ダイの大冒険でメラゴースト転生って無理ゲーじゃね   作:闇谷 紅

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十一話N&C「勇者一行の敗北2」

『モシャス』

 

 物陰で俺はモシャスをかけなおすと、再び物陰から顔を半分だけ出す。すぐ介入すべきかで迷いはあったが、ポップを止めるとなるとタイミングはシビアになるし、どの段階で阻止するかも重要な問題だ。自己犠牲呪文の準備に入る前に止めるか、発動を待つ段階で阻止するか。俺が最初に思いついた方法ならば、後者であっても阻止は可能。だからこそ、ギリギリでも間に合いはするが、タイミングを見計らうにはあちらの状況を知る必要があった。

 

「……どけ!! いまさらお前のようなゴミに何ができるかッ!!!」

「なっ……なにもできねぇっ……んなこたあわかってらあ」

 

 でもよと続けたポップは、バランに睨まれながらも戦うしかねえんだと拳を握る。

 

「ここに居るのはおれとダイだけ。あのトゥースって奴も姿を見せてねえ!」

「なるほど。おまえが私に攻撃をしかけたら竜魔人と化した今の私は猛然と反撃しおまえはもちろん場にいたディーノ以外の者をズタズタにひねり殺しただろう。だが、この場なら死ぬのはおまえだけ。もし、魔軍司令……トゥース殿が追いかけてきて追い付いたとしても、一度戦っているトゥース殿を私は敵とみなし、襲いかかるということか……」

 

 バランの言葉を聞いて、ポップはそこまで考えてルーラの呪文で離脱したのか、と密かに俺は感心するが。

 

「そこまで考えちゃいねえよ!」

「なに?」

「おれが考えてたのは、その前半分だけさ」

 

 頭を振って訝しむバランに明かしたポップの腕をこの場にいるもう一人が掴む。

 

「邪魔しないでよお兄ちゃん!! せっかく父さんに会えたのに……!!」

 

 会話を遮っての言に、ポップは泣きそうな顔をするとダイに抱きついて渡さねえと叫ぶ。そこは原作の通り。

 

「親だろうと何だろうとてめえなんかにおれたちのダイを渡してたまるもんかぁーッ!!!」

「……おれたちのダイだと!?」

 

 オウム返しに問うバランにそうさと肯定してポップは言う。

 

「ダイがいなけりゃレオナ姫は死んでた!! ダイと戦わなけりゃヒュンケルも悪党のままだった!!」

 

 そこでクロコダインの名が抜けたのは、クロコダイン戦でダイの手柄を俺が横取りしてしまったからだろう。地味にもやっとしてしまうが、そこは俺の自業自得でもあり。

 

「そして……そして、おれは……ダイやメラ公に出会えていなかったら、いつも逃げ回って……強えヤツにペコペコして……口先ばっかでなんにもできねえ最低の人間になってたにちがいねえんだ!!」

 

 ポップは続ける、俺とダイに出会えて運命が変わったと、メラ公は修行の旅に出ちまったがダイのおかげでおれたちはここまでがんばってこれたと。

 

「てめえが完全な人間の敵じゃなくなったのは聞いた、ならダイが……おれたちの心の支えだったダイが人間の敵になるこたあねえんだろう……それでも、それでもよ、ダイがおれたちの前から消えちまうことも、もう一人……おれたちの運命を変えてくれたメラ公が戻ってきた時に、ダイはもういねえなんて言わなきゃいけねえことも……死んでもがまんがならねえっ!!!」

 

 ポップの主張を心からの叫びを聞くのは、ダイとバランのみ。俺はまだ追い付いていないという認識ならば、いや、俺が居たとしても、心からの叫びを聞くのは、敵と記憶を失ってしまったダイのみ。原作と比べて聴衆にめぐまれない状況での心の吐露ではあるが。

 

「はぁ」

 

 ここまで言われて何も感じない程俺の面の皮は厚くなかったらしい。

 

「では……」

「はぁい、お待たせっ」

「がっ」

 

 バランが最後まで言い切るより早く飛び出した俺は、手刀の不意打ちでポップの意識を刈り取る。ダイが記憶を取り戻すには、ポップが師匠をなぞるようにバランへ自己犠牲呪文を使おうとする流れは必須だ。だが、攻撃してしまえば、バランの方が止まらなくなる。原作と違い不利な点の多いこの状況下ではダイはバランに勝てない。

 

「トゥース殿」

「遅れてごめんなさいねぇん。中途半端なとこでの介入は流石に空気を読めないかって思ったんだけどぉん」

 

 戦いを中座させるのはこのタイミングしかなく。そも、この戦いだが、原作ではミストバーンとキルバーンがわざわざ現地に出向いて見ていたのだ。思い出したのはポップとバランを追っかけてこっちに来てからだが、ここで勇者側に立ちすぎるのは色々拙い。

 

「ダイちゃんを連れてゆくんでしょ? それに」

 

 バランからすればラーハルトと名前は忘れたがセイウチ獣人とか竜騎衆の遺体を回収しての蘇生措置なんかもしないといけない筈であり。

 

「ポップちゃんに関してはアタシが頂いてくわ」

 

 放置すると死神に始末されかねないし、そういう意味ではパプニカの方に残った面々も気になるがあちらには戦闘不能に陥っていない分体が複数のこっているので、キルバーンとミストバーンがクロコダイン達を完全に殲滅するつもりがなければあちらも問題はないと思う。

 

「とりあえず、これでバランもダイと一緒に過ごせるようになった訳だし、今回の作戦の事後処理が終わったらしばらくはのんびりしててくれる? 次はザボエラ殿をメインにした作戦もあるから――」

 

 表向きはその準備をしないといけないと口にしつつ。俺は胸中で嘆息する。分体達に戻ったらどつきまわされるのは確定だなと思ったのもあるが、己の手で勇者一行が大魔王を倒す流れを断った上でポップ達を見捨てないというのであれば、俺が大魔王を何とかしないといけないということなのだから。

 




次回、十二話N&C「二つの選択」に続くメラ。

恐らく次でNかCどちらかにお話が分岐します。

ドラゴンキラーをベースにした新キャラの名前は?

  • スレイフ
  • ムンク
  • ラゴロス
  • メラトス
  • シェル
  • ラゴニア
  • メキーラ
  • ラゴウ
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