ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

224 / 256
N&Cルート
八話N&C「奇蹟起こらず」


「間に合った」

 

 そう口にしていいモノだろうか。俺が戻ってきた時、死者が出ている様子はなかった。それでもレオナと女賢者二人は真空系呪文によるモノであろう風の刃に傷つけられて纏めて倒れており、クロコダインは身体に穴を穿たれ仰向けに石畳の上に横たわっていた。

 

「くっ」

「身を守ることに専念していて、これか」

 

 立っているのは先ほどのクロコダインのように防御に徹することで辛うじてモシャスの解けるようなダメージを負うことを免れている偽ヒュンケルと偽ラーハルトのみ。ポップも門の前で二の腕から血を流して倒れていて。

 

「あれ?」

 

 ただ、分体の数が合わないなと思いもう一度周囲を見回してみれば、地に伏せたメラゴーストがバランから死角になる物陰で伏せていた。

 

「あー」

 

 竜魔人と化す前のバランの一撃でもメラゴーストのままであれば命取りになる。流石に逃げ隠れする分体を責めることも笑うことも俺にはできず、ただ納得するだけだった。

 

「それはそれとして、ここからよねぇん」

 

 モシャスをかけなおしたことで炎の闘気を纏った竜魔人の姿で、俺はちらりとバランの方を見る。原作ならだが、勇者一行の殆どを無力化したところでバランは竜闘気砲呪文という竜魔人の時にのみしか放てない凶悪な破壊力を持つ秘呪文を放とうとする。もっとも、その時はバランの竜の紋章に呼ばれたダイが姿を見せたことでバランは竜闘気砲呪文を放つのをやめるのだが、ダイが姿を見せるのが遅かったり姿を見せなかったら。

 

「どうにかできるのはアタシだけ……」

 

 とはいえ、ここでそれをやってしまえば狂戦士同然のバランは俺も敵とみなして襲ってくるだろうし、魔軍司令としてもダイ達を庇うのは立場的に拙い。一応、気づかぬ間にバランが息子まで消し飛ばしてしまうのを防ぐために介入したとしておけば言い訳にはなるだろうが、ここで出て行くとダイの記憶が戻る保証もなくなってしまう。

 

「信じるべき」

 

 そう思う一方、原作通りに行くとは限らない、ここは介入すべきと訴える自分もいて、俺は迷う。

 

「もはや聞く耳もたん!! 竜魔人と化してしまったからにはきさまらが全員死ぬまで元には戻れんのだッ!!!」

 

 バランは今にも竜闘気砲呪文を放とうとしている。だが、ここでの介入は原作を完全に捨て去ってしまうということに等しい。ダイの記憶が戻らず、ポップのパワーアップもなければ、勇者一行がこの先を戦い抜くのは厳しい。大魔王を討つ者が居なくなれば、この世界は、俺の平穏な生活はどうなるか。

 

「竜魔人の飛翔速度ならまだ間に合う」

 

 その判断から介入をギリギリまで見合わせ、救いを求めるように俺は城門を見る。ダイの姿はないか、まだダイの大冒険は途切れず続くんだよなと門を見る。そこにつられて出てくるダイの姿があれば、俺の出る幕はない。透明化呪文でも使って、万が一の場合、他の面々を避難させておく準備をすればよく。

 

「消し飛べぇーッ!!!」

 

 その叫びを耳にしても開かぬ城門に俺は飛び出していた。

 

「なっ」

「いっ」

「炎を纏った」

「バラン?!」

 

 あちこちで上がる驚愕の声、やってしまったと思いつつもちらりと城門を見るがダイの姿はない。テランと比べてパプニカはお城の規模も違うし兵力も違う。同じタイミングでたどり着けと言う方が虫が良かったのだろう、きっと。そして前に向き直れば、こっちに向かってくる竜闘気砲呪文。

 

「はぁ、ダイちゃんにしとくべきだったかもしれないわねぇん」

 

 同じ呪文を放つことはおそらく可能だが、その場合炎の闘気によるパワーアップが上乗せされる分、相殺した余剰分で下手すればバランが消し飛んでしまう。となれば、方法は一つ。竜闘気砲呪文よりは威力が劣る何かで相殺を図るしかない。

 

『バイキルト』

 

 炎の闘気が呪文で俺の攻撃力を底上げし。放つ技は闘気を用いたモノとすべきだが、ヒュンケルの使う技の方は見たことのない俺にできるのは、ぶっつけ本番の技が一つだけ。右腕を肥大化する程に闘気を集中させ、左腕には炎の闘気を集中させる。

 

「うまく行ったら、ご喝采。いくわよぉん、獣王激烈掌ッ!!」

「なんだと?! オレはあんな技など――」

 

 クロコダインが驚き叫んでる気もするが、気になどしてる余裕はない。そも、この技は後にクロコダインが編み出すモノを原作知識で前借してきたモノなのだ。炎の闘気と二回行動出来ることで再現してるが、実際は痛恨撃を同時に二発放ってるだけのモノで。

 

「バカな、竜闘気砲呪文が――」

 

 俺の技がぶち当たったことで収束され放たれた竜闘気は空中で大爆発を起こす。

 

「って、ちょ」

 

 当たった場所で爆発することを失念してた俺は顔を強張らせるも、上空での爆発となったことが功を奏したのだろう。

 

「あ」

 

 慌てて周囲を見回せば、大半が倒れて地面に極めて近い位置に居たこともあり、余波の影響は誰かの命を奪うほどのモノにはならず。

 

「何故……何故邪魔をした、トゥース!!」

「なんだと?!」

「と、トゥース?!」

「それって――」

 

 バランの怒声を聞いた勇者一行プラスアルファの皆さんの視線が驚きと共に俺に集中する。

 




ダイの登場が間に合う→Lルートへ

間に合わないか主人公が介入→N&Cルートへ

そんな分岐だったらしいですよ?

次回、九話N&C「投げた賽」に続くメラ。

ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?

  • スレイフ
  • ムンク
  • ラゴロス
  • メラトス
  • シェル
  • ラゴニア
  • メキーラ
  • ラゴウ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。