ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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二話「バラン襲来」

「そこは原作通りなんだ」

 

 そんな言葉を透明になったままの俺は呑み込んだ。屋上にたどり着き物陰に隠れておおよそ一日後、人の気配と言うか足音を知覚して、念の為に透明化呪文を使ったのだが、透明になりつつ足音の主を確認したところ、そこに居たのは片方の頬が赤いポップだった。原作の様にわざと嫌われる言動でもしてレオナに叩かれたのだろう。

 

「……そういや昔、マァムにもぶんなぐられてきらわれちまったことがあったっけな……」

 

 だけどよと続けたポップが視線を向けるのは、昨日戦場になった場所。俺も全てが終わってからたどり着いて密かに様子を見ていたあそこだ。

 

「今度は、あの時とは違うぜ!」

 

 自分に言い聞かせるようでもある独言を聞いていたのは、たぶん俺だけだろう。

 

「……とは言っても、バランがいつどこからやってくるかが全くわからねえんだよな」

 

 ただガシガシ頭をかきつつ続けた言葉でそのシリアス成分は何割か飛んでいってしまった気がする。

 

「消耗して去ってったってんなら、その日のうちに来るたあ思えねえけどよ……これでバランが今日来なかったら」

 

 早まったかと後悔し始めるくだりを俺は見なかったことにして空を仰ぎ。

 

「ん? 城の入り口の方が騒がしいような……」

 

 だからこそ、気づくのがポップより遅れた。ポップの言につられて城の正面を見れば、そこに居たのは元気に二本足で現れたピンクのワニ獣人の姿。

 

「おっ、おっさんじゃねえか!」

 

 何でこんな所にとポップは驚いたのだろうが、俺はあっちゃあと自分の顔を手で覆いたくなった。そりゃ、ロープで縛っただけなら一日もあれば獣王も抜け出すか。バランと戦うに当たって、不足した前衛が現れたという意味合いからすると、勇者一行からすれば喜ばしい事態なのだろうが。

 

「おっさんが来てくれたのはありがてえ、とはいえ逃げ出したことになってるおれがどの面下げてってことになるんだよな」

 

 獣王の前に出ていけないポップとしては歯がゆいことこの上ないようで。その後で迎えに外に出てきたレオナや三賢者の二人と一緒に城の中へ去ってゆく様を複雑そうに眺め。

 

「……良かった、なんて言っちゃダメなんだろうけどよ」

 

 叩かれてまで一人出てきて明日に持ち越しかと思ったぜとポップが漏らしたのは、それから暫く後のこと。ポップの視線を追えば、ドラゴン二頭に乗った人影とそれについてゆく巨体の人影が一つ。乗騎込みだとトベルーラで移動と言う訳にはいかないからだろう。推定バラン達は町へと徐々に近づきつつあり。

 

「ルーラ」

 

 結局俺に気づくことなくポップは飛び立ち。

 

『ルーラッ』

 

 どこかで見ていたのだろう、メラゴーストが二人程、ポップを追って飛んでゆく。

 

「ヒュンケルのかわりかな、けど……」

 

 原作の通りの流れで行くなら、ポップが足止めをしてもこれに部下を当ててバランは記憶を失ったダイの元へやってくるだろう。

 

「それをクロコダインとレオナ、そして三賢者の残る二人が迎え撃つとして――」

 

 城の兵士や騎士をバランとの戦いに参戦させるかが、俺には気になった。既にバランの強さを知ってるはずのレオナ姫ならただ被害を出すだけと気付いて投入しないこともありうるが。

 

「そこは参戦して来たら、おれが無力化するしかないかな」

 

 手出ししたとバランに何か言われそうな気もするが、要らない犠牲は出したくない。となれば、俺はバラン戦に備えてここに残るより他なく。俺にで

 

きるのは、ポップについていった分体達を信じることぐらいだろう。それに、衣の魔杖を預けてしまってきている以上、介入するとして、どんな格好を

 

してゆくかで悩む。

 

「相応の戦闘力があって、出来ればここで姿借りたことが後々問題にならない人物が良いよな」

 

 モシャスで姿を借りる以上、実力は俺より下で無いといけないが、そも俺がモシャスで実力をコピーできないのは、大魔王とミストバーンくらいだ。

 

「……となると、うん」

 

 若干気は進まないが、思い当たった人物は居た。今のモシャスはバランが城にたどり着いたころには解けておるであろうしかけなおすのも問題はない。

 

『……モシャス』

 

 それからしばらくして、モシャスの解けた俺は呪文をかけなおした。

 

「そろそろ――」

 

 城の屋上に居るからこそ、ポップ達に行く手をふさがれたバランが竜騎衆の二人をポップ達に当て、自身はそのまま町に入ってくるのが見えたが、ここを動くわけにもいかず、ただただ待って、バランはやがて城の前に至った。ここだ、そう思った。さすがに城門の前には兵士が居るのだ。バランに槍を向けるのは想像に難くなく。

 

「ルーラ」

 

 呪文を唱えた俺はそこへと降り立ち。

 

「おーっほっほっほっほ、皆様ごきげんよう、アルビナスでしてよ!」

 

 高笑いとともに自分の創作物の名を名乗ったのだった。

 

 

 




 あ、モシャスしたのは当然お胸の二人がついてないバージョンです。炎の闘気では片胸しかカヴァーできないので。

 次回、番外50「街の外の死闘(ポップ視点)」に続くメラ。

ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?

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