なら怪しい奴とか槍を突きつけてきても不思議はないのだろうが、わざわざ自国の姫のことを伝えたからだろうか、ただ誰何の声を発した兵士に俺はアタシと首を傾げ。

 

「アタシは魔王軍の魔軍司令でトゥースって言うの。覚えておいてくれると嬉しいわねぇん」

「そ、そうですか。まお……うぐん?」

「そう」

 

 何の気負いもなく言ったからだろうか、呑み込むのに時間を要した兵士に付き合いつつ俺は首肯し。

 

「ほら、ご挨拶って大切じゃない? アタシ、まだ新任だから顔も知らない人多いのよぉ。だから、ね」

「っ、敵襲ーっ!」

「まあ」

 

 言葉の途中ではあったが流石に少し前まで不死騎団や氷炎魔団と戦っていた国と言うところだろうか。状況を把握するとすぐさま叫び。

 

「最初にボーゼンとしてたとこはマイナスポイントだけど、敵襲を告げる判断は悪くないわ。もっとも」

 

 そう言ってから俺は空に両手をあげ。

 

「イオナズン♪」

 

 パプニカの空に大爆発の花が咲く。 

 

「な」

「アタシが何かするつもりだったら、もうこの辺り消し飛んでたわよ? そう言う話ね」

 

 とりあえずこれだけ派手にやれば、城内に居ても何かあったとわかるだろう。

 

「あ、あぁっ」

 

 一歩間違ってたらどうなってたかを察したのか、兵士は槍を抱くようにしてガタガタ震え。

 

「まぁ、兵士なら仕方ない、わよね」

 

 騎士だったら力量差も弁えず突きかかってきたかななんて思いつつ俺は待つ。

 

「今の爆発は、なっ」

「はぁい、御機嫌よう」

 

 やはり聞こえて居たようで、足音を伴って出てきた一人の男に俺は片手を上げて挨拶する。どことなくナンバリング作品のⅢに出てきた賢者を彷彿とさせる冠とマントをつけた男の名は、確かアポロ。パプニカが誇る三賢者の筆頭でもある男だった筈。

 

「お騒がせしてごめんなさいねぇん。ちょっと新任のご挨拶に伺ったのだけど屋上には呼び鈴もなさそうだったからぁん」

「あ、アポロさま、こ、こい、まお」

 

 俺が軽くお道化て見せる一方、兵士は俺の言ったことを伝えようとしてるみたいだが、慌てすぎてか断片が口から出てくるばかりで。

 

「恋魔王? 斬新ねぇ」

「ぐっ……貴様……!! 何者だっ!!!」

「あら? 知りたい? 仕方ないわねぇん」

 

 俺の感想をスルーして叫ぶアポロにちょっとウザ目の反応をしてから俺は名乗る。

 

「トゥース・ゴ・アルウェ。魔王軍で魔軍司令をしてるわ」

「なっ」

「魔軍司令」

「アポロ、今の――」

 

 驚きの声を上げる一方で、遅れて近寄ってきた足音が女性の姿をとって屋上に出るためと思われる扉から顔を出し。

 

「今日はちょっとご挨拶に伺ったの。そちらの対応次第では戦ってあげてもいいわよ」

 

 気にせず続けた俺は、ちらりと街並みの方に目をやって。

 

「ただ、せっかく復興したのにここを戦場にってのは嫌なんじゃなあい?」

 

 とも口にする。

 

「……どういうことだ」

 

 問うてくるアポロにどういうことも何もと言いつつ俺は肩をすくめ。

 

「ご挨拶って言ったでしょう? それにフレイザード一人にあっさりやられちゃう面々が魔軍司令に勝てるとお思いかしら? しかもここ、貴方達にとって余波や外れた魔法とかが飛んでったらよろしくないところだらけよね?」

 

 敢えて言わないが、加えてバランにモシャスして竜闘気の使える俺には賢者たちの呪文や並みの武器による攻撃はほぼ効果が無い。

 

「そうね、こうしましょう。ここって兵士が詰めてるんだから練武場とかあるわよね? そこにお邪魔してアタシが10、呪文でも攻撃でも受けてあげるわ。何しても効かないって判ればあなたたちは力の差を思い知るだろうし、街が巻き添えも食わない。どう素敵じゃない? あ、反撃なんてケチなこともしないわよ?」

 

 完全に舐め腐った言動だが、ぶっちゃけ防御してもいいならこれでも怖いのはマトリフの極大消滅呪文くらいしかない。

 

「ふっ、ふざけ……くっ、良いだろう」

「アポロ?!」

「アポロさま?!」

「へぇ」

 

 ひょっとして激昂して襲いかかってくるかと思ったのだが、そこはさすがに賢者か。

 

「癪に障るが、こいつの言う様にここで戦っては街に被害が出かねん」

「賢明な判断ねぇん」

 

 俺としても有り難い選択だったので絞り出すような声に頷きで応じつつ、それじゃあんないしてもらえるかしらぁんと俺は言うのだった。

 




次回、十九話「舐めプ、始めました」に続くメラ。
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