ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「くそっ、やってくるのを見つけるとこまではうまく行ったのによ」
瞬間移動呪文でなんとかパプニカへやってくるバランたちの前に降り立ったおれだったが、既に見せてることもあってか奇襲気味に放ったベタンの呪文で倒せたのはあいつらの乗ってたドラゴンだけだった。おまけにバランには後ろに抜けられちまって、追いかけようにもおれの身体にはセイウチの獣人が投げつけた錨のような武器の鎖が絡みついたままだ。
「身のほどをわきまえぬガキめ!! 貴様なんぞがバラン様に手を出そうなどとは百年早いわ!!!」
「うるせえっ!! そんなことは、こっちだってわかってらあ!」
バランとはテランで二度戦ってんだ、力量の差くらい理解してる。呪文が効かねえってあの竜闘気を使われちまったら、殆ど打つ手がないってこともだ。その上で、バランには先に行かれちまった、なら。
「せめて一人でも人数減らしをさせてもらうぜ! メラゾーマ!!!」
「プハアッ!!!」
「っ」
それで倒せるとは思っていなかった、だが些少なりとも怯ませるぐらいにはなると思ったおれの呪文はセイウチ野郎の凍てつくような息で凍り付き、砕け。
「グハハハッ、まさかこれでオシマイじゃ」
「ねえよ、メラゾーマッ!!」
「がハアッ?!」
馬鹿笑いしたセイウチ野郎の顔面に二発目の呪文が炸裂する。
「ぐ……お」
「一度は戦ってんだ、そんな簡単な相手だなんざ思っちゃいねえよ」
その戦いでこいつら、バランの部下三人の内、鳥の獣人を倒せたのは、本当にラッキーだったと思いつつその時のことを思い出す。
◇◆◇
「てめえらだって何人も人間を殺してきたんだろうがっ?!!」
「……人間を……殺した……だってェッ? このスカイドラゴンのルードはなあ! オレの……オレの唯一心を通わせた友達……いや! 兄弟だったんだ!!」
自分を乗せてた黄色い龍を殺され嘆き悲しむそいつへおれが指摘すると、怒りに震えたあとでやつは凄まじい形相をして襲いかかってきた。
「よくもドブくせえ人間どもなんかといっしょにしてくれたなぁぁッッッ!!!!」
『ベギラマ!』
あの時俺がそいつの投げた羽根を受けずに済んだのは近くに居たメラ公の分体が呪文で相殺してくれたからで。
「ちっ、邪魔しやがって! なら、切りきざんでやる!! ひろい集められねえくらいバラバラにな!!!」
だが呪文を放ったことで次の呪文を放つまで間があると踏んだやつはそのまま地面近くを飛ぶように突っ込んできて。
「待て、ガルダンディ」
「アバンストラッシュ!!!」
「ブラッディスクライドォ!!」
「は、ぐぎぇぇぇッッ!!」
あいつが死んだのは、怒りで我を忘れておれを殺そうと仲間の制止も無視して突っ込んできたからだ。ただおれだけを見て突っ込んできた鳥の獣人は気づかなかった、パプニカの兵士の装備を借り、モシャスでヒュンケルの野郎に変身した上でそれを着こみ、おれの近くに居たメラ公の分体二人に。
「詐欺だよな、本当に」
ただの兵士のふりをして実際はヒュンケルが二人。しかもダイにモシャスしたことのある分体は本物と違って先生のあの技を完成させちまっている。そして侮りがたしと残る二人が警戒をして膠着状態になった後のことだ、ダイが記憶を消されちまったのも、消耗したバランが去ってったのも。メラ公の二人の分体もモシャスが時間経過で解けちまって、セイウチ獣人と魔族っぽい奴はバランが去ったのを見て去っていった。
◇◆◇
「あの時まったく戦ってねえって訳じゃねえんだ」
メラ公の分体の呪文に反応して乗騎から降りた魔族とセイウチ獣人の二人はおれが唱えたベタンの呪文に巻き込んだはずがピンピンしていて、倒せたのはセイウチ獣人の乗騎の甲羅があるドラゴンのみ。つまりベタンに巻き込んでも死なないようなやつらだってこった。
「これぐらいじゃ大したダメージにゃなっ」
なってないことは百も承知と更に呪文をぶつけようとしたおれは鎖を引かれてすっころんだ。
「いい気になるな、小僧ッ!」
「うわあああっ」
かと思えばおれの身体は宙を舞っていて。目まぐるしく動く景色の中、鎖に引っぱられ感じる押し付けられるような力で振り回されてることはわかったが、どうにもならなかった。
「ガフッ」
衝撃と凄まじい痛みを感じた時には地面に叩きつけられており。
「フッ……もろいもろい」
「く、そ……」
おれを痛めつけて気がすんだのか煤け火傷の残る顔でセイウチ獣人は笑っていた。
「このもろさでは些少なりともワシの顔に傷をつけたのはよくやった方か」
「そうだな。かけ出しのヒヨッ子だと思っていたが……バランさまも言われていた。『死を覚悟した人間というやつは恐るべき力を発揮することがある』と」
「へ、へへ……評価してくれてどうも、とでも言っとくべきか」
できれば侮ってくれていた方が良かったんだが、半端に反撃したせいか、そいつらは油断を引っ込め。
「けどよ」
圧倒的にあちらさんが有利な状況だ。油断を引っ込めたっつっても、まだおごりはあったんだろうさ。
「いかん、ボラホーン!」
「ブラッディースクライドォ!」
魔族の方が忠告した時には、いつの間にかやって来たメラ公の分体の一撃が、セイウチ獣人の腹をぶち抜いていた。
「よりによってその恰好でその技かよ」
「すまんな、射程と威力を考えると他に選択肢もなくてな」
モシャスでヒュンケルに姿を変えた方のメラ公の分体はそう応じ。
『メラメラ、メラララ、メラ!』
「いや、わかんねえよ」
まだモシャスしていないもう一方にはそう言ってツッコんだのだった。
おかしい、まだ分岐点に到達できない。
次回、三話「我が身を盾に」に続くメラ。
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