ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「……よかった」
確率論からすると目を覚ましてどこかに逃げていることも考えられたのだろうが物陰から見れば獣王は放置した場所でまだ眠ったままだった。とりあえず、クロコダインは近くの木にでも縛りつけて俺自身はモシャスをし直したら再び町に戻ろうと思う。
「ダイ達がどうなったかを早急に確認してこないといけないもんな」
なんて口には出さないが、バランがどこに撤退したのかが不明である以上、情報が得られそうなのは、戻ってくる場所が解かっているダイ達側しかない。
『『モシャス』』
変身呪文の効果が切れたところで、炎の闘気と共に呪文を唱え、分離変身してから街に入る。目指すは先日お邪魔した城だ。テランで成り済ましに失敗した苦い記憶と本人に鉢合わせする危険を鑑みて、門番のいるところは透明化呪文でやり過ごし、変身相手は街で見回りをしていた騎士や兵士の姿を借りた。会話は最小限、城に入ってからは侍女や使用人の姿もいざとなったら借りられるよう時折観察しつつ進むが、城の中は重苦しい空気が漂っているような気がし、人の声も少なく、まるで通夜の様だった。
「ダイ君の様子は……」
そんな中、不意に聞こえた声に俺は耳をそばだてた。ちょうど歩いていた廊下の先にある部屋からだったが、位置はこの際どうでもいい。俺は件の部屋に近づくと壁に耳を当て。
「ダメね。あたしの顔もポップ君の顔も忘れちゃったみたい。それに、思い出してもらおうと昔のことを話すと頭が痛いって――」
中から聞こえたおそらくはレオナの声でバランがダイの記憶を消したことを知った。なら、バランが撤退したのは、記憶を消し飛ばすのにかなりの力を消費したからだろう。原作でもそうだった。ただ、原作とは場所も違うし、敵味方の戦力にも違いがある。ダイ達側にはクロコダインがおらず、かわりに三賢者の二人と四人の俺の分体が居て、バラン側は竜騎衆の一人と乗騎二体を欠いている。
原作ならこの後ポップが一人パーティーを抜けてバランたちの足止めに向かい、殺されかけたところをヒュンケルに助けられるのだが、ヒュンケルはバーンパレスの牢に囚われたままの筈で、クロコダインも抜け出していなければまだ木に縛り付けられたままだろう。加えてダイが記憶喪失で戦力外となると前衛で戦う戦力が居ない。分体がモシャスして代わりを務めることもできなくはないが、分体のモシャスだよりとなるとモシャスを維持できないダメージを負った時点で前衛が崩れ、一気に倒されてしまうという恐れもある。
「さて」
もう少し色々知っておきたくはあるが、欲張って潜入がばれては元も子もないと、俺は踵を返す。原作通りポップが単身で足止めに向かうのかも気になるが、原作を知る分体たちがどう動くかも気にはなる。
「うん? あ゛」
だが、俺は肝心なことを忘れていた。単身足止めに向かったポップがどうやってバランたちの侵攻ルートを知ったのか。思わず声が漏れたのは、それを思い出したからなのだが。
「ああっ、そうだあの魔法使いのばあさんじゃん!」
ポップにそれを知らせたのは、テランに残っているであろう占い師の老婆なのだ。これではポップがいくら捨て身の覚悟をしていても足止めには向かえない。分体が気づき、気を利かせてルーラでテランから連れて来てくれることを期待する、と言うのはさすがに虫が良すぎるであろうし。
「バランたちが来ることが解かってれば町の人の避難くらいはさせるだろうけど」
どこから来るかわからなければ待ち構えるより他なく、決戦の場所はおそらくこの城になるだろう。レオナが戦力分散の愚を冒すとも思えないことを鑑みると、完全に城の外に出てしまうよりは城の屋上かどこかに潜んで動きがあるのを待つべきかもしれない。瞬間移動呪文は視界が通れば城の敷地内ならほぼ一瞬でそこにたどり着くことだって難しくない。
「あれ?」
となると、ポップも俺と同じ発想に至った場合、屋上で鉢合わせするのではないだろうか。
「いや、まぁそれでも……」
隠れて居れば見つからない筈。最悪見つかったとしてもモシャスしてるなら変身先のフリをし、メラゴーストの姿に戻ってたとしても分体のフリをすればいいだけのことだ。正直、獣王の放置については申し訳ない気もするが、いつバランが襲来するかもわからない今、クロコダインのところに戻る訳にもいかず、俺は下りではなく上りの階段へと向かうのだった。
次回、二話「バラン襲来」に続くメラ。
ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?
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