ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二十話「勇者、動く」

「ルーラ」

 

 建物を出た俺は、平然と動じることなく瞬間移動呪文を唱えて空へ飛び立つ。

 

「っぶなかったー」

 

 実はモシャスの効果時間終了が迫っていたのだが、何とか解けるより早く離脱が叶い、上空で胸をなで下ろす。

 

『あっ』

 

 だが、バランの格好でいられたのは、そこまでだった。ポフンと煙を出して俺はメラゴーストの姿に戻り。

 

『レムオルっ!』

 

 その一方で到着の前に唱えたのは、透明化呪文。ルーラの目的地に選んだのが、ダイ達のいるだろうテランであったからで、俺はこれからテランを見張っているであろうバランと合流する予定だ。

 

『確か――』

 

 レオナ姫は原作でベンガーナのデパートには小さな頃にも一度連れていってもらったことがあると言っていた記憶がある。姫でさえ他国にはそれほど連れていってもらえないなら、あのアポロが直接テランへルーラで飛べるかについては少し疑問に思ったが。

 

『王族と国を代表する賢者では、話が別か』

 

 むしろ瞬間移動呪文が使えるなら、外交関係の使者としてあちこちに足を運んでいても不思議はない。そう思いなおした俺は着地するとあの賢者が追いかけてきていないか空を仰ぎ。流石に留守を預かる身分で即行動とはいかないよな、と頭を振る。俺がお邪魔したこととか空にイオナズンとかである程度の混乱が生じていてもおかしくない筈であり、むしろバランと合流するなら今の内だろう。

 

『とりあえず』

 

 俺が最初に向かうのは、バランと最後に別れた場所だ。テランの様子がわかり、かつダイ達には見つからないような場所があればそこで見張ってるということも考えられるが、俺がバランだったら、それでもせめて連絡をとる方法か見張る場所についての何かを別れた場所に残しておく。

 

『あ』

 

 だからこそ、別れた場所にバランの姿を認めた時も声はあげたがそう驚かなかった。

 

「戻ってきたということは、うまく行ったにせよそうで無いにせよ何かしてきたと見ていいのだな?」

『うん。魔軍司令を名乗っておちょくりついでに実力の差を認識してもらってきただけだけどね』

 

 確認するバランに頷いた俺は、ことの経緯をかいつまんで話した。

 

『このままテランを見張って居れば、パプニカからダイ達へ戻ってくるようにと言う使者が来ると思う』

 

 その報告で語られるのは、魔軍司令である俺のことのみ。バランを探しているという例のオッサンはさすがにパプニカまでついて来ることはないだろう。場合によっては衣を脱いで、炎の闘気もモシャスで分離させた上、俺自身もバランに化けてあのオッサンをテランに釘付けにすることだってできる筈だ。

 

『問題は人数配分について読めないところがあるってことだけど』

 

 ダイ達からすればバランも近日中にテランへ再び現れると思っているだろう。なら、テランに戦力を残さないとは思い難い。

 

『大魔導士マトリフはまずテランに残るだろうけど、おれに予想できるのはそれぐらいかな』

 

 あの人は貴族や王族と言ったお偉いさんに良い印象は持っていない、頼まれてもパプニカにはいかない筈だ。

 

『時間的な余裕があるなら、バーンパレスに戻って鏡面衆……は無理でも、応援連れて来てもいいかなとも思ってるけど』

 

 状況が原作から乖離しまくってるだけに、安全マージンとしてヤバいときに介入できそうな人員は欲しいなと思う訳で。

 

「それは不要だろう」

『え?』

 

 唐突に口を開いたバランの言葉を理解できず、そちらを見ればバランは俺の背後を示しており。

 

『バランさま』

『ちょっと、うちの』

『大将、おかりしますね?』

 

 三分割でバランに断りを入れるメラゴーストを見て、俺は固まったまま立ち尽くす。

 

「おまえが知らないということは、当人たちが考えて応援を送ってきたということか。分体なのだろうが」

 

 うん、かんがえる こと は おなじ って こと ですね。

 

『はーい、魔軍司令さまはこっちにこようねー』

『うふふふふ』

 

 そして、思う。たぶんこいつらは魔王軍に所属してない方の分体だろうと。ひょっとしたら、先日ヒュンケルになってあっち側に立ってた分体も混じってたりするだろうか。

 

◇◆◇

 

『勇者たちが動きだしました!』

 

 俺の元にその知らせが届いたのは、袋叩きにされた翌日のことだった。報告してきたのは、分体の一人だ。

 

「早いな……ディーノは?」

『あ、パプニカに向かうようです。こちらに残るのは、裏切者のクロコダインとあちらについたままの分体、そして大魔導士マトリフにマイボと言う冒険者の模様』

『レオナ姫とアバンの使徒の三人がパプニカの応援かぁ』

 

 どちらも見捨てられずこの別れ方になったんだろうが、俺を相手にするにしてもバランを相手にするにしてもダイ達三人にレオナ姫では厳しいと言わざるを得ない。

 

『他にも分体が居てパプニカで合流すると見るべきかな』

 

 クロコダインのような耐久力はないが、それなら戦力的に不足とまでは言えない。

 

『ともあれ、テランの方はおれが引き受けるから、ダイ達はよろしくね』

「言われるまでもない」

 

 ダイ達を追い込まねばならないという状況ゆえにか、そっけなく俺の言葉に応じたバランはそのまま去っていったのだった。

 




パプニカでは圧倒的強さを誇っておいて戻って来たらボコボコにされるというね、うん。

次回、二十一話「残り物とは呼ばせない」に続くメラ。
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