ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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最終話「死闘」

「行くぞ」

 

 俺がそう告げただけでクロコダインが身構える。原作でもバランと戦えば死ぬと自分で言っていた男だ。だからこそ妙だなとも思ったが、戦闘不能にすれば俺も離脱してパプニカへ赴ける。竜闘気を用いて身体を強化、わずかに前へ傾ぐと地面を蹴って右斜め前方へ飛ぶ。

 

「さっさと終わらせてもらうっ」

「がっ」

 

 無駄にタフなのが獣王の厄介なところだが、身体は大きく、攻撃をするなら当てやすい。腹を蹴りつけて吹っ飛ばすと、額の紋章に竜闘気を収束させ。

 

「紋章閃ッ」

「ぐおっ」

 

 放った閃光に効き腕を貫かれたクロコダインの手から斧が零れ落ちる。

 

「あまり派手なことはできんからな」

 

 最初は蹴り飛ばしたところでギガデインを放とうかとも思ったが、テランにはまだ大魔導士が居る。ここで雷でも落とそうものならすっ飛んできたって俺は驚かない。故にまず腕を潰した。

 

「これで、終わりだ」

 

 殺すつもりもないし、やりすぎてもまずい。

 

「うぶっ、がっ、ぐあっ」

 

 故に俺が選んだのは闘気で強化した拳を使った乱打からの。

 

「ラリホーマ!」

 

 フィニッシュの一撃と見せかけた催眠呪文。

 

「な……に」

 

 まさかバランがこんなセコい手を使うとは思わなかったのだろう。一瞬目を見張るも、すぐに瞼を閉じ、崩れ落ちる。寝ているかを確認する為、尻尾を握ってみるが反応はなく。

 

「眠ったようだな……死闘を覚悟していたのであろうが、あいにく私にそれへ付き合う義理はない」

 

 パプニカでやり合っているであろうバランとダイ達のことが気にかかる今、クロコダインには悪いがこれ以上ここで時間を浪費するつもりはなく。

 

「しかし、何故獣王は……」

 

 ただ一つ、明らかに勝ち目もなく足止めにもならないようなこの状況、クロコダインが応戦しようとした理由がひっかかり。

 

「っ! そうか、ルーラッ!」

 

 その理由に思い至った時、俺は反射的に瞬間移動呪文を唱えていた。遠ざかる地面と高くなる視線。テランの方角を見れば、小さな点がこちらへ向かってくる所であり。

 

「やっぱりか……」

 

 おそらくあの点は大魔導士だと俺は見た。獣王が俺を引きつけて粘る間に大魔導士が最強の攻撃呪文の用意をし、不意打ちで放つ。

 

「勇者一行がやるにはちょっと卑怯な作戦だけど、それなら、二人いればバランは倒せる。ただ」

 

 その策をとるというのは、テランに現れるのがバランだけでないと成立しない作戦でもある。

 

「おれがパプニカに現れたから、消去法でバランがこっちに来ると思ったとか?」

 

 どうしてそんな策を立てたかはわからないままだが。

 

「あ」

 

 疑問が残ったままパプニカへ向かって飛ぶ俺は、何気なく右手を見て思わず声を漏らした。そこにあったのはピンクの尻尾。

 

「クロコダイン……持ってきちゃった」

 

 原作の流れに近づけるなら、クロコダインがダイ達の元に居た方が都合がいいのだが、あちらにはパプニカの三賢者やパプニカ軍が参戦してる可能性

 

もある。

 

「……仕方ない。向こうについたら、クロコダインは縛って適当なところに置いておこう」

 

 パプニカの状況がはっきりわからない今、向こうについたらさっさと介入しないといけない状況になっていた、なんてことも、考えられる。

 

「とりあえずレムオルで姿を消して……ん?」

 

 着地した後のことを考え、そしてなんとなく何かを忘れてる気がして。

 

「あ゛」

 

 何を忘れていたか思い出した俺の顔は引きつっていた。

 

「杖持たせた分体、置いてきちゃってる……」

 

 炎の闘気は俺に引っ張られてルーラで一緒に飛んでいるが、正体を隠すためのアイテムがさっきの場所に分体と共に残ったまんまだ。

 

「あああっ」

 

 色々ありすぎたが故に連続でポカをやった俺は空で頭を抱え。

 

「レムオル。仕方ない、ここまで来ちゃった以上、残してきたもののことは後で考え――」

 

 考えようと気をとりなおそうとしたところで、俺は見た。かなり離れた場所に雷が落ちるのを。

 

「電撃呪文?! ダイ? それともバランの呪文?!」

 

 どうやらパプニカの戦闘は既に始まっているらしい。見たところ戦場は先日訪問した港町ではない様だったが、いかんせん遠すぎて状況を把握するのは難しく。

 

「っと、それはそれとして……」

 

 着地した俺は獣王の居るであろう場所を一瞥する。流石にこのまま放置していった場合、透明化呪文が切れたクロコダインが見つかって騒ぎになる可能性がある。パプニカとだけ考えて呪文で飛んだ俺が到着したのは、前に来たときと同じ町のすぐ外だったのだ。

 

「仕方ないか」

 

 フレイザード戦で面識のある者も居るだろうが、そうでない町民とかに見つかったら騒ぎになるし、捕縛に使うための縄なり何なりを用意するような時間もない。

 

「ルーラ」

 

 幸いにも雷の落ちた方向は見えていたし、視線が通ってればそこに瞬間移動呪文で飛ぶことは可能だ。出来るだけ雷の落ちたのに近い場所の風景を思い出しながら俺は眠る獣王と共に再び飛ぶのだった。

 




次回、エピローグ「ある意味作外」に続く、メラ?

尚、募集してた新キャラの名前についてのアンケートを開始しました。
登場までお話が進んだ時点で最も得票数の高かった名前で登場することになります。
(同得票数複数の場合はこちらでその中から決めますが)

ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?

  • スレイフ
  • ムンク
  • ラゴロス
  • メラトス
  • シェル
  • ラゴニア
  • メキーラ
  • ラゴウ
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