ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね 作:闇谷 紅
「うーん」
人死にを減らすという意味合いでも機を見計らわないといけないのだが、距離をとりつつ俺は唸る。
「ソアラは生き返りはしない」
そうバランは言っていたが、俺なら低確率ながらひょっとしたら生き返らせることができるかもしれないのだ。正直検証もしてない上、かもしれないレベルなので成功する保証はない。だが、これをだまって良いのかに俺は悩んでいた。良心の呵責面だけで悩んでるわけではない、成功するとしてもその代償もシャレにならないくらい重いのだ。
「グオオオッ!!」
「とはいえ、このタイミングでは無理ね」
バランの血の色が変わり、天に突きあげた拳に雷が落ちる。
「始まりますわ」
竜魔人への変身が。だからこそ、明かすならそれこそダイが出てきて変身したバランに人の心が表面化している時しか機会はもう残されていない。打ち明けるなら、それまでに方法についてどう説明するかも纏めておかないといけない訳で。
「とりあえず――」
そう呟いて俺は周囲を見回した。必要なのはこの場に姿のないゴールデンメタルスライムことゴメちゃん、持ち主の願いを叶えるマジックアイテムであるゴメこそ、蘇生の要だ。俺がまず考えたのは、直接ソアラをゴメに願って生き返らせてもらうというモノ。次に考えたのが、直接の蘇生が不可能だった場合蘇生可能なところまで遺体を復元すると願いのグレードを落とし、蘇生呪文で生き返らせるというモノだ。次点の方で蘇生呪文を使う候補としてはレオナと僧侶の修行を積んでる分体、覚醒したポップが候補になる。このうちポップは一度命を落としてバランの血を与えられることで蘇生しつつパワーアップしないと後に覚醒できるかに不安が残り、レオナの蘇生呪文は蘇生確率の面で疑問が残る。
「はぁ」
もっとも、どのみちゴメの力を使うとするなら、願いに消費した分今後の戦いでゴメの力があてにできなくなる訳で、代償として大きいし、この戦いの流れによってはゴメが誰かの願いを叶えて蘇生が叶わなくなることだって考えられる訳で、丸く収めるのは無理ゲーに思えた。故に、俺はきっと取捨選択を迫られている。例えばだが、以後ゴメの力を頼らないと決めたなら、ソアラの蘇生を試みることも可能だ。その条件であれば、バランが魔王軍を離反しダイに与する原作とは違う未来もあるだろう。ただでさえ綱渡りだった大魔王討伐の旅が更にハードモードになるのはまちがいないが。
「なんだッ……!!? どうなっちまったんだよっ、あいつ……!!?」
「バ、バランの身体が……!!?」
ポップやレオナが騒ぐ中、バランの鎧や服が砕け破れて首からは角の生えた竜の目のような瘤が盛り上がり、背には翼が生える。
「けど、靴はそのままですのね」
きっとツッコんではいけないところなのだろうが、気づけば俺はボソッとズレたことを口にしていて、同時に考える。モシャスでアレを真似できるかと。とりあえず、今の姿のままでは無理だということはわかっている。アルビナスにモシャスして実力を写し取ったことで、俺のレベルもアルビナスと同じところまで下がっているからだ、だが素の自分であればコピーは可能。それが俺が密かに出した結論であり。
「今の内ですわね」
モシャスにも効果時間と言うモノがある。変身しなおすことを考えるならどこかに隠れざるを得ず、戦況が気になるものの、俺はバランに注目が集まっているのを利用してその場を離れるのだった。
◇◆◇
『そう言えば』
離れてモシャスも解けてから俺はふと気づく。分体達がやけに俺へのリアクションが薄かったなと。原作と比べて前倒しすぎる場面での登場なのだ。
「何でこいつがこのタイミングで?!」
下手をすればそんなことを口走る分体が居てもおかしくないと俺は思っていたのだが。ひょっとしたら俺の知らないところで魔王軍側と勇者側の分体で情報をやり取りしていたりするのだろうか。
『うーん』
まさにイレギュラーな合体で分裂と合体を封じられてしまった弊害だと思う。合体と分裂で記憶を受け渡すいわば分体ネットワークから切り離されてしまったことで、アルビナスと例のドラゴンキラー、そして俺だけが共有する情報を把握できずにいる。とはいえどこに監視の目があるかわからない今、分体に口頭で教えてもらうのはリスクが高すぎる。それをやるくらいなら、分裂合体可能な分体を副官において丸投げし、こっちが指示を出してもらって動いた方がよほどいい。
『って、今はそんなこと悩んでる場合じゃなかった、モシャス!」
こうしている間も竜魔人と化したバランが何をしてるかわからないことを思い出した俺は慌てて戦場に戻るのだった。
次回、八話N&C「奇蹟起こらず」に続くメラ。
ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?
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